STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和3年度春期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
サービス連携を考える評価軸
サービス連携を検討するときは、目的と効果を捉える評価の基準に注目しましょう。何をもって変化を評価するのかを意識し、異なる基準による判断を混ぜずに、与えられた情報の意味を整理することが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、目的や効果について考える際に、評価の基準が途中で変わっていないかを確認しましょう。よさそうだという印象だけで判断せず、与えられた条件に沿った基準で捉えているかを点検してみてください。
視点
評価の基準とは、何をもって変化を捉えるかという判断のよりどころです。目的や効果を整理する際は、その基準を意識すると、異なる意味での評価を混ぜていないか確認しやすくなります。
確認ポイント
- 評価の基準を意識できているか
- その基準は与えられた条件に沿っているか
- 考える途中で別の基準を混ぜていないか
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解説
増車規制の下で収益を伸ばすため、実車率と顧客の利便性を高める事例です。空車の分散、走行ルートの表示、時間・料金の予測精度向上、多様な決済への対応を具体的な課題と結び付け、提携による配車可能車両の拡大が利用者と顧客の増加につながることを捉える。
問題の全体像
A社は増車規制によって車両を増やしにくく、収益が横ばいとなっている。流し営業ではドライバの経験によって実車率に差があり、顧客にはタクシーの拾いにくさ、道順の指示、支払方法の制限という不満がある。A社はビッグデータとAIを活用するサービスプラットフォームを構築し、車載アプリと配車アプリを通じて改善を図る。導入後に判明した地域ごとの車両不足には、他社との提携で対応する。公式の出題趣旨では、現状と課題の分析、新サービスの構想・計画、その実行結果の評価・改善を行う能力が問われている。各機能を事業目的や顧客の利便性につなげて読むことが中心となる。
設問1(1)
冒頭の「収益を伸ばすために」に続く、新サービスを検討する目的に着目する。増車が制限される中では、保有車両の走行距離のうち、顧客を乗せて走る距離の割合を高めることが収益拡大につながる。実車確率の高い地域を表示する機能は、この目的を実現する手段です。公式解答例では「実車率の向上」とされている。10字以内の答案では、機能の詳細ではなく、この目的を簡潔に示す。
設問1(2)
冒頭では、実車率の向上と並んで「顧客の利便性の向上」が明記されている。スマホからタクシーを呼べること、多様な決済手段で支払えることなどは、顧客の不満を解消して利用しやすくするための機能です。公式解答例でも、二つ目の目的は「顧客の利便性の向上」とされている。10字以内では、個々の機能を列挙せず、それらに共通する目的を示します。
設問2(1)
ドライバへのヒアリングにある「空車が集中して効率よく顧客を獲得できない」という課題と、地図上に他の空車の位置情報を表示する機能を対応させる。需要の多い場所でも空車が集中すれば、顧客を獲得しにくくなる。他の空車の最新位置が分かれば、集中していない場所へ移動する判断ができる。公式解答例では、その移動によって実車率を向上させたいことが理由とされている。40字以内では「空車が集中していない場所へ移動し、実車率を向上させるため」のように、移動の判断と事業上の効果を結び付けて示す。
設問2(2)
顧客へのアンケートにある「目的地によっては、顧客自身が道順を指示しなければならない」という不満に着目する。車載アプリに走行ルートが表示されれば、ドライバはそのルートに沿って降車地点まで運行でき、顧客が道順を説明する必要がなくなる。公式解答例では、この道順を指示しなければならない不満足が挙げられている。30字以内では「目的地までの道順をドライバに指示する必要がある不満足」とまとめる。設問が求めるのは顧客の不満なので、ドライバのカーナビ登録の手間とは区別する。
設問3
〔配車アプリとサービスプラットフォームの連携〕にある、時間・料金予測サービスの説明と、AIが予測と実績のかい離を分析する記述に着目する。このサービスの予測対象は、空車の到着までの待ち時間、降車地点までの乗車時間、目安料金です。外部データから抽出した特徴量の組合せを変えることで、これらの予測精度を高める。公式解答例もこの三つを対象としている。採点講評では「需要予測の精度を向上させる」という解答が見受けられたとされ、時間・料金の予測に着目するよう求めている。30字以内では「待ち時間・乗車時間・目安料金の予測精度の向上」と、対象を具体的に示す。
設問4(1)
導入後の不満である「空車が表示されず、タクシーを呼べない」と、その原因である「配車可能な車両台数が少ない」を出発点にする。A社単独の増車は難しいため、配車が行き届かない地域の会社と提携し、アプリから配車できる車両を増やす。利用料の無償化は、その提携先を多く確保するための手段です。公式解答例では、配車可能な車両を増やし、配車アプリの利用者とA社の顧客を増やす狙いが示されている。採点講評でも、利用者の増加だけでなく、そのために車両を増やす必要まで理解するよう求めている。35字以内では「配車可能な車両を増やし、アプリ利用者とA社の顧客を増やす」と、手段から成果まで示す。
設問4(2)
提携対象が「多様な決済手段を保有していない他のタクシー会社」であることと、各種決済接続サービスの説明に着目する。提携会社が車載アプリとサービスプラットフォームを利用すれば、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済などにつなげられる。この支払時のメリットは、顧客が配車アプリで予約したかどうかにかかわらず得られる。公式解答例では、顧客が多様な決済手段から支払方法を選択できることが挙げられている。30字以内では「多様な決済手段から支払方法を選択できること」とまとめる。
学習のポイント
機能の説明だけで終わらず、課題、機能による改善、事業上の効果をつなぐ。特に予測の対象と、提携先を増やす具体的な狙いを正確に読み取る。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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