STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
令和元年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提と根拠を確かめる
事業に関する判断では、結論を急ぐ前に、その判断がどのような前提に支えられているかを確認しましょう。与えられた情報から確かめられることと、自分が補っている想定を分け、根拠とのつながりを整理することが大切です。
この問題で問われていること
着目するのは、判断とその前提の対応です。検討中の判断について、与えられた情報のどこを根拠としているかをたどってみましょう。情報として示されている条件と、自分の経験から加えた条件が混ざっていないかも確認してください。
視点
判断を支える前提には、与えられた情報に明示されたものと、読み手が補ったものがあります。両者を区別すると、判断の根拠を落ち着いて点検できます。
確認ポイント
- 判断の前提を言葉にできているか
- その前提の根拠を与えられた情報にたどれるか
- 自分の想定を示された条件として扱っていないか
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解説
本問は、自動運転技術を海底探査へ転用する事業について、特許技術の利用条件、無人化の効果と参入増加のリスク、既存開発との両立を検討し、空飛ぶクルマへの技術展開まで結び付ける問題です。
問題の全体像
X社は、自動車の運転支援システムを主力事業としていますが、価格競争によって利益が大きくなく、技術開発費が不足しています。Y社からは自動運転技術の早期実用化を求められる一方、Z社から海底探査技術の開発検討を依頼されました。L氏は、既存技術を拡張した無人海底探査システムの事業性を検討し、その成果を将来のY社の事業にも活用しようとしています。公式解答例の出題趣旨では、現在の経営状況と新事業の将来性を踏まえ、事業性、開発体制を含む事業計画、事業拡大の戦略を検討する能力が問われています。
設問1(1)
〔X社への開発検討依頼〕にある、Z社が水中音響通信技術などの特許を保有している点に着目します。M氏の報告では、母船との通信と探査機の位置特定に水中音響通信技術を利用するため、この技術を利用できることが開発の前提になります。公式解答例では「Z社の保有する水中音響通信技術を利用する契約」としています。25字以内の答案では、技術の保有者、対象技術、利用する契約という三つの要素を押さえます。
設問1(2)
〔海底探査の状況〕には、有人潜水調査船は高い安全性が必要なのでコストが高いことと、無人化すれば有人のために必要だった高い安全性が不要になることが示されています。この対比が、製品を大幅に安価に開発できる理由です。公式解答例では「高い安全性が必要とされないから」としています。20字以内では、この安全性の要求の違いを端的に示します。運航員の削減や母船の変更は運用費に関する記述なので、製品の開発価格を問う本設問では、安全性に着目します。
設問1(3)
〔海底探査の状況〕の、無人探査が主流になると多くの企業が参入すると考えられる、という記述が根拠です。有人向けの高い安全性が不要になることで参入が増え、競争が強まれば、X社が収益を確保する上でリスクとなります。公式解答例では「多くの企業が参入すると考えられるから」としています。25字以内では参入企業の増加を示します。採点講評では、収益面のリスクではない理由を述べた解答が散見されたとされており、無人探査の普及と市場競争を結び付けて読むことが重要です。
設問2(1)
〔X社の現状〕にある、Y社から自動運転技術を3年以内に実用化することを強く求められている点に着目します。X社は既存事業で期限のある開発要求に対応する必要があり、海底探査システムの開発も進めるには、その要求と両立できる開発体制が必要になります。技術開発費の不足も背景ですが、公式解答例では「自動運転技術を3年以内に実用化することを強く求められているから」としています。40字以内では、既存事業の開発対象、3年以内という期限、強い要求を押さえます。
設問2(2)
〔海底探査の状況〕には、深海への降下・浮上にそれぞれ数時間掛かり、乗組員の体調管理によって1回の探査時間も3時間程度に限られるため、広域探査には長い期間と高いコストが掛かるとあります。複数機の同時運航は探査を並行して進め、この問題の解決を図るものです。公式解答例では「広域の探査には長い期間と高いコストが掛かる。」としています。25字以内では、広域探査、期間、コストをまとめます。採点講評では今後の課題を述べた解答も指摘されているため、現在の問題を答えることが必要です。
設問3(1)
〔自動車の自動運転技術〕の最後に、自動車メーカは現在の自動車にとらわれず、時代の要求に応じた移動手段の利便性や安全性を目的として、新たな技術開発を継続的に求められているとあります。この状況から、海底探査で得た技術をさらに発展させて提供することが、Y社の将来の事業にも貢献すると考えられます。公式解答例では「新たな技術開発を行うことを継続的に求められている。」としています。30字以内では、新たな技術開発への継続的な要求を示します。
設問3(2)
〔移動手段の構想〕に示された「空飛ぶクルマ」と、〔事業拡大の戦略〕にある3次元空間の自動運転技術・協調制御技術を結び付けます。政府のロードマップでは、多数機が3次元空間を安全に移動する高度な自動飛行技術が必要とされており、海底探査で開発する技術とのつながりがあります。公式解答例では「空飛ぶクルマの事業」としています。10字以内では、将来の事業名を簡潔に示します。
設問3(3)
〔事業拡大の戦略〕にある3次元空間の自動運転技術と協調制御技術を、〔移動手段の構想〕の自動飛行技術へ発展させると読み取ります。公式解答例では「多数機が3次元空間を安全に移動するための高度な自動飛行技術」としています。35字以内では、多数機、3次元空間、安全な移動、高度な自動飛行という要素を押さえます。採点講評では、海底探査で開発した技術そのものを述べた解答が散見されたとされています。Y社の将来の事業を踏まえ、海底探査の成果を基に新たに開発する技術まで示すことが重要です。
学習のポイント
設問が求める対象と時間軸を見極め、本文の技術・経営・市場の記述を因果関係で結び付けて答案にまとめる力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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