STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成30年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問3 組込みシステムの製品企画戦略における市場分析について 組込みシステムの市場は,IoT, AI などの新技術の影響で,新製品の投入が活発化している。新製品を企画する際には,同業他社の動向などを調査して優位性を確保し,更に新技術の潮流を把握する必要がある。その上で市場の分析手法を用いて,市場に投入する新製品の売上高,利益率,販売数などを試算し,その結果を勘案して戦略を立案する。 市場の分析手法として,市場成長率を縦軸に,市場占有率を横軸にとり,全体を 4 象限に分割し,当該企画製品がどの象限に該当するかを分析する手法がある。市場占有率は,新製品と類似の製品を投入している先行メーカを参考にしながら試算し,目的の象限に合致するように戦略を立案する。例えば,市場成長率が高く,市場占有率が低い場合は,拡大戦略を立案する。具体的には,販売促進・販売代理店強化・積極的な展示会への出展などで訴求力を高め,更に利用者の要求情報などを基に新たな機能を追加する。これに対し,市場占有率の拡大が見込めない場合は,参入を取り止めたり,調査した市場から別の市場へと切り替えたりする戦略もある。 別の手法として,市場の魅力などを縦軸に,当該企画製品の優位性などを横軸にとり,全体を 9 象限に分割する手法もある。特徴として,前述の手法と比較したとき,自社に合った指標を選択できる利点がある。その一方で,内部データを多く使用するので同業他社との比較が難しい,主観的な分析となるなどの懸念もある。 組込みシステムの新製品を企画する際に,IT ストラテジストに求められるのは,投入する市場の売上規模,市場成長率,市場占有率などを調査・分析し,その分析結果から製品投入の戦略を立案することである。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが企画した組込みシステムの新製品の概要・特徴及び企画に至った経緯について,800 字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた新製品の投入を考えた市場について,どのように調査したか。分析手法の選定理由,分析方法,分析内容及び立案した戦略について,800 字以上 1、600 字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた市場の調査方法,分析内容は妥当であったか。戦略の評価及び市場参入の評価とともに,600 字以上 1、200 字以内で具体的に述べよ。
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判断の前提をそろえて考える

市場分析や参入方針を検討するときは、判断に使う前提がそろっているかに注目しましょう。情報の意味を急いで結論に結び付けず、何を前提とした判断なのかを整理して、検討の土台を確かめることが大切です。

この問題で問われていること

扱われている情報と判断のつながりを、前提の一致という一つの観点から確かめてください。検討の対象や範囲を自分で補っていないかを振り返り、示された条件と自分の想定を区別しながら考えましょう。

視点

判断は、その土台となる前提によって意味が変わります。情報を受け取るときの前提と、その情報から考えるときの前提を区別して整理すると、無意識に条件を付け加えていないかを確かめやすくなります。

確認ポイント

  • 判断の土台となる前提を意識できているか
  • 示された条件に自分の想定を加えていないか
  • 情報を捉える際と判断する際で前提がずれていないか
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解説

市場調査、分析手法の選定、分析結果に基づく製品投入戦略、評価を一貫して論述する問題です。出題趣旨と採点講評では、市場に適合した分析と戦略の関係に加え、調査や分析の過程を具体的に説明することが重視されています。

問題の全体像

IoT、AIなどの影響で新製品の投入が活発化している組込みシステム市場を背景に、自分が企画した新製品の市場分析と製品投入戦略を論述する問題です。問題文では、同業他社の動向や新技術の潮流を把握し、市場の売上規模、市場成長率、市場占有率などを調査・分析して戦略を立案することが求められています。添付の問3の資料は具体的な公式解答例ではなく、出題趣旨です。出題趣旨では、分析手法を選んだ観点、分析結果を製品戦略に生かした方法、市場参入の評価を通じて、調査力、分析力、製品企画戦略を策定する能力などを評価するとしています。答案は、製品の説明から調査・分析、戦略、評価へとつながる構成にします。

設問ア

着目するのは「新製品の概要・特徴及び企画に至った経緯」です。800字以内で、自分が企画した組込みシステムの新製品がどのような製品か、その特徴は何か、どのような経緯で企画したかを説明します。ここは、設問イと設問ウで論じる製品を読者が理解するための土台になります。採点講評では、全問に共通する注意点として、論述対象の製品やシステムの概要が適切に記述されていない答案や、名称と論述内容に整合性がない答案が挙げられています。そのため、対象製品の概要を具体的に示し、後続の市場分析や戦略と内容をそろえることが大切です。特徴について特定の項目を必ず挙げるという指定はなく、自分の製品と企画の経緯に即して記述します。

設問イ

着目するのは、市場を「どのように調査したか」と、「分析手法の選定理由、分析方法、分析内容及び立案した戦略」です。800字以上1、600字以内で、調査の過程、手法を選んだ理由、その手法で行った分析、分析結果から立案した戦略を具体的につなげて説明します。問題文の4象限の手法は市場成長率と市場占有率を使い、新製品の市場占有率を先行メーカの類似製品も参考に試算します。9象限の手法には自社に合った指標を選べる利点がある一方、他社との比較の難しさや主観的な分析となる懸念があります。これらは、手法の選定理由を考える際の根拠になります。ただし、両方の手法を使う指定はありません。戦略について、問題文では成長率が高く占有率が低い場合の拡大戦略や、占有率の拡大が見込めない場合の参入取り止め・別市場への切替えを例示しています。これらを一律に採用するのではなく、自分の分析結果との関係を説明します。採点講評では、調査方法の記述がない答案や、分析に触れず市場占有率などの結果だけを説明した答案が指摘されています。数値や結論だけで終わらず、それを導いた調査・分析の過程を書くことが重要です。

設問ウ

着目するのは「市場の調査方法、分析内容は妥当であったか」と、「戦略の評価及び市場参入の評価」です。600字以上1、200字以内で、設問イで述べた調査方法と分析内容の妥当性、立案した戦略の評価、市場参入の評価をそれぞれ具体的に論述します。調査・分析を妥当と判断したのか、課題があったと判断したのかについて、その理由を設問イの内容と対応させて説明すると、評価の根拠が伝わります。出題趣旨では、市場参入をどのように評価したかが明示されているため、調査・分析の評価だけで終わらせず、戦略と市場参入についても扱う必要があります。公式資料には、評価に必須となる個別の指標や検証方法は指定されていません。自分の経験と考えに基づき、調査・分析から戦略を立案した論述の流れに沿って、具体的な評価と判断理由を記述します。

学習のポイント

分析手法の特徴と選定理由を理解し、調査・分析の過程から戦略と市場参入の評価までを具体的につなげて書く練習が重点です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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