STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成30年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問2 新しい情報技術や情報機器と業務システムを連携させた新サービスの企画について 近年,IT ストラテジストは,事業戦略を実現するために,オープン API やタブレット端末などの新しい情報技術や情報機器(以下,新技術という)と業務システムを連携させ,顧客満足度や生産性などを向上させた新サービスを企画することがある。 銀行業では,“フィンテックを活用して顧客満足度と収益の向上を図る”という事業戦略を実現するために,フィンテック企業が提供するスマートフォン向けアプリケーションソフトウェア,オープン API と銀行のシステムを連携させたビジネスモデルを検討し,顧客がいつでも入出金の確認や送金ができる新サービスを企画した。 航空業では,“高品質かつ効率的な整備作業によって,安全かつ安定した運航を実現する”という事業戦略を実現するために,タブレット端末と整備管理システムを連携させた整備作業のビジネスプロセスを検討し,整備士が作業場所で,整備計画や図面の確認,点検箇所の撮影と作業報告などができる新サービスを企画した。 IT ストラテジストは,新技術と業務システムを連携させた新サービスを企画する際には,事業戦略を実現するために,ビジネスモデル又はビジネスプロセスを検討し,どのような利用者にどのような便益を提供するのかを定義する。そして,投資効果を算出した上で,新サービスを企画する。 さらに,新サービスの導入では,新サービスの有効性,信頼性,安全性などを検証する必要があり,試験的な導入,機能や範囲を限定した段階的な導入などの対応策も立案した上で,経営層に提案し,承認を得ることが必要である。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった新技術と業務システムを連携させた新サービスの企画において,企画の背景にある,事業概要,事業特性,事業戦略,新技術を採用した必要性について,800 字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた事業戦略を実現するために,新技術と業務システムを連携させて,どのような新サービスを企画し,どのような利用者に提供することを検討したか。検討したビジネスモデル又はビジネスプロセス,利用者の便益,投資効果を明確にして,800 字以上 1、600 字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた新サービスにおいて,新サービスの導入でどのようなことを検証するためにどのような対応策を立案し,経営層に提案したか。対応策の評価と評価を受けて改善したこととともに,600 字以上 1、200 字以内で具体的に述べよ。
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目的と判断のつながりを整理する

検討するときは、何を目指すのかと、何を根拠に判断するのかのつながりに注目しましょう。用語の印象だけで結論を出さず、目的と判断の間に飛躍がないかを、与えられた条件に沿って確かめることが大切です。

この問題で問われていること

この分野では、個々の要素を別々に捉えるよりも、同じ目的に照らして考えられているかを確認する視点が役立ちます。判断の根拠がどの目的に結び付くのかを整理し、そのつながりを与えられた条件から説明できるか考えましょう。

視点

目的は判断のよりどころになります。目的と判断の根拠を結び付けて整理すると、考える途中で目的を取り違えていないかを確かめやすくなります。

確認ポイント

  • 判断のよりどころとなる目的を捉えているか
  • 判断の根拠を、その目的と結び付けて考えているか
  • 目的と根拠のつながりを、与えられた条件で説明できるか
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解説

本問は、新技術と業務システムを連携させた新サービスについて、企画の背景から利用者の便益、投資効果、導入時の検証と経営層への提案までを一貫して論述する問題です。添付資料には具体的な答案例はなく、出題趣旨と採点講評を基に、事業戦略との関係と具体性を押さえます。

問題の全体像

問題文は、銀行のスマートフォン向けアプリケーション・オープンAPIと銀行システムの連携、航空業のタブレット端末と整備管理システムの連携を例に、事業戦略を実現する新サービスの企画を扱っています。前者では顧客の利便性と収益の向上、後者では整備作業の品質と効率の向上が企画の目的です。出題趣旨では、利用者、ビジネスモデル又はビジネスプロセス、利用者の便益、投資効果、導入時の検証内容と対応策を明確にした具体的な論述を求め、構想力・企画力・行動力などを評価するとしています。添付の2枚目は具体的な公式解答例ではなく出題趣旨です。自分の経験と考えに基づき、設問アで背景、設問イで企画内容と効果、設問ウで導入時の検証と提案・改善をつなげて書くことが必要です。

設問ア

着目するのは、設問に列挙された「事業概要、事業特性、事業戦略、新技術を採用した必要性」です。800字以内で、どのような事業を営み、どのような特性や課題があり、何を目指す戦略の下で新サービスを企画したかを説明します。事業特性は、利用者の行動、業務の場所や時間の制約など、企画に関係するものに絞ると、後続の設問につながります。新技術の必要性は、その技術によってどの制約を解消し、戦略の実現にどう貢献できると考えたかを示します。これは、問題文が新技術の採用を事業戦略の実現手段として位置付けているためです。採点講評では、全問共通の注意として、論述対象の概要の記述不足や、名称と論述内容の不整合を指摘しています。対象となる事業と企画が読み手に分かるようにし、設問イ・ウでも同じ対象と戦略を扱います。

設問イ

着目するのは、「設問アで述べた事業戦略を実現するために」と、「ビジネスモデル又はビジネスプロセス、利用者の便益、投資効果を明確にして」という要求です。800字以上1、600字以内で、対象利用者、新サービスの内容、新技術と業務システムの連携、検討したビジネスモデル又はビジネスプロセス、便益、投資効果を具体化します。ビジネスモデルを選ぶ場合は、誰にどの価値を提供し、収益につなげる仕組みをどう組み立てたかを示します。ビジネスプロセスを選ぶ場合は、誰がどの作業を行うか、従来の手順をどう変えるかを示します。採点講評では、両者の混同への注意に加え、問2について、モデル又はプロセスを具体的に述べず、システム機能中心に終始した論述を指摘しています。そのため、機能ごとに説明を重ねるよりも、利用者や業務の変化と事業戦略への貢献を結び付けます。また、採点講評では、投資効果の前提条件・算出根拠・実現可能性を具体的かつ定量的に記述できていない論述も指摘しています。投資額や運用費、便益を金額に換算する根拠、対象件数や利用率などの前提を示し、効果の見積りが実現可能と判断した理由まで説明することが学習上の重点です。

設問ウ

着目するのは、問題文にある「有効性、信頼性、安全性など」の検証と、設問が求める「対応策の評価と評価を受けて改善したこと」です。600字以上1、200字以内で、設問イの新サービスについて、何を確かめる必要があったか、そのためにどのような対応策を立案して経営層に提案したか、対応策をどう評価され、その評価を受けて何を改善したかを順に説明します。問題文は、試験的な導入や、機能・範囲を限定した段階的な導入を対応策の例として挙げています。自分の事例に即して、検証する事項と、導入対象・範囲・方法などを対応させると具体化できます。学習上は、確認する指標や判断基準、提案への指摘、その指摘を受けた対応策の変更まで示すと、検証と改善の関係が伝わります。これらは問題文・設問・出題趣旨に基づく助言です。添付の採点講評の問2部分には、導入時の検証内容や対応策の具体性不足を指摘した記述はありません。出題趣旨が検証内容と対応策の明確化を求めていることを根拠に、設問イの便益や投資効果を実現するための検証として論述します。

学習のポイント

システム機能の説明を事業や業務の変化に結び付け、投資効果の前提条件・算出根拠・実現可能性を定量的に示す練習が重点です。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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