STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成30年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
課題を考える前に根拠を確かめる
事業の変化に関する課題を考えるときは、気になった点がどの事実に基づくのかを確かめましょう。印象だけで判断せず、与えられた情報の中で根拠をたどれるかという一つの観点に集中します。
この問題で問われていること
自分が課題だと考えた点について、その判断を支える事実がどこにあるかを確認してください。読み取った内容と自分で補った推測を区別し、根拠として使える範囲を確かめることが検討の焦点です。
視点
課題についての見立てと、それを支える事実は分けて整理します。見立てを記すときに根拠も添えると、与えられた情報から言えることと、推測として扱うことの境目を確認できます。
確認ポイント
- 判断の根拠にした事実を示せるか
- 情報に書かれた内容と自分の推測を分けているか
- 根拠が支える範囲を超えて判断していないか
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解説
部品流通による社内工数の削減と再利用の促進、案件管理に必要なアクセス履歴と見積額の統一、Web事業に必要な編集機能と継続的な運営体制を、本文の課題と方針に結び付けて読み取る問題です。
問題の全体像
C社は広告コンテンツの制作を社外のデザイナに委託しているが、類似部品でも改めて制作するため、外部委託費や事務手続の社内工数が掛かっている。また、案件ごとの担当者配置では業務ノウハウが蓄積しにくく、顧客への継続的な対応も十分にできていない。紙媒体の受注減少を背景に、部品流通の仕組み、案件管理システム、Web関連事業への展開を検討している。公式解答例の出題趣旨では、情報技術を業務の効率向上や新しい事業の構築に応用する能力を評価するとしている。各設問では、技術そのものの説明よりも、本文の課題に対してどの効果、機能、組織体制が必要になるかを捉える。
設問1(1)(C社)
〔制作業務の現状〕にある、部品を改めて制作する際に契約や関連資料の授受などの事務手続が発生する点に着目する。新たな仕組みでは、著作権を保有する社外のデザイナから既存の部品を購入でき、再制作に伴う手続の負担を減らせる。本文には外部委託費はあまり変わらないと明記されているので、C社のメリットは社内工数の削減として捉える。公式解答例では「事務手続のための社内工数が削減できること」としている。30字以内では、削減対象が事務手続に要する社内工数であることを押さえる。
設問1(1)(社外のデザイナ)
従来は納品時に著作権をC社へ譲渡していたのに対し、新たな仕組みでは著作権を社外の各デザイナに留保させたまま、部品を取引先間で融通する点に着目する。社外のデザイナは過去に制作した部品を別の案件にも活用できるようになる。公式解答例では「過去の部品の再利用が可能になること」としている。採点講評では、「著作者人格権が行使できる」と述べた解答が一部に見られ、具体的にどのようなメリットが実現するのかを書くことを求めている。30字以内では、過去の部品を再利用できるという業務上の効果を示します。
設問1(2)
空欄aは、業務プロセスの視点から、制作業務に着目したKPIを求めている。試行では、過去の部品を購入して利用できるようにすることで、改めて制作する必要を減らす。この変化を測る指標として、公式解答例では「部品の再利用率」を挙げている。再利用が制作業務の中でどの程度進んだかを数値で確認でき、試行の効果を評価することにつながる。採点講評では、「業務ノウハウ蓄積度」のように計数対象や算定方法が不明な指標、取組みの成否との関連が乏しい指標に注意を促している。15字以内では「部品の再利用率」と簡潔に示す。
設問2(1)
〔制作業務の現状〕では、機密保持が必要な案件について、コンテンツへのアクセスを案件担当者に限り、アクセス履歴を保管している。一方、案件管理ツールは営業部全員での情報共有に活用されている。案件管理システムにも、機密情報へのアクセス状況を後から確認できる機能が必要になる。公式解答例では「案件へのアクセス履歴を保管する機能」としている。履歴の保管によってアクセスを追跡でき、情報漏えいへの対応や監査での確認に役立つ。25字以内では、対象を案件とし、アクセス履歴を保管する機能を明記する。
設問2(2)
一つの広告主の同じ案件について、複数の広告代理店から別々に見積依頼される場合でも、C社は同一の見積額を提示する方針です。この方針を確実に守るため、案件情報や見積条件から同じ案件と判断できる引合いを関連付けて管理する。公式解答例では「複数の広告代理店に同一の見積額を提示するので」としている。問われているのは関連付けの業務上の理由なので、30字以内では、複数の広告代理店への見積額を統一するという目的を押さえる。
設問3(1)
現状のコンテンツ管理システムには、図、写真、文章から成るコンテンツの登録や編集機能がある。これに対し、拡大するWebデザイン業務では動画と音声も扱うと記載されている。現在扱える素材と今後扱う素材を比較すると、不足するのは動画と音声の編集機能です。公式解答例では「動画と音声のコンテンツの編集機能」としている。25字以内では、動画と音声の両方を挙げ、求められている編集機能として表現する。
設問3(2)
冒頭の、案件ごとに担当者を割り当てるため業務ノウハウが蓄積しにくく、顧客から求められる継続的な対応も十分にできていないという課題に着目する。今後はプラットフォーム運用事業やWebの運用事業が拡大するため、継続的に業務を担う体制が必要になる。運用部の新設は、この運営体制を確保する狙いとして捉える。公式解答例では「拡大する運用事業の継続的な業務運営」としている。採点講評では、「システムの運用」「事業の運用」といった運用部の業務そのものを答えるだけでなく、C社の課題を念頭に置くことを求めている。25字以内では、拡大する運用事業を継続的に運営するという目的を示します。
学習のポイント
技術の一般的な利点ではなく、事例固有の業務改善効果を捉え、機能と目的を区別して字数内にまとめる力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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