STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成30年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
検討の前提をそろえて整理する
業務の改善を考えるときは、判断に使う情報の前提がそろっているかに注目しましょう。扱う情報の範囲や時点を確かめ、異なる条件の話を混ぜずに整理すると、検討すべき点を落ち着いて捉えられます。
この問題で問われていること
検討の焦点は、判断の土台となる条件を同じ意味で捉えられているかです。示されている内容について、どこまでを対象とし、どの時点を前提にしているのかを確認し、明示された条件と自分の補足を区別しましょう。
視点
情報の前提をそろえるとは、内容を解釈する際の条件を確かめることです。意味が曖昧な部分は推測で埋めず、与えられた内容から分かる範囲を整理しましょう。
確認ポイント
- 情報が対象とする範囲を確認したか
- 情報が前提とする時点を確認したか
- 明示された前提に、自分の想定を加えていないか
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解説
生産計画と製造管理の情報を、短期商談への対応、製造の遅れの早期把握、部品管理、品質確保、取引先への情報提供に活用する問題です。現状の課題と新システムの機能を対応付け、具体的な改善方法と効果を説明します。
問題の全体像
B社は、標準品向けの既存システムでは受注生産品への対応が不十分なため、生産計画システムと全工程を管理する製造管理システムを導入します。営業には生産可否を判断できず短期商談を見送る課題があり、製造には問題発見の遅れ、部品準備の工数、古い部品の劣化、想定以上の時間外作業などの課題があります。出題趣旨では、システムの機能と蓄積情報を業務改善に活用する能力を評価するとしています。各設問では、課題に対してどの情報や機能を使い、何を改善できるかを本文に即して説明することが求められます。
設問1
営業部門が短期商談に取り組めなかった理由は、生産可否を判断できなかったことです。導入計画には、営業部門からも「工場の生産能力の余力の状況」を確認できるとあります。新たな商談に対応できる生産上の余裕を確認することが、商談に取り組むための判断につながります。公式解答例では「生産能力の余力の状況」と示されています。15字以内の答案では、確認対象をこの情報に絞って記述します。
設問2(1)
現状は計画数量と実績数量の差が作業終了時にしか分からず、未達が発生しても当日中に対応できません。導入後は製品の実績数量が時間ごとに記録されるため、計画数量との差異を時間ごとに把握すれば、製造の遅れを早期に捉えられます。公式解答例では「計画数量と実績数量の差異を時間ごとに把握する。」としています。採点講評では、実績数量による比較と比較頻度を記述できていない解答が多かったと指摘しています。30字以内でも、計画数量・実績数量・時間ごとの三要素を押さえます。
設問2(2)
部品倉庫では出庫の順序を管理していないため、古い部品が残り、ゴム製部品が劣化することがあります。新システムでは部品の入出庫日付を管理するので、入庫日付を使って古い部品から出庫する順序を決められます。公式解答例では「部品の入庫日付がより古い部品から出庫させる機能」としています。30字以内の答案では、順序の判断基準が入庫日付であり、古いものを先に出庫する機能であることを明示します。
設問2(3)
現状は製品を組み立てるごとに部品を出庫して取りそろえるため、作業工数が掛かっています。導入後の製造指示には、1日分の複数製品の製造数量と製品ごとの部品リストが含まれます。これらから必要な部品数量をまとめ、まとめて出庫するための指示データを作成すれば、準備作業を改善できます。公式解答例では「複数の製品の製造に必要な部品の出庫指示データをまとめて作成する機能」としています。採点講評でも、組立ての単位ごとではなく、1日の製造に必要な部品を一度で出庫する点を重視しています。40字以内では、複数製品・必要部品・出庫指示データの一括作成を押さえます。
設問3(1)
熟練作業者は、作業開始時の温度と湿度を参考に、成形後の乾燥時間と焼成の窯の温度を調整して不具合を防いでいます。設問は、作業者が参考にした情報をタブレット端末で入力することを問うています。作業実績時間と窯の温度実績は自動記録されるので、それらと関連付けてノウハウを分析するために、判断の前提となった温度と湿度を入力します。公式解答例では「温度と湿度の情報」としています。15字以内では、この二つの情報を簡潔に示します。
設問3(2)
部品メーカが情報を求めている目的は、自社の製造計画を作成するためです。B社から今後どれだけの部品が発注される見込みかが分かれば、製造数量を計画する材料になります。B社は生産・製造計画、製品ごとの部品リスト、部品在庫の情報を扱うため、今後必要となる部品と発注の見通しを把握できます。公式解答例では、提供する情報を「部品の発注予定数量」としています。15字以内の答案では、現在の在庫数量ではなく、今後の発注予定数量を明示します。
設問3(3)
現状は販売見込みの数量が大きく増えると、計画した要員では就業時間内に対応できず、想定以上の時間外作業が生じてコストが増加します。変更後は、一定の時間外作業を含めて設定した生産能力の上限を超えないよう、製品の生産順序を入れ替えて計画します。このため、生産負荷の集中による想定以上の時間外作業を抑えられます。公式解答例では「想定以上の時間外作業時間を抑えられる。」としています。25字以内では、この改善効果を具体的に記述します。一定の時間外作業は生産能力に含まれるため、時間外作業が全てなくなるとは読み取れません。
学習のポイント
課題・利用する情報・改善方法をつなぐ読み方を身に付け、比較対象、把握頻度、処理の単位を答案に明示することが重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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