STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成29年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問2 情報システムの目標達成の評価について 情報システムを活用し,経営戦略の実現や業務上の問題解決などをする際,情報システム導入の目的を定めた上で,例えば,インターネットからの受注件数や顧客への納期遵守率などの指標とその目標値を具体的に設定することが大切である。そして,稼働後に,設定した目標値に対する達成状況を繰返し評価する必要がある。その際は,次のようなことが重要である。 ・客観性を担保するために,業務処理の時間を実際に測定したり,情報システムの受注データ件数を調べたりするなど,定量情報を収集する。 ・関係者に目標値の達成状況に関するヒアリングを行う際は,特定の個人,部門に偏った意見収集にならないように考慮する。 ・設定した目標値に対する達成状況を,業務面,システム面それぞれの実現度合いを対象に評価する。 評価の結果,設定した目標値と達成状況に差異が見られた場合,差異が発生している原因の分析を行った上で,業務面,システム面の課題を抽出する。経営層,利用部門,情報システム部門に評価の結果と課題を説明する際は,今後の経営環境の変化及び情報システム導入の目的に照らし合わせ,課題を解決することによる目標達成への貢献の見込み,課題解決の緊急度を整理した上で,課題対応の優先度もあわせて説明することが重要である。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった情報システムの目標達成の評価において,情報システム導入の目的及び概要,設定した指標とその目標値について,事業特性とともに 800 字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた目標値について,あなたはその達成状況をどのように評価し,その結果はどのようなものであったか。また,抽出した業務面,システム面の課題はどのようなものであったか。重要と考え,工夫した点とともに 800 字以上 1、600 字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた評価の結果及び抽出した業務面,システム面の課題に対し,あなたはどのように経営層に説明したか。それに対する意見はどのようなものであったか。意見を受けて改善したこととともに 600 字以上 1、200 字以内で具体的に述べよ。
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判断の前提と根拠の範囲を確かめる

検討するときは、ある判断がどの情報を根拠にしているか、その情報がどこまでの範囲を支えているかに注目しましょう。結論を急がず、与えられた事実と自分が補った前提の境目を意識して考えてください。

この問題で問われていること

注目するのは、判断の根拠として扱う情報の範囲です。扱う対象や条件を自分で広げていないかを確かめ、示された情報だけで考えられる部分と、追加の前提を置いて考えている部分を区別して整理しましょう。

視点

根拠の範囲とは、参照した情報から何について考えられるかという境界です。自分の経験や想像による前提が混ざっていないかを振り返り、判断に用いる情報とのつながりを整理してみましょう。

確認ポイント

  • 根拠にしている情報は何か
  • その情報が扱う対象や条件はどこまでか
  • 自分で補った前提が混ざっていないか
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解説

本問は、情報システム導入後の目標達成状況を、客観的な情報に基づいて評価する方法と工夫を問う論述問題です。評価結果から業務面・システム面の課題を抽出し、目標達成への貢献見込みや緊急度を踏まえた対応優先度を経営層に説明し、その意見を改善につなげる過程を具体的に示す。

問題の全体像

本問は、受験者自身が携わった情報システムについて、導入目的に対応する指標と目標値を設定し、稼働後に達成状況を繰り返し評価した経験を論述する問題です。問題文は、定量情報の収集、偏りのないヒアリング、業務面とシステム面それぞれの評価を重視している。目標値と実績に差異があれば、その原因を分析して課題を抽出し、対応優先度を説明するところまでが対象となる。添付の解答例資料にある問2の内容は出題趣旨であり、具体的な模範答案ではありません。出題趣旨では、的確な評価のための工夫と、抽出した課題を経営層にどう説明したかを通じて、問題分析力や課題設定力などを評価するとしている。設問アで対象と目標、設問イで評価と課題、設問ウで経営層への説明と改善を示し、全体の整合性を保つことが重要です。

設問ア

800字以内で、事業特性、情報システム導入の目的と概要、設定した指標と目標値を記述する。着目するのは、問題文冒頭の「情報システム導入の目的を定めた上で」、指標と目標値を具体的に設定するという関係です。事業特性からどのような経営上・業務上の必要性が生じ、その実現のためにどの業務を対象とするシステムを導入したのかを簡潔に示す。その上で、導入目的の達成を判断できる指標と、数値・単位などを明確にした目標値を書く。問題文の受注件数や納期遵守率は指標の例示なので、自分の経験に合う指標を用いる。字数内では、事業特性から導入目的、システム概要、指標・目標値へのつながりを優先する。採点講評では全問共通の注意として、対象システムなどの概要が不適切な答案や、論述内容との整合性が取れていない答案が指摘されているため、後続の評価と課題を理解できる概要にする。

設問イ

800字以上1、600字以内で、設問アの目標値をどのように評価したか、その結果、抽出した業務面・システム面の課題、重要と考えて工夫した点を具体的に述べる。問題文の三つの箇条書きに着目し、どの期間・対象について、何のデータをどのように収集し、目標値と比較したのかを説明する。ヒアリングを行った場合は、特定の個人や部門に意見が偏らないようにした工夫も示す。業務面では運用や作業の実現状況、システム面では機能などの実現状況を評価し、目標値と実績の差異があれば、その原因を分析して両面の課題へつなげる。工夫は単に「客観性を重視した」と述べるだけでなく、そのために行った測定や情報収集などの行動として書く。問2の採点講評では、達成状況をどのように評価したかを具体的に論述せず、評価結果の説明だけに終始した答案が指摘されている。したがって、字数を結果だけに使わず、評価方法と工夫、結果、原因分析と課題抽出の過程に配分することが重要です。

設問ウ

600字以上1、200字以内で、設問イの評価結果と業務面・システム面の課題を経営層にどう説明したか、どのような意見を受け、その意見を受けて何を改善したかを記述する。説明の観点は、問題文後半に明記されている。今後の経営環境の変化と情報システム導入の目的に照らし、課題を解決することによる目標達成への貢献見込み、課題解決の緊急度を整理して、対応優先度も説明する。答案では、設問イで抽出した課題について、どの対応を優先すると説明し、その判断をどのような貢献見込みや緊急度に基づけたのかを具体化する。続いて、経営層の意見の内容と、それを受けて見直した対応内容・優先度などを、実際の経験に沿って示す。出題趣旨では、抽出した業務面・システム面の課題をどのように経営層に説明したかを具体的に論述することが求められている。字数内では、説明内容と優先度の根拠、経営層の意見、その意見を受けた改善のつながりを押さえる。

学習のポイント

評価方法と評価結果を区別し、導入目的、指標、差異の原因、課題、対応優先度、経営層の意見を受けた改善を一貫して説明する練習をする。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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