STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成29年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問3

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

問3 組込みシステムにおける事業環境条件の多様性を考慮した製品企画戦略について 組込みシステム製品の事業環境は,昨今の IoT ソリューションの急成長などに支えられた新市場開拓,新分野進出などによって活性化し,市場が拡大している。それとともに,異業種からの新規参入が増加し,他社との競争が激化している。また,組込みシステム製品への AI などの先端技術の導入も進むなど,事業環境条件は多様に変動している。 そのような状況において,他社との競争に勝ち抜くために,組込みシステムの IT ストラテジストは,製品を企画する際にまず,事業環境条件の多様性を的確に分析し,その分析結果を基に製品企画戦略を策定することが重要である。 事業環境条件を,自社内の環境資源である内部環境と社外に存在する外部環境に大別する。内部環境については,競合他社と比較して自社の強み・弱みの要素を挙げ,分析する。外部環境については,機会・脅威の要素を挙げ,分析する。それらの分析結果の各要素を検討・調整して,最適な戦略の策定を行う。その検討例を次に示す。 ・自社の保有技術,知的財産などによる強みを生かした方策の検討 ・保有していない技術などの弱みを強みに変える方策の検討 ・市場の需要拡大などの機会に強みを生かす方策の検討 ・弱みと,競合他社の低価格化,新規参入などの脅威とが重なる場合の対策の検討 ・セキュリティ面,将来の市場の縮小化などの脅威に伴う対策の検討 製品企画を検討する際には,事業環境条件の多様性を考慮しながら適切な分析手法を用い,その分析結果を基に製品企画戦略を策定することが重要である。 あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが携わった組込みシステム製品の企画の概要,製品の特徴及び事業環境条件の多様性について,800 字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた製品企画の際に分析した内部環境・外部環境の各要素を挙げ,それぞれどのように分析したか。また,各要素に対して,どのような方策又は対策を検討したか。その検討内容を基に,どのような観点で製品企画戦略を策定したか。分析・検討・策定した内容を,800 字以上 1、600 字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べた内部環境・外部環境の分析結果,それらの分析結果に基づいた方策又は対策の妥当性,及び策定した製品企画戦略の評価について,策定した結果を含め,600 字以上 1、200 字以内で具体的に述べよ。
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判断の前提をそろえて考える

事業環境や製品企画について考える際は、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。同じ内容でも、前提の置き方によって受け止め方は変わります。まず、与えられた情報と自分の補足を区別して整理します。

この問題で問われていること

この問題では、検討に使う前提が途中で変わっていないかを意識して考えてみましょう。判断を進めるときは、何を根拠として置いたのかを振り返り、与えられた条件を自分の思い込みで補っていないか確かめます。

視点

前提とは、考察を進める際に土台として扱う条件です。検討の途中で前提を置き直した場合は、その変更を意識しておくと、判断の根拠を整理しやすくなります。

確認ポイント

  • 判断の根拠にした前提を言葉にできるか
  • 明示された条件と自分で加えた仮定を区別したか
  • 検討の途中で前提を無意識に変えていないか
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解説

多様に変動する事業環境を内部環境と外部環境から分析し、方策・対策の検討、製品企画戦略の策定、その評価までを具体的につなげて論述する問題です。分析結果の列挙にとどまらず、戦略を策定した観点と判断の根拠を示すことが要点です。

問題の全体像

本問は、IoTによる市場拡大、AIなどの先端技術の導入、異業種からの参入による競争激化などを背景に、組込みシステム製品の企画戦略を論述する問題です。問題文では、内部環境を競合他社と比較した強み・弱み、外部環境を機会・脅威として分析し、各要素を検討・調整して戦略を策定する流れが示されています。添付の公式資料に示されているのは個別の答案例ではなく出題趣旨であり、分析内容、方策・対策の検討内容、戦略の策定内容と評価を具体的に述べることが求められています。採点講評では、対象製品の概要と論述内容の整合性、分析結果から戦略を策定した観点が読み取れることの重要性が示されています。

設問ア

着目するのは「製品の企画の概要」「製品の特徴」「事業環境条件の多様性」の三点です。800字以内で、自分が携わった組込みシステム製品について、何を目的にどのような製品を企画したか、その特徴は何か、企画時にどのような事業環境条件が存在・変動していたかを説明します。例えば市場の需要変化、競合の参入、利用可能な技術の変化などを、対象製品との関係が分かる粒度で示すと、設問イの分析につながります。これらは記述する内容の例であり、全てを盛り込む必要はありません。採点講評では、製品やシステムの概要が不適切で、論述内容との整合性が取れていない答案が指摘されています。後続の分析を理解できる概要を示すことが大切であり、企画から実現までの経緯は必須事項ではありません。

設問イ

「各要素」「どのように分析したか」「方策又は対策」「どのような観点で製品企画戦略を策定したか」を一続きで説明します。800字以上1、600字以内で、設問アの製品に関係する主要な要素を選び、内部環境では競合他社と比べた強み・弱み、外部環境では機会・脅威について、判断の根拠と製品企画への影響を述べます。続いて、分析結果に応じて検討した方策・対策を説明し、それらをどの観点で検討・調整して戦略にまとめたかを示します。問題文の検討例には、保有技術を生かす方策、不足技術への方策、市場拡大の機会を生かす方策、弱みと脅威が重なる場合の対策などがあります。自分の事例に即して、要素間の関係と選択理由を具体化しましょう。採点講評では、分析結果だけの論述や、戦略を策定した観点が読み取れない論述が指摘されています。分析手法の名称や分類だけで終わらず、分析が戦略上の判断にどうつながったかを示すことが重要です。

設問ウ

着目するのは「分析結果」「方策又は対策の妥当性」「製品企画戦略の評価」と「策定した結果を含め」です。600字以上1、200字以内で、設問イの主要な分析結果を踏まえ、検討した方策・対策がなぜ適切と判断できるか、策定した戦略をどのように評価したかを具体的に述べます。例えば、強みが機会を生かす方策につながっているか、弱みや脅威に対する対策が適切かといった観点は、評価を説明する際の例になります。策定した結果としてまとまった戦略の内容を示し、その評価と理由を結び付けると、設問イとのつながりが明確になります。出題趣旨でも、その戦略をどのように評価したかの具体的な論述が求められています。製品化後の顧客獲得、売上・利益などの実績を必須とする記載はありません。実績がある場合は評価の根拠として用いることもできますが、答案の中心は、分析結果、方策・対策の妥当性及び策定した戦略の評価です。

学習のポイント

強み・弱み・機会・脅威の分析を、方策・対策の選択理由と戦略の評価へ結び付ける論述を練習しましょう。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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