STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成29年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
判断に使う前提をそろえる
事業について考えるときは、個々の情報をすぐに結論へ結び付けず、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。与えられた情報の範囲で、何を前提として捉えているのかを整理すると、検討の筋道を保ちやすくなります。
この問題で問われていること
今回の検討では、判断に使う前提を一つの観点として意識してください。ある情報を別の情報と結び付ける際に、明示された条件をそのまま用いているか、自分の想像で条件を補っていないかを確かめながら考えてみましょう。
視点
情報を解釈するときの前提には、与えられた条件と自分が補った想定が混ざることがあります。まず両者を区別し、どの前提に基づいて考えているかを意識して整理しましょう。
確認ポイント
- 判断に用いる前提を言葉にできているか
- 明示された条件と自分の想定を区別しているか
- 検討の途中で前提を置き換えていないか
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解説
画像データ利用の需要拡大とR社の保有技術を根拠に、超小型人工衛星の事業性を検討する問題です。開発体制の移行条件、損失額の小ささを生かした販売戦略、購入者の契約負担を減らす施策までつなげて読み取ります。
問題の全体像
特殊カメラメーカのR社は、既存事業への新規参入が増える中、中長期的に収益性の高い新事業を必要としています。E氏は、画像データ利用の需要拡大を捉え、赤外線カメラとジャイロの技術を生かした超小型人工衛星事業を検討します。公式の出題趣旨では、社会の状況と自社の保有技術を基に、将来性のある事業計画を立案する能力を問うとされています。需要と技術による事業性の判断、開発体制の選択、リスクへの対応、顧客の利便性を高める事業展開が主要な論点です。
設問1(1)
〔日本の宇宙事業の状況〕にある、第一次産業を中心に「人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつある」という記述に着目します。農業だけでなく、漁業や樹木管理にも用途が広がっているため、早期の製品化によって増大する需要を取り込めると考えられます。公式解答例では、この画像データ利用の要求の急増を理由にしています。35字以内では「人工衛星による画像データ利用の要求が急速に高まりつつあるから」とまとめられます。採点講評では、開発会社が少ないという供給面の説明をした誤答が指摘されています。
設問1(2)
表1では、観測機器系技術と姿勢制御系技術は、一般的な人工衛星からの流用性がともに「低」とされています。赤外線カメラは観測機器系技術に、ジャイロは姿勢制御系技術に対応するので、R社の保有技術を、超小型人工衛星向けに新たな開発が必要な部分に生かせます。公式解答例では、開発が必要な要素技術に使えることを強みの理由としています。30字以内では「超小型人工衛星用に開発が必要な要素技術に使えるから」と、保有技術と開発課題の対応を示します。
設問2(1)
〔日本の人工衛星事業の事業体制〕のオープンラボの特徴にある、「プロジェクト内で相互に最新の保有技術、研究成果を生かせる」という記述に着目します。R社には保有技術面の課題が多いため、参加者の技術や研究成果を活用することが、事業を早期に開始するための目的になります。公式解答例では「プロジェクト内の最新の保有技術、研究成果を生かすため」と示されています。30字以内では、この活用目的を簡潔に書きます。採点講評では、保有技術面の課題が多いという問題点や実情だけを答えた誤りが指摘されています。
設問2(2)
企業が単独で進める場合の特徴にある、「自社で準備できない技術は、安価で購入できることが前提となる」という記述が根拠です。表1の注記には、観測機器系以外の要素技術について、超小型人工衛星向けの標準化が進む見込みも示されています。公式解答例では、自社で準備できない技術を安価に購入できることを、単独開発へ移る条件としています。25字以内では「自社で準備できない技術が安価で購入できること」とまとめられます。採点講評では、条件を問われているのに、自社単独とする「目的」や「理由」を答えた誤りが指摘されています。
設問2(3)(特徴)
〔人工衛星事業の分析〕にある、超小型人工衛星は「リスクが表面化した場合の損失額が、一般的な人工衛星と比較して小さい」という特徴に着目します。この特徴は、故障を防ぐために高い冗長性を持たせる代わりに、運用不能時には同一の衛星を製造して無償提供する補償サービスを設ける方針とつながります。公式解答例でも、リスクが表面化した場合の損失額の小ささが示されています。40字以内では「リスクが表面化した場合の損失額が一般的な人工衛星より小さい」とまとめられます。失敗や故障の発生確率が低いという意味ではありません。
設問2(3)(事業戦略)
一般的な人工衛星は、多機能と高い冗長性によって開発期間が長く、原価が高くなり、収益性が悪いとされています。一方、超小型人工衛星は数多く販売しないと事業が成り立ちません。汎用部分のプラットフォーム化と補償サービスによって高い冗長性を省く方針を、収益性と販売数に結び付けて考えます。公式解答例では「収益性が高い新たな事業戦略」と「数多く販売する事業戦略」が示されています。15字以内では、これらのいずれかの方向性を簡潔に表します。
設問3(1)
方針①は、R社が衛星とデータ処理システムを保有し、観測データを処理して提供する事業です。対象市場は、〔日本の宇宙事業の状況〕にある、農業、漁業、樹木の健康管理・伐採管理という用途から読み取ります。本文は、これらを「第一次産業を中心に」とまとめています。公式解答例では「第一次産業」と示されています。10字以内の答案では、この市場名を答えます。データの取得方法ではなく、その情報を利用する産業に着目することがポイントです。
設問3(2)
〔日本の宇宙事業の状況〕にある、購入者が人工衛星開発会社、ロケット会社、データ処理会社を探し、それぞれと個別に契約しなければならない煩雑さに着目します。衛星を購入した後、目的を達成するまでの手間を減らすことが、購入者の利便性向上につながります。公式解答例では、ロケット会社と提携して個別契約を不要にする戦略と、目的に合うデータ処理会社を探して仲介する戦略が示されています。30字以内では「ロケット会社と提携して個別に契約する必要をなくす」または「目的に合うデータ処理会社を探して仲介する」と、具体的な施策を示します。
学習のポイント
設問が求める理由・目的・条件を区別し、市場需要、自社技術、リスクの特徴から具体的な事業戦略を導く練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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