STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成29年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
利用目的と検討対象のつながりを整理
データを使う目的を手掛かりに、検討対象とのつながりを整理しましょう。目的を自分の言葉で短く置き換え、与えられた条件との関係をたどると、判断に必要な論点を落ち着いて捉えられます。
この問題で問われていること
この分野では、検討対象がどの目的に関わるのかという一点に注目して考えます。与えられた内容を整理する際も、目的とのつながりを説明するための情報はどこにあるか、という問いを軸にしてみましょう。
視点
目的と検討対象のつながりを整理するとは、何のために考えている内容なのかを言葉にすることです。用語の印象だけに頼らず、与えられた条件の中で、その関係をどこまで説明できるか確かめましょう。
確認ポイント
- 検討の目的を自分の言葉で短く表せているか
- 目的とのつながりを考える根拠は何か
- 目的との関係に、示されていない前提を加えていないか
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解説
C社の保有データを使った収益改善について、顧客の囲い込み、匿名化した情報の保護、商品単位のデータを取得できない制約、債権売却交渉への証拠提示を読み取る問題です。運用後の課題では、集計カテゴリの設定支援と未決済残高の入力不足を捉えることが要点です。
問題の全体像
C社は会員数や手数料収入が伸び悩み、収益改善を目指しています。多様な会員属性や加盟店の決済データを保有する一方、商品単位の決済データは取得できません。営業部門はデータを活用した特典サービスで取引量を増やし、審査部門は利用限度額の適正化や債権売却条件の改善で損失を減らそうとしています。公式の出題趣旨では、新しいサービスの構築やサービス向上に情報技術を応用する能力を評価するとされています。各設問では、施策の目的、データの制約、個人情報の保護、システム運用後の課題を本文の具体的な事実と結び付けて説明することが求められます。
設問1
〔新たな取組みに向けた背景〕の「退会者は多くのポイントを残したまま退会しているケースが多い」に着目します。ポイントシステムの目的は顧客のロイヤリティ維持と囲い込みですが、ポイントを失うことが退会を思いとどまる理由になっていません。公式解答例では「ポイントの残高が退会の抑止になっていないこと」としています。30字以内の答案では、ポイント残高と退会抑止の関係を押さえます。採点講評では、退会後のポイントの利用状況が分からないという解答は、顧客の囲い込みによって取引の維持・拡大を狙うC社の課題に合致しないと指摘しています。利用状況の把握よりも、施策が目的を達成しているかを判断する設問です。
設問2(1)
〔営業部門の取組み〕にある、会員を匿名にしていても、対象者が極めて少ない地域では加盟店に会員を特定された過去の事案に着目します。氏名などを隠しても、地域や年齢などの条件で対象者が少数に絞られると、加盟店が持つ情報と照合して個人を推測できるおそれがあります。そこで、抽出結果が極めて少数になる場合には、年齢区分などの集計カテゴリを広げます。公式解答例では「加盟店が特典の対象者を特定できないようにしたいから」としています。30字以内では、加盟店による対象者の特定を防ぐという目的を明確にします。「個人情報を保護するため」だけでは、一定数以下にならない仕組みとの関係が十分に伝わりません。
設問2(2)
〔C社の状況〕の「商品単位の決済データは取得できない」と、特典利用の清算を会員向け請求データの作成時に行う点を結び付けます。特定商品を対象に割引するには、その商品を購入したかどうかを判定する情報が必要ですが、C社の決済データでは判定できません。一方、利用額は把握できるので、利用額に応じた割引であれば処理できます。公式解答例では「商品単位の決済データが提供できないから」としています。25字以内では、商品単位の決済データがないという制約を押さえます。加盟店が割引率を選択できる利便性や費用管理だけに着目せず、特定商品向けの特典を採用できない理由を読み取ります。
設問3(1)
〔新たな取組みに向けた背景〕の、債権回収見込みを客観的な証拠で示せると売却交渉が有利になるという記述に着目します。債権割引額は交渉で調整されるため、回収が見込める根拠を債権回収事業者に提示すれば、売却時の割引額を減らす効果が期待できます。公式解答例では「債権回収事業者に債権回収見込みの客観的な証拠を提示する。」としています。35字以内では、提示先、回収見込み、客観的な証拠の提示を押さえます。採点講評では、利用限度額の適正化による延滞債権の減少は間接的な効果であり、この設問では割引額をより直接的に削減する証拠の提示が適切だと説明しています。
設問3(2)
審査部門の仮説は、延滞の増減と年収・地域性との関係に加え、低額の日用品と高額な耐久消費財の間の購買頻度の変化を検証するものです。住所、年収、購入額は既に提供する条件なので、それ以外に購買履歴を分析するための項目を表1から選びます。会員番号は同じ会員の属性や購入履歴を対応付けるため、購入店舗名は購入額と併せて購買の傾向を捉えるため、購入日は購入頻度や時系列の変化を調べるために必要です。公式解答例では「会員番号,購入店舗名,購入日」としています。20字以内では、この3項目を漏れなく列挙します。匿名化して提供する前提でも、同じ会員の記録を対応付ける必要はあります。また、表1にない商品名を追加して答える設問ではありません。
設問4(1)
運用後に加盟店から抽出条件の変更が相次いだことと、〔営業部門の取組み〕で営業部門が抽出結果を確認し、集計カテゴリを調整する手順を対応させます。条件が変わるたびに対象者数を確認し、極めて少数になる場合にはカテゴリを広げる必要があるため、この調整作業が負担になります。公式解答例では「適切な集計カテゴリの設定を支援する機能」としています。25字以内では、集計カテゴリの設定を支援する機能であることを押さえます。例えば、抽出人数を踏まえて条件の調整を支援することが考えられますが、これは公式解答例の機能を理解するための具体化です。単に変更依頼を受け付ける機能を追加するだけでは、営業部門の確認・調整作業の負担に対応できません。
設問4(2)
〔審査部門の取組み〕では、会員属性や支払状況に加えて「未決済の残高」に応じた評価を行うと明記されています。しかし、表1の入力項目には、現在の限度額、会員属性、購買履歴、月別請求日・月別入金日はあっても、未決済残高がありません。評価に必要な情報が入力から欠けているため、机上で想定した評価とシステムの結果に差異が生じる要因になります。公式解答例では「会員の未決済の残高」としています。15字以内では、この不足項目をそのまま答えます。本文には全社の債権総額による係数調整も記されていますが、この設問では、会員ごとの評価に必要とされた情報と表1を照合して不足を見つけることが要点です。
学習のポイント
事業上の目的から施策の有効性を判断し、必要なデータと実際の入力項目を照合する力を養いましょう。直接的な効果と間接的な効果を区別することも重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成29年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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