STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提と根拠を確かめる
事業に関する判断を考えるときは、その判断がどのような前提に基づいているかに注目しましょう。示された情報と自分の推測を区別し、判断を支える根拠が与えられた条件に沿っているかを確かめます。
この問題で問われていること
この問題では、判断の前提と根拠のつながりに着目して考えましょう。自分が置いた前提をいったん言葉にし、それが示された条件から読み取れるものか、それとも補ってしまった仮定かを確認することが検討の手掛かりになります。
視点
前提は、判断の出発点になる条件です。検討の際は、与えられた情報に基づく前提と、自分で付け加えた仮定を区別しておくと、判断の根拠を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を言葉にできているか
- その前提を支える情報が示されているか
- 示されていない条件を前提に加えていないか
正解と解説を見る
解説
社会インフラの老朽化への対応を、F社の振動解析技術と無線技術を活用した新事業につなげる問題です。行政方針の選択、保守費用を考慮した製品設計、事業経験を補う提携、海外・高速道路・重機分野への展開を、本文の具体的な根拠から説明します。
問題の全体像
F社は、自動検針機能付き流量メータへの更新需要が一巡し、新たな売上を生む製品を必要としています。一方、社会インフラの老朽化に対しては、異常の早期検出と維持・管理費用の削減が求められています。そこで、振動センサ信号から破壊前の変化を検出する保有技術を、水道管の常時監視へ活用する企画が示されています。出題趣旨では、社会の状況と自社の保有技術を整理し、新製品・新システム、有効なシステム化方法、市場展開を企画する能力を問うとしています。各設問では、企画の範囲、保守や提携の判断、市場ごとの技術の使い方を本文に即して説明します。
設問1
行政の方針①~③と、G氏が提示した企画条件①~③を対応させます。振動センサによる常時監視と分析は行政方針①の新技術による情報収集に、他の埋設管の配置確認は方針③の3次元情報の管理・活用に対応します。一方、社会インフラを管理・所管する者同士で情報を共有する仕組みは、この段階の企画条件に含まれていません。他の埋設管の情報を利用することと、管理者同士が情報を共有できることは区別して読みます。公式解答例では行政方針②を挙げています。35字以内では「社会インフラを管理・所管する者同士で情報を共有すること。」と要点をまとめられます。採点講評では、行政方針の中で何を優先し、何を検討から外したかの理解が評価されています。
設問2(1)
着目するのは、バルブの定期点検が10年ごとであることと、振動センサユニットのバッテリが10年間稼働することです。両者の周期が一致するため、バルブの定期点検に合わせてバッテリを交換でき、交換のための保守作業を別途行う負担を抑えられます。これは、G氏が「先々の保守コスト」を考慮したという記述に対応します。設置しやすさは設問で除外されているので、磁石や接着剤で取り付けられる点を理由にしません。公式解答例では「バルブの10年ごとの定期点検に合わせバッテリを交換できるから」としています。35字以内の答案では、点検周期とバッテリ交換を結び付けることが要点です。
設問2(2)
J社が大手バルブメーカであることと、提携が水道管の新設・更新を考慮したものであることに着目します。既存設備には振動センサユニットを後付けできますが、新設・更新時には、振動センサを組み込んだバルブを導入する製品企画につながります。F社の振動センサ技術とJ社のバルブ製品を組み合わせる提携です。公式解答例では「バルブに振動センサを組み込んだ新製品を共同開発する。」としています。30字以内では、対象がバルブであること、振動センサを組み込むこと、共同開発することを押さえます。
設問2(3)
問われているのは、提携先を探す一般的な利点ではなく、その判断の基となるF社の状況です。冒頭には、F社が他社の開発した機能や装置の情報を活用した事業の経験を持たず、自社の計測データを活用する製品を製造してきたとあります。新システムでは、他の埋設管の位置情報や他社の地理情報システムを利用するため、従来の事業経験だけでは対応上のリスクが生じます。その経験を補う候補として、サービス事業の実績がある会社を探すと読めます。公式解答例では「他社が開発した機能,装置の情報を活用した事業の経験がない。」としています。35字以内では、この経験の不足を具体的に示します。採点講評でも、F社の状況に関連しない解答が一部見られたと指摘しています。
設問3(1)
冒頭のグローバルビジネスの検討では、使用可能な無線規格などが国ごとに異なり、各国向けの設計変更が必要とされています。この記述と、無線通信方式を容易に変更できるようにする検討を結び付けます。国ごとの規格に対応しやすくすることで、海外市場への展開を進める狙いです。公式解答例では「グローバルな市場への展開」としています。15字以内なので、通信方式の変更方法を説明するのではなく、その変更によって目指す市場展開を端的に示します。
設問3(2)
高速会社の課題は、橋脚やトンネルの劣化による崩落を防ぐために破壊前の異常を検出する必要がある一方、検査を頻繁に行うと費用が増大することです。これに対応するF社の技術は、振動センサ信号の変化を基に、構造物のゆがみ・割れなど破壊に至る前の変化を検出する技術です。特許の対象も水道管だけでなく構造物へ広げられており、高速道路分野への応用を裏付けています。公式解答例では、この破壊前の変化を検出する技術を挙げています。35字以内では「振動センサ信号の変化を基に、破壊に至る前の変化を検出する技術」とまとめます。採点講評では、展開先の課題を理解できていない解答も一部見られたとしています。
設問3(3)
重機メーカの課題は、埋設管の配置を把握しにくいため、重機による工事が浅い掘削までに限られ、残りを手掘りしていることです。本文は、この状況が自動で工事をする技術開発の障壁になっていると明示しています。一方、新システムでは、異なる形式の位置情報を変換して登録し、各埋設管の正確な3次元配置を確認できるようにします。この情報を工事の自動化に活用するのが共同開発の方向です。公式解答例では「各埋設管の配置を示す3次元情報を基に自動で工事する技術」としています。30字以内では、利用するデータが埋設管の3次元配置情報であることと、実現する技術が自動工事であることを押さえます。
学習のポイント
複数箇所の記述を結び付け、社会や顧客の課題、自社の技術と不足する経験から、企画・提携・市場展開の理由を導く練習が重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針