STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の根拠と前提を確かめる
業務改革を考える際は、判断の根拠と、その根拠が成り立つ前提とのつながりに注目しましょう。目的や望ましい結果から結論を急がず、示された条件だけでどこまで判断できるかを落ち着いて確かめてください。
この問題で問われていること
検討の焦点は、考えている判断が、与えられた条件に支えられているかという一点です。自分の経験や一般的な印象を根拠に足していないかを振り返り、判断に必要な前提がどこに示されているかを確認しましょう。
視点
根拠は判断を支える情報、前提はその情報を判断に使うための条件です。両者を区別して整理すると、示された内容と自分で補った想定の境目を捉えやすくなります。
確認ポイント
- 判断を支える根拠を確認できているか
- その根拠を使うための前提を確認できているか
- 示されていない想定を前提に加えていないか
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解説
E社は、保守部門を情報発信の起点として社内の連携を強化し、顧客の規模に応じた保守サービスと故障予測による新サービスを提供しようとしている。各設問では、現状の課題から必要な情報やサービス、システム機能、顧客のメリットを具体化することが求められる。
問題の全体像
大型装置メーカのE社では、顧客情報の分散による営業機会の損失や、稼働開始時期の連絡不足による保守対応の遅れが起きている。一方、顧客には保守技術の継承不足、複数工場の保守情報の分散、故障による装置停止という課題がある。E社は「保守が最上流」という方針で、AP-1の社内情報連携、AP-2のサービス範囲拡大、AP-3の運転データを活用した新サービスを進める。出題趣旨では、現状の課題を分析し、業務プロセス改革の方針をアクションプランや情報システムの企画に落とし込む能力を問うとしている。課題ごとに、必要な情報や提供すべきサービスを対応付けて読むことが重要です。
設問1(1)
〔E社の業務プロセスの状況と課題〕の営業部門の記述にある「各部門に分散している顧客の装置に関する情報」に着目する。AP-1は、各部門を横断する共通の情報基盤を整備し、保守部門に顧客情報を集約する計画なので、集約対象はこの分散した情報となる。公式解答例では「顧客の装置に関する情報」と示されている。15字以内では、この表現で対象を特定すればよい。製番や機器番号の記述は装置と機器の関連付けを理解する材料だが、設問が求める集約対象はそれらを含む装置に関する情報です。
設問1(2)
営業部門が工事時期の情報を十分に得られず、他社に先行されて失注している点と、設備投資計画が装置の問合せや改修の見積依頼に関係する点に着目する。保守部門が窓口として集めたこれらの情報を営業部門へ共有すれば、顧客の投資予定や改修需要を把握し、適切な時期に提案できる。公式解答例では「顧客の今後の設備投資計画」と「顧客からの装置に関する問合せや改修に対する見積依頼の内容」が挙げられている。30字以内では、例えば「顧客の設備投資計画や装置の問合せ・改修見積依頼の内容」と、提案につながる情報を具体的に示す。
設問1(3)
設置工事の日程に伴って装置の稼働開始時期が変更され、保守の開始予定日が保守部門へ正確に伝わらないという記述に着目する。この連絡不足が保守契約の締結を遅らせ、顧客の対応依頼に応えられない原因となっている。したがって、工務部門から入手すべき情報は、保守を開始する準備の基準となる稼働開始時期です。公式解答例では「装置の稼働開始時期」と示されている。15字以内では、この情報を端的に記述する。
設問2(1)
中堅の顧客では、保守要員が退職しても補充されず、技術やノウハウの継承が十分にできないという固有の課題に着目する。残った要員の個人の努力に依存する状況を改善するには、E社がもつ保守の技術やノウハウを生かし、継承を支援するサービスが必要となる。公式解答例では「技術やノウハウの継承を支援すること」と示されており、20字以内に収まる。採点講評では、単に「機器の図面を提供する」という解答が多かったと指摘している。資料提供だけにとどめず、顧客の継承不足を解決するサービスとして表現することが要点です。
設問2(2)
大手の顧客では、複数工場に装置と保守要員が分散しており、装置の保守状況に関する情報を一元管理したいと考えている点に着目する。各工場の自主運営に任せてきたため、その進め方を決められないことが課題です。そこでE社が提供すべきサービスは、分散した保守状況の情報を一元管理することであり、それによって保守要員の有効活用と効率的な保守を支援できる。公式解答例では「装置の保守状況に関する情報を一元管理すること」と示されている。25字以内では、管理する情報と一元管理という内容を押さえる。
設問2(3)
〔顧客の課題と要望〕にある、保守を行うために必要な装置の図面や使用機器の仕様を顧客が把握できないという記述に着目する。E社が他の装置メーカの装置を保守する場合も、装置の構造や構成機器を把握するための情報が必要となる。公式解答例では「他の装置メーカの装置の図面や使っている機器の仕様」と示されている。30字以内では、他社装置を対象として、装置の図面と使用機器の仕様の両方を明示する。
設問3(1)
〔情報技術の活用〕にある、運転状況のデータを長期間蓄積し、時系列的な変化を分析することで、故障発生機器や故障発生時期を予測するという記述に着目する。新サービスは、その予測に基づいて予防的な改修工事を行うものなので、必要なシステム機能はデータの蓄積・分析と故障予測です。公式解答例では「運転状況のデータを蓄積・分析して故障発生箇所や時期を予測する機能」と示されており、35字以内に収まる。採点講評では、単に「装置の情報を登録する機能」という解答が多かったと指摘している。データを保存するだけでなく、変化を分析し、故障の箇所と時期を予測するところまで記述する必要がある。
設問3(2)
顧客にとって大きな課題が「故障による装置の停止のリスク」の回避である点に着目する。運転データから故障する機器や時期を予測し、予防的に改修できれば、故障によって装置が停止するリスクへの対応につながる。新型機器への交換を納得してもらうためには、この顧客側のメリットを提示する。公式解答例では「故障による装置の停止のリスクを回避できること」と示されており、30字以内に収まる。答案では、故障予測という機能の説明にとどめず、その結果として顧客が得られる停止リスクの回避を述べる。
学習のポイント
課題と対策の対応関係を本文から読み取り、情報・サービス・機能・効果を区別して、字数内で具体的に表現する練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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