STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断に使う前提条件をそろえる
導入の効果や運用に関する判断では、比較する内容の前提条件がそろっているかに注目しましょう。対象となる業務や関係者の範囲を意識し、条件が異なる内容をそのまま同じ基準で扱っていないか確認します。
この問題で問われていること
この問いでは、導入や業務の変化について考える際の前提をそろえることに焦点を置きます。示されている条件の範囲を確かめ、自分で補った想定が判断の根拠に混ざっている場合は、その想定を切り分けて整理しましょう。
視点
同じ話題に関する情報でも、対象の範囲や想定する状況が違えば、比較の前提は一致しません。与えられた条件と自分の想定を分け、判断の途中で前提を変えていないか点検する、という一つの視点で整理します。
確認ポイント
- 判断に使う対象の範囲を、示された条件に合わせているか
- 示された条件と、自分で補った想定を区別しているか
- 検討の途中で、比較の前提条件を変えていないか
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解説
本問は、地域医療の関係者が抱える課題を、情報共有と既存情報の活用によって改善する考え方を問う。検査機器の稼働率向上、救急受入れ時の情報確認、訪問計画見直しと登録負担の軽減に加え、所見の記述方法の統一、その推進支援、将来の更新費用を押さえる。
問題の全体像
C市は、総合病院、地域の医療機関、訪問看護サービス事業者、調剤薬局事業者を結ぶ連携システムを計画している。現状には、検査機器の利用の偏り、救急受入れ時の情報不足、訪問計画見直しのための集合の難しさなどがある。また、共有サーバへの登録による事務負担の増加も懸念される。出題趣旨では、業務課題を抽出し、情報共有と業務負担軽減の解決案、参加医療機関の拡大への対応、サービス料金を検討する能力を問うとしている。各設問では、関係者の課題とシステムの仕組みを結び付けて説明する。
設問1(1)
医療機関へのヒアリングにある「検査件数は少なく、検査機器の稼働率が低い」という課題と、共有サーバが検査機器と予約状況を管理する点に着目する。一方、総合病院では検査機器の空きが少ない。機器と予約状況の共有によって、空きのある医療機関への検査依頼につながり、機器の利用が増える。公式解答例では「検査機器の稼働率が向上する。」としている。20字以内では、対象である医療機関の検査機器の稼働率向上を端的に書く。
設問1(2)①
総合病院へのヒアリングでは、救急搬送された患者を受け入れる際、治療中の病名と診療状況をかかりつけ医に確認するが、夜間や休日には連絡が取れないことがある。本文は、この病名と診療状況を「治療中の病状」と定義している。共有サーバには患者の治療中の病状が蓄積されるため、連絡が取れない場合にもその情報を確認できる。公式解答例の一つ目は「治療中の病状」です。
設問1(2)②
救急受入れ時にかかりつけ医へ確認するもう一つの情報が、患者に処方された薬です。調剤薬局事業者は薬の情報を業務システムに登録しており、連携システムでは同じ内容を共有サーバにも蓄積する計画となっている。この情報共有によって、総合病院でも薬の情報を確認できる。公式解答例の二つ目は「処方された薬」です。
設問2(1)
訪問計画の見直しでは、かかりつけ医と担当する訪問スタッフが集まる必要があり、多忙な場合は日程調整が難しい。訪問記録には患者の日常の状態が記載され、共有サーバに蓄積されるため、かかりつけ医はスタッフが集まらなくてもその状態を確認できる。公式解答例では「担当する訪問スタッフが集まらなくても、患者の日常の状態を確認できる。」としている。40字以内では、集合が不要になることと、日常の状態を確認できることを組み合わせて書く。
設問2(2)
訪問スタッフは既に事業者の業務システムへ訪問記録を登録しているのに、計画では同じ内容を共有サーバにも登録する。この二重登録が負担を増やす原因となる。公式解答例では「事業者が蓄積する訪問記録を共有サーバに反映する機能」としている。30字以内では、既存の訪問記録を共有サーバに反映する機能を示します。採点講評では、訪問先からモバイル端末で登録できるようにする解答が多かったとし、現在の業務システムの情報を活用することによる負担軽減に気付いてほしかったと述べている。
設問3(1)検討内容
中核総合病院は、他の総合病院や医療機関と電子カルテの情報を共有し、蓄積した所見を分析して医療業務を改善する方針です。また、幾つかの総合病院では、所見の記述方法を統一する作業に多くの時間を要している。医療機関が電子カルテを導入する際にも、共有して分析できるよう記述方法をそろえる検討が必要となる。公式解答例では「所見の記述方法の統一」としている。20字以内では、統一する対象を「所見の記述方法」と具体的に示す。
設問3(1)留意点
C市は、中核総合病院を中心に市全体の医療業務の改善を検討する計画を持っている。中核総合病院は電子カルテを導入済みで、情報共有と所見の分析による改善も検討しているため、法人Dが所見の記述方法の統一を推進するには、この病院の支援を得ることが要点となる。公式解答例では「中核総合病院の支援を得ること」としている。20字以内では、支援を得る相手を明確に書く。
設問3(2)
運用の記述では、法人Dは運用費用と参加見込み数からサービス料金を決める予定です。しかし、計画の記述には、運用費用だけでなく、5年後に実施予定のシステム更新費用も法人Dが負担するとある。したがって、料金検討では将来の更新費用も考慮する必要がある。公式解答例では「5年後に実施予定のシステム更新費用」としている。20字以内では、本文に明記された更新時期と費用をそのまま押さえる。
学習のポイント
関係者ごとの課題と共有情報を対応付け、業務上の効果、二重登録の解消、導入支援、将来費用を本文から具体的に導く練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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