STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
判断の前提をそろえて考える
検討を進めるときは、判断の前提として何が置かれているかに着目しましょう。同じ言葉でも、対象や範囲の捉え方が違うと意味が変わるため、結論を急がず、前提の一貫性を意識して考えます。
この問題で問われていること
この問題に取り組む際は、示された情報をどのような前提で捉えているかを確認してください。自分で補った想定と明示されている条件を区別し、検討の途中で前提が変わっていないかを振り返ることが手掛かりになります。
視点
前提とは、考えを進める際に土台としている条件や捉え方です。示された情報と自分の想定を分けて整理すると、判断が何に依存しているかを確かめやすくなります。
確認ポイント
- 判断の土台にしている前提を言葉にできるか。
- 明示された条件に、自分の想定を付け加えていないか。
- 考えを進める途中で、前提が変わっていないか。
正解と解説を見る
解説
三大学の統合では、第1段階の最小限の対応と第2段階の本格的な統合を区別することが重要です。会計科目の対応整理、NW構成の把握、研究用LANの運用、認証情報の連携に加え、メール発行時期や学務業務の違いを考慮し、業務担当者を含む検討体制を整える必要があります。
問題の全体像
運営費交付金が減少する中、B県は三大学を一つの新法人の下に再編し、3年後までに大学自体も統合して運営を効率化しようとしています。第1段階では業務の見直しとシステム改修を最小限に抑え、第2段階で本格的な統合を進めます。出題趣旨では、この制約を踏まえた統合計画の準備事項、考慮点、検討体制の見直し理由を問うとされています。本文の個別事情と表1~3を結び付け、技術面だけでなく業務の違いや利用者への影響まで考えることが中心です。
設問1(1)
表2では、既存システムを維持し、各大学の会計資料からスプレッドシートなどで新法人の財務諸表を作成します。一方、表1では、勘定科目や予算科目を各大学が独自に規定しています。そのため、各大学の科目を新法人の財務諸表のどの項目に対応させるかを整理する必要があります。公式解答例では「新法人の財務諸表と各大学の勘定科目,予算科目間の対応」としています。30字以内では、この対応関係を押さえます。採点講評では、第1段階の制約を踏まえず、会計業務手順の整備を答えた例が指摘されています。
設問1(2)
A大学では学部がNW機器を独自に設置しており、学術情報センタは学部LANの物理的な接続状況などを把握できていません。校舎の割当て変更や教室改修に伴うNW工事を進めるには、既存の機器や配線がどのようにつながっているかを確認する必要があります。公式解答例では、不足情報を「学部LANの詳細なNW構成情報」としています。20字以内では、対象が学部LANであることと、必要なのが詳細な構成情報であることを示します。
設問1(3)
研究用LANは学部LANや外部NWに接続し、大学のNWポリシで認められていないプロトコルの通信実験を行っています。一方、表2ではNW機器の設定をポリシに合わせて一元管理する計画です。研究用LANの従来の運用とこの方針との整合を検討する必要があるため、公式解答例は「研究用LANの運用方法」としています。15字以内では、この検討対象を簡潔に示します。具体的な接続方式や実験の禁止までを正答として断定する必要はありません。
設問2(1)
表3では、認証機能を一元化するために必要な情報を他システムと連携して取得する仕組みを整備します。表1の人事給与システムは教職員の人事を管理するため、教職員を認証するための情報源として着目します。公式解答例では「人事給与システムの人事情報」としています。15字以内では、連携元のシステムと情報の種類を組み合わせて示します。給与情報そのものではなく、人事情報が問われている点が重要です。
設問2(2)
A大学では、臨時職員や非常勤講師のメールアカウントを学部が独自に管理し、正式な採用前に作成することもあります。表3の一元化では、こうした発行時期や学部ごとの対応を考慮しないと、必要な時期にアカウントを発行できなくなるおそれがあります。公式解答例では、A大学の臨時職員や非常勤講師のアカウントを適時に発行できない点を挙げています。40字以内では「A大学の臨時職員や非常勤講師のメールアカウントを適時に発行できない」の粒度で、対象者と具体的な支障を示します。
設問2(3)
まず空欄を特定します。本文には大学間で兼務する教員がおり、地方公務員である教職員の人事給与体系は共通とあります。これと表2の大学間の相互運用を結び付けると、xは人事給与、yは学務です。表1では学務の業務手順が大学ごとに異なるのに、表3のyは各大学のシステムをそれぞれクラウド基盤へ移すだけです。これでは業務の違いが残ります。公式解答例では「業務が統一されず,教務情報や学納金の管理業務が複雑になる」としています。35字以内では、業務が統一されない原因と管理業務が複雑になる結果を押さえます。
設問3
当初の検討チームは各大学の情報システム部門のメンバだけで構成されています。しかし、統合計画には業務手順の統一やシステム機能仕様の決定も含まれるため、実際の業務を担当する事務局職員の知識と参加が必要です。公式解答例では、業務手順の検討に情報システム部門以外の事務局職員の参加が必要だからとしています。40字以内では、この参加者と目的を結び付けます。採点講評では、単に幹部から意見があったと答えるのではなく、その背景を考えて問題解決につなげる重要性が示されています。
学習のポイント
段階ごとの制約と現状の差異を対応させ、システムの集約だけでは解消しない業務上の課題を読み取る練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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