STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成27年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提を丁寧に確かめる
この分野の検討では、判断の前提となる条件を意識することが大切です。与えられた情報で明示されている条件と、自分が補っている想定を区別し、知らないうちに前提を広げていないか確かめましょう。
この問題で問われていること
考える際は、ある判断がどの条件を前提にしているかに注目してください。明示された条件から離れて、追加の想定を置いていないかを振り返ると、検討の根拠を整理しやすくなります。
視点
判断の前提を整理するには、根拠として使っている条件を言葉にしてみます。その条件が与えられた情報に含まれるものか、自分で置いた想定かを確かめ、両者を混同しないようにしましょう。
確認ポイント
- 判断の前提を言葉にできているか
- 明示された条件と自分の想定を区別できているか
- 示された条件の範囲を自分で広げていないか
正解と解説を見る
解説
安定した売上と成長を目指す新市場への展開を、既存市場の知識、生産体制、提携先の知名度に結び付けて考える問題です。使用制限については、事故防止と持出しによる悪用防止を区別します。
問題の全体像
D社は、景気の影響を受けやすく成熟期にある製造業への依存を踏まえ、保有技術を活用して安定した売上と成長が見込める新製品を企画します。まず現場事情を熟知する製造業向けにパワードスーツを開発し、需要拡大が見込まれる介護分野への展開では、競合の生産体制や価格、提携先の知名度を考慮します。また、使用者や使用場所を制限する機能の追加を検討します。出題趣旨では、保有技術と既存市場を理解した製品企画、構想設計と製品展開、機能拡張の検討能力を問うとされています。
設問1(1)
冒頭の、製造業は景気に左右されやすく成熟期にあるという記述と、D社の「安定した売上と成長が見込める新製品を開発する方針」に着目します。介護などにも運搬作業の問題があり、需要拡大が見込まれることが、新市場を対象にする判断につながります。公式解答例では「安定した売上と成長が見込めるから」と示されています。20字以内では、この経営上の目的を押さえます。採点講評では、製品の特徴ではなく、D社の方針と市場の特徴に基づく解答が求められています。
設問1(2)
〔新製品の構想設計〕の、D社は製造業の現場事情を熟知し、有効活用される場面を想定できるため、製品開発の問題抽出と課題設定が比較的容易であるという記述が根拠です。公式解答例も、この現場理解と開発の進めやすさを理由に挙げています。40字以内では「現場事情を熟知し、製品開発の問題抽出と課題設定が容易だから」とまとめられます。製造業での知名度も本文にありますが、公式解答例が示す中心は開発面の理由です。
設問2(1)
従来製品が操作者や障害物と接触しない場所に設置する据付け型であったのに対し、新製品は人が装着するという違いに着目します。身体との接触度が高く、D社にとって未経験の製品であることが、生産方法や品質管理方法などに関する法規制・許認可を事前に調査する理由です。公式解答例では「D社が手掛けたことのない身体との接触度が高い製品である点」と示されています。35字以内では、未経験であることと身体との接触度の高さを押さえます。
設問2(2)(競争力)
介護分野では5年後に約1万台の需要が見込まれる一方、X社は月産30台を目標とし、価格を50万円程度としています。D社の国内生産による試算価格は70万円程度です。この需要と競合条件から、生産段階では供給量と価格の両面で競争力をもたせる必要があります。公式解答例では「高い生産能力と安い製品価格」と示されており、15字以内で両方を押さえます。採点講評では、製品の機能など、設計段階の競争力を答えた解答が指摘されています。
設問2(2)(施策)
冒頭の、D社は少量多品種を国内工場、大量生産品を海外工場で生産し、競争力を確保しつつコストを抑えているという記述が根拠です。X社の生産委託先であるZ社の国内生産ラインは、D社の国内工場とほぼ同規模なので、D社の海外工場を活用することが生産能力と価格の競争力につながります。公式解答例では「海外工場に生産拠点を移す。」と示されています。15字以内では、生産拠点を海外工場へ移す施策を明記します。
設問2(3)
〔製品展開〕の、Y社はX社とともに介護現場向け製品の2大メーカの一つで、介護現場では古くから知られているという記述に着目します。D社の知名度が高いのは製造業であり、介護分野ではY社の知名度を活用することが販売のしやすさにつながります。公式解答例も、介護現場で高い知名度をもつY社ブランドの方が販売しやすいことを理由としています。35字以内では、介護現場での知名度と販売のしやすさを結び付けます。
設問3(1)
〔新製品の構想設計〕の、誤った使い方による事故のおそれがあるため、使用方法の講習を受講した者に使用を限定する必要があるという記述が根拠です。公式解答例では、講習受講者への限定によって事故を防止することが理由とされています。40字以内では「使用方法の講習を受講した者に使用を限定し、事故を防止するため」とまとめられます。生体認証は使用者を制限する手段であり、この設問では制限する理由を説明します。
設問3(2)
〔新製品の構想設計〕の、本来の使用場所の外に持ち出されるおそれがあるという記述と、登録された場所でだけ使用できる機能の検討依頼を結び付けます。公式解答例では、使用場所の外へ持ち出されて悪用されることを防止する必要があると示されています。40字以内では「本来の使用場所の外に持ち出されて悪用されることを防ぐため」とまとめられます。採点講評では、使用者の制限と使用場所の制限を混同した解答が指摘されており、講習受講者への限定による事故防止と区別する必要があります。
学習のポイント
設問が問う市場・開発・生産・販売の段階を確認し、本文の根拠から判断理由と施策を字数内にまとめる力を身に付けます。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針