STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成27年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
企画と評価で用いる前提を確認する
地方公共団体のIT投資と費用管理を考える際は、判断の前提に注目しましょう。企画審査や事後評価に関する情報を扱うときも、何を前提にした判断なのかを整理し、その前提が途中で変わっていないかを確かめてください。
この問題で問われていること
この分野の課題を検討するときは、示されている判断がどのような前提に基づくのかに焦点を当てます。結論を急がず、明記された前提と自分が補った前提を分け、与えられた情報の範囲で考えられているかを確認しましょう。
視点
判断に使われている前提を、自分の言葉で短く整理してみましょう。途中で別の前提を持ち込んでいないかに注意すると、考える範囲を保ちやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を整理できているか
- 明記された前提と自分の推測を区別できているか
- 考える途中で前提を置き換えていないか
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解説
本問の要点は、主管課ごとに行われる費用算定や効果評価を、庁内共通の基準と第三者の関与によって適正化することです。見積明細、作業単価、重要度に応じた非機能要求、投資種別別の審査、TRMの見直しを本文の課題と対応付けます。
問題の全体像
C県では100以上の情報システムを各主管課が企画・運用し、情報政策課が庁内全体のIT管理を担っています。予算が減少する中、保守・運用費用の削減が難しく、企画審査と事後評価を整備したところ、見積りの不統一、重要度に見合わない構成、実態と合わない効果報告、派生OSSへの重複支出が明らかになりました。出題趣旨では、投資の適正化に向けた意思決定の分析能力が示されています。各問題を、共通ルール、審査方法、評価体制、標準ソフトウェアの管理へ結び付けて考えます。
設問1(1)①
着目するのは、企画審査の結果にある「総額だけで費用明細がない例」です。明細がなければ、機器費用や開発工程ごとの費用などを確認できず、見積りの適正さを判断できません。そこで、主管課が見積りを取得する際の共通ルールとして、明細の提示を必須にします。公式解答例では「費用明細が明示された見積りを徹底する。」としています。35字以内の答案では、「費用明細の明示」と「徹底」を押さえます。採点講評では、相見積りを取るだけでは、庁内で整合性のある費用算定に踏み込めていないと指摘されています。
設問1(1)②
着目するのは、主管課の交渉力の違いによって、同じベンダでも開発に係るスキル別作業単価が異なるという記述です。主管課ごとに単価を判断する状態では、庁内で一貫した費用算定ができません。情報政策課が比較・判断に使える共通の指標を用意することが必要です。公式解答例では「情報システム開発に係るスキル別作業単価の指標を作成する。」としています。35字以内では、対象を単なる総額ではなく「開発のスキル別作業単価」とし、「指標を作成する」ことまで書きます。
設問1(2)
本文では、非機能要求を主管課が設定する一方、重要度は情報政策課が評価しています。その結果、重要度の低いシステムにも高性能サーバの二重化構成が採用され、構築費用や保守・運用費用が高額になっています。必要なのは、重要度と信頼性・可用性の要求水準を対応付ける共通基準です。公式解答例では「情報システムの重要度に応じた信頼性・可用性のガイドラインを作成する。」としています。40字以内の答案では、重要度に応じた基準であることと、信頼性・可用性の両方を明示します。
設問2
着目するのは、企画審査では「業務効率向上のための投資」を除き、財政的効果を考慮していないという記述です。戦略的投資と義務的投資は、住民への効果などの「その他の効果」を中心に審査されます。公式解答例も、この審査方法の違いを費用割合の偏りの理由としています。45字以内なら「戦略的投資と義務的投資の投資対効果の審査は、その他の効果が中心だから。」とまとめられます。採点講評では、政策変更などは背景として挙げられるものの、IT管理の仕組みにある課題へ着目することが求められています。
設問3(1)
本文では、主管課が効果の評価指標と目標値を設定し、事後評価も行っています。しかし、良好な報告に反して住民の利用が少ない、職員の残業が増えるといった実態が判明しています。ここでは、評価指標の設定と事後評価の双方に客観性を持たせる必要があります。公式解答例では「第三者による効果の評価指標の設定と事後評価の実施」としています。35字以内では、第三者の関与と二つの実施事項を押さえます。採点講評では、利用者数や業務負荷を評価に加えるだけの対策にとどまらず、第三者の活用を考えている本文の状況に気付くことが求められています。
設問3(2)
着目するのは、同様の機能を持つ派生OSSが多数導入され、別々のベンダへの保守・運用委託によって費用を重複して支払っている点です。本文では既にTRMで標準ソフトウェアを定めているので、派生OSSの実態を評価し、その結果を標準の見直しに反映することが必要です。公式解答例では「派生のOSSを評価してTRMを見直す。」としています。25字以内の答案では、「派生OSSの評価」と「TRMの見直し」を一連の対策として書きます。
学習のポイント
個別の問題への対処から、共通基準の整備や客観的な評価という組織全体の管理策を導く練習が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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