STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成27年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
情報を使う目的に着目する
業務改善と情報管理を考える際は、扱う情報が何のために使われるのかという一点に着目しましょう。情報の多さや名称だけで判断せず、課題の中で示される目的とのつながりを丁寧に捉えることが出発点です。
この問題で問われていること
この分野では、情報そのものの説明と、その情報を使って達成したい目的を区別して捉えることが大切です。検討するときは、与えられた条件を手掛かりに、情報と目的の関係を自分の言葉で整理してみましょう。
視点
情報と利用目的のつながりを整理する視点です。目的を曖昧なままにせず、与えられた内容を根拠として、その情報を使う理由を考えます。
確認ポイント
- 情報を使う目的を言葉にできているか
- その目的を捉える根拠は与えられた内容にあるか
- 情報と目的のつながりを思い込みで補っていないか
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解説
本問は、食品メーカの在庫偏在、納期回答の遅れ、イベント情報の把握不足などを、物流集約と情報共有によって改善する事例です。温度管理、納入日数の指標、迅速な納期回答、集中発注による価格交渉、トレーサビリティに必要な情報を、それぞれの業務変更と結び付けて理解する。
問題の全体像
B社では、製品の多様化とライフサイクルの短期化に伴い、在庫の増加や偏在、生産計画の変更、営業部員の負担が問題となっている。顧客からは、温度管理による品質保証や早期の納期回答も求められている。改善策は、物流センタへの在庫・仕分の集約、計画システムと販売管理システムの接続、他社製品の集中発注です。公式の出題趣旨では、物流改善による顧客要求への対応、生産計画に活用する情報、他社との業務見直しを分析する能力を問うとしている。各改善策が、どの問題をどのように解決するかを読み取ることが中心となる。
設問1(1)
着目するのは、顧客の温度管理への要求が厳しくなっている一方、輸送中の温度管理ができていない業者もあるという記述です。競争力向上の方針には「食の安全への対応」が含まれているが、提示された輸送業者の選定基準はコスト削減への協力だけです。また、物流センタと各倉庫への温度管理システムの導入だけでは、輸送中の品質保証まで確保できない。そのため、追加すべき基準は輸送中の温度管理能力となる。公式解答例では「輸送中の製品の温度管理が可能なこと」としている。25字以内では、管理する場面が「輸送中」であることと、製品の温度管理が可能であることを押さえる。
設問1(2)
顧客の要望は、大手顧客・地域主要顧客が求めている「納入日数の指標」の提供です。現状では、全社の在庫に余裕があっても支社の倉庫で不足が生じ、他の倉庫から補充するために納入日を遅らせる場合がある。物流センタで在庫を一括管理し、これらの顧客へ直接配送することで、支社ごとの在庫不足に伴う補充や納入遅延の要因を解消できる。公式解答例では「在庫の不足がなくなるので,納入日数の指標が提供できる。」としている。40字以内では、在庫不足の解消という理由と、指標の提供という効果を組み合わせる。採点講評では、営業業務の改善を答えた例が多く、在庫の一括管理によって倉庫間の補充をなくせる点に着目してほしいと指摘している。
設問2(1)
顧客の不満は、注文変更や追加注文に対する納期回答が遅いことです。営業部員が生産計画を把握できず、計画部への問い合わせと回答待ちが必要になっている点が原因となる。計画システムには、顧客ごとの受注情報に対応した生産計画の予定と実績が管理されている。販売管理システムと接続して情報を共有すれば、営業部員が生産計画情報を直接確認でき、納期回答を早められる。公式解答例では「営業部員が生産計画情報をいつでも確認できるので,納期の回答が早くなる。」としている。40字以内では、営業部員による情報確認と納期回答の迅速化を示します。納入自体が早くなるという説明では、ここで問われる不満の原因を捉えられない。
設問2(2)
着目するのは、営業部員が訪問時間を十分に取れず、地域主要顧客の特売などのイベント企画情報を確認できていないという記述です。定期的な注文内示は既に確認できているため、改善後に重点的に把握すべき情報はイベントの企画情報となる。物流センタで仕分を行うことで営業部員の負担が軽減され、訪問時間を確保できる。そこで大口注文につながるイベント情報を早期に把握することが、生産計画の変更が間に合わず受注できない問題への対応につながる。公式解答例では「地域主要顧客が行う特売などのイベントの企画情報」としている。30字以内では、顧客の種類と、確認すべき情報がイベントの企画情報であることを明確にする。
設問3(1)
従来は、ショップから注文を受けた営業部員が、他社と個別に仕入価格を交渉していた。見直し後は、本社の営業部が他社製品の発注をまとめて行う。発注を集約することで価格交渉の優位性が高まり、仕入価格の削減を交渉できることが、B社の利益改善につながる。公式解答例では「本社でまとめて発注するので,仕入価格の削減を交渉する。」としている。35字以内では、集中発注という理由と、仕入価格の削減交渉という施策を組み合わせる。採点講評では、顧客への訪問時間の確保や他社の物流コスト改善を答えた例が多く、本社による発注集約が価格交渉の優位性を高める点を捉えてほしいと指摘している。
設問3(2)
従来は、他社がショップごとに製品をこん包し、ショップ別の出荷情報と製造情報を記録していた。見直し後は、他社が物流センタにまとめて納品し、B社が顧客ごとの仕分と出荷を行うため、他社だけでは最終的なショップ別の出荷状況を把握できない。倉庫管理システムは、納入先・日付・製品名・数量からなる出荷情報と、製造ロット番号を関連付けて管理する。この対応関係を他社に提供すれば、製品ごと、ショップごとのトレーサビリティ管理を継続できる。公式解答例では「他社の製品に関わる顧客への出荷情報と製造ロット番号」としている。30字以内では、他社製品の顧客向け出荷情報と製造ロット番号の両方を押さえる。
学習のポイント
設問ごとに対象業務と求められる効果を区別し、問題文の現状・改善策・効果を因果関係でつなぐ練習をする。理由を求める設問では、施策や効果だけで終わらせない。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成27年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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