STITストラテジスト試験 午後Ⅱ
平成26年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
評価の目的と判断の軸をそろえる
評価を考えるときは、その判断が何のために行われるのかに注目しましょう。個々の情報をすぐ結論へ結び付けず、製品について目指すことと、評価の目的がつながっているかを整理するのが出発点です。
この問題で問われていること
この分野では、評価の結果をどう使いたいのかという目的を意識して考えます。与えられた情報の意味を整理しながら、自分が置いた判断の軸が、その目的から離れていないかを確かめてみましょう。
視点
まず「この評価で何を判断したいのか」を自分の言葉で短くまとめてみましょう。その言葉を手掛かりに情報を整理すると、評価と製品に関する判断とのつながりを考えやすくなります。
確認ポイント
- 評価の目的を自分の言葉で整理できているか
- 判断に使う情報を、その目的との関係で捉えているか
- 考える途中で、評価の目的を別のものに置き換えていないか
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解説
本問は、自身が関わった組込みシステムについて、非機能要件の重要性、洗い出しの依頼と調整、報告内容の分析・評価、製品戦略への適用を論述する問題です。リリース後の売上実績や市場の反響を用いて、その判断の妥当性まで具体的に説明します。
問題の全体像
問題文は、機能要件だけを重視すると想定外の問題や追加コストが生じ、経営に影響する場合がある一方、性能や品質などの非機能要件を明確にすることが他社との差別化につながると説明しています。対象製品や実績は与えられておらず、自身の経験と考えに基づいて論述する形式です。添付の公式資料は具体的な答案例ではなく出題趣旨であり、非機能要件の洗い出しの依頼と調整、依頼した内容の妥当性の評価、製品への適用を通じて、取りまとめ・調整・評価の能力を評価するとしています。したがって、設問アで分析の重要性を示し、設問イで依頼と分析・評価の具体的な行動を述べ、設問ウで製品戦略への適用と結果を検証します。採点講評では、製品における非機能要件の位置づけや、各部門へ依頼した際の観点が不十分な論述が指摘されています。技術的な要求の列挙にとどめず、その要求が製品や事業にとってなぜ重要だったかを説明することが要点です。
設問ア
着目するのは「非機能要件の分析を重要と考えた」「組込みシステムの概要」「背景・技術的な特徴」の三点です。800字以内では、対象製品の用途・利用者・利用環境を簡潔に示し、開発や企画の背景、重要な非機能要件に関係する技術的特徴、その分析を重視した理由をまとめます。問題文の非機能要件一覧を全て説明する必要はなく、自身の経験に即して重要なものを取り上げ、その要求を満たせない場合の影響や、満たすことで得られる製品価値を具体化します。例えば、安全性や時間効率性を取り上げるなら、それが必要となる利用状況や技術上の制約まで説明すると、分析の重要性が伝わります。これは論述の観点を示す例であり、特定の要件が一律に正答となるわけではありません。採点講評で指摘された非機能要件の位置づけの不足を避けるため、製品の説明と、その製品で当該要件を重視した理由を結び付けることが大切です。
設問イ
着目するのは「どのような観点で担当・部門を決定し依頼したか」と「報告された内容,分析・評価結果」です。800字以上1、600字以内で、主要な非機能要件ごとに、依頼先を選んだ理由、依頼内容、受けた報告、自身の分析・評価を対応させて述べます。問題文に挙がるシステムアーキテクト、エンベデッドシステムスペシャリスト、マーケティング部門、調達部門は依頼先の例です。自分の事例では、必要な専門知識、顧客や市場の情報、部品供給に関する情報など、なぜその担当・部門に依頼したかを明示します。また、問題文は要件達成に必要な知的財産権やコストなどの報告にも言及しているため、報告内容を要求の一覧だけにせず、実現条件や制約を含めて説明します。分析・評価では、報告された要求水準を、顧客の必要性、実現可能性、費用、他社との差別化など、自身が用いた判断基準に照らしてどう評価したかを具体化します。要求が競合した場合は、調整した内容と判断理由も示します。出題趣旨では依頼と調整、妥当性の評価が求められ、採点講評では依頼時の観点の不足が指摘されています。部門名や報告結果だけでなく、自身が依頼・調整・評価した過程を書くことが評価上の要点です。
設問ウ
着目するのは「非機能要件の評価結果及び製品戦略に適用したことの妥当性」と「リリース後の売上実績,市場の反響など」です。600字以上1、200字以内で、設問イの評価結果を踏まえて採用した要求水準や優先順位、それを他社との差別化や自社の強みを生かす製品戦略へどう適用したかを述べ、リリース後の結果から妥当性を評価します。売上実績は目標や想定と比較し、市場の反響は顧客がどの性能・品質を評価したかなど、取り上げた非機能要件との関係を示します。実績値や顧客の反応は自身の事例に基づいて記述し、売上が伸びたという事実だけで判断を正当化せず、狙った価値が市場に受け入れられたと判断した根拠を説明します。成果だけでなく、実現コストや調整の進め方に課題があれば、それも含めて妥当性を検討すると総括になります。採点講評では、製品戦略への適用や実施過程に対する総括的な評価を行った経験が論述に適していたとされています。企画時の評価、戦略への適用、発売後の結果を結び付け、自身の判断がどの点で妥当だったか、どの点に課題が残ったかを具体的に示すことが重要です。
学習のポイント
非機能要件を製品の付加価値や競争力に結び付け、依頼先を選んだ理由から評価・適用・成果までを自身の判断として説明する練習が重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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