STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成26年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の根拠と結論のつながりを確かめる
課題や計画を考える際は、ある判断が何を根拠に導かれているかに注目しましょう。関連がありそうという印象だけで結び付けず、根拠と結論の間に説明されていない飛躍がないかを落ち着いて確かめます。
この問題で問われていること
取り組む内容とその理由を結び付けるときは、示された情報だけでそのつながりを説明できるかを考えてください。自分の経験や思い込みで補っている部分がないか、判断の根拠に立ち戻って確認しましょう。
視点
根拠は判断を支える情報、結論はその情報を踏まえて述べる内容です。二つをつなぐ説明を自分の言葉で表し、説明に必要な情報が実際に示されているかを確認する、という観点で整理しましょう。
確認ポイント
- 判断を支える根拠を指し示せるか
- その根拠と結論のつながりを説明できるか
- つながりを説明する際に、示されていない前提を足していないか
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解説
本問は、建設業界の作業員不足、生産性、安全性の課題と、X社の販売拡大・海外常駐費用削減の方針を結び付ける問題です。新機能の目的だけでなく、保守情報の提供、レンタル計画、蓄積データの製品開発への活用まで、事業としての効果を説明することが要点です。
問題の全体像
X社は海外の大規模工事で使われる建設機械のメーカです。製品販売が伸び悩み、不定期の保守に備えた海外常駐の費用も増えているため、工事の自動化による販売拡大と、保守形態の見直しによる費用削減を目指しています。市場調査では、人手不足、作業効率の低下、労働災害、機械同士の干渉、レンタル計画や保守の問題が明らかになりました。公式の出題趣旨では、市場の状況と自社の方針を踏まえて製品機能を検討し、事業を企画する能力を評価するとされています。各設問では、課題を抱える事業者、追加開発する機能、データ活用による業務・事業上の効果を対応付けて考えます。
設問1(1)
〔建設業界の状況〕にある各事業者の役割に着目します。①は、工事を実施する際に必要なオペレータの確保・育成の問題なので、公式解答例では「建設工事会社」です。④は、機械とオペレータを増やして工期を短縮しようとするものの、現場全体で機械が干渉する問題です。機械の準備や会社間の調整、進捗管理を担うことから「ゼネコン」となります。⑦は、不稼働時間や代替機械の手配がレンタルスケジュールに影響する問題なので「レンタル会社」です。問題に登場する機械や作業員だけで判断せず、その業務を管理する主体を特定します。
設問1(2)
問われているのは、個々の機能名ではなく、新機能が解決を狙う建設業界全体の問題です。〔建設業界の状況〕には、作業員不足、低い労働生産性、労働災害の多さが明記されています。1人で最大10台を動かす仕組みは作業員不足に、安全な施工管理車からの操作は労働災害の低減に、気候や日照時間に左右されない24時間作業は生産性の向上につながります。公式解答例でも「作業員不足」「低い労働生産性」「労働災害が多い」の三点が示されています。X社自身の販売数や保守費用の問題と、建設業界の問題を区別して答えることが大切です。
設問2(1)
〔新たな機能の検討〕のうち、初期製品の基本動作に加えて機能を向上させる部分に着目します。公式解答例では、(5)の機械相互の位置関係を認識して一定距離を保つ制御機能と、(6)の運転状態・蓄積した保守データから故障を予見する状態監視保全機能が示されています。(4)の接近時に停止する機能と比べ、(5)は距離を保ちながら作業を継続するための制御です。また、(6)は状態を監視するだけでなく、蓄積データを用いて故障を予見する点が要点です。40字以内の表現例は、それぞれ「建設機械相互の位置関係を認識し、一定の距離を保つ制御機能」「運転状態と蓄積した保守データから故障を予見する状態監視保全機能」です。採点講評では、新たな建設機械の基本動作となる機能を書いた解答も見られたとされています。
設問2(2)
稼働データの直接受信は、保全判断と、その判断に基づく関係会社への情報提供を行うための仕組みです。〔事業形態〕には、X社が状態監視情報を基に判断し、交換部品を事前に手配したり、保守に必要な期間をレンタル会社に連絡したりするとあります。したがって、受信すること自体ではなく、取得したデータを何に使い、誰に情報を提供するかまで答えます。公式解答例では、保全に必要な稼働データを取得し、レンタル会社や現地の保守会社に情報を提供することが目的とされています。45字以内では「保全に必要な稼働データを取得し、レンタル会社や現地の保守会社に情報を提供する。」とまとめられます。
設問3(1)
市場調査の⑦と、X社が保守に要する期間を事前に連絡する記述を結び付けます。従来は、保守開始後に交換部品を取り寄せるため、不稼働時間が長くなり、代替機械の手配も間に合わないことがありました。状態監視保全に基づく情報が事前に得られれば、レンタル会社は保守期間を見込んで代替機械を確保し、貸出計画を調整できます。公式解答例でも、代替の建設機械を事前に手配することでレンタルスケジューリングができるとされています。45字以内では「代替の建設機械を事前に手配し、レンタルスケジュールを調整できる。」と、事前手配と計画調整の二点を押さえます。
設問3(2)
工事費用優先モードは、経済的なレンタルスケジュールを試算する機能です。市場調査の⑥では、日照時間、気温、天候などに応じてレンタル費用に差を設け、工事に適さない季節は安くしているとあります。新製品が普及し、これらの条件に左右されず24時間作業できるようになると、季節による工事の適・不適がなくなり、レンタル費用の差も小さくなります。そのため、安い時期を考慮してスケジュールを試算する必要性が低下します。公式解答例に沿った40字以内の表現は「建設工事に適さない季節がなくなり、レンタル費用の差が小さくなるから」です。採点講評では、この設問でモードの特徴を十分に理解していない解答が多かったとされています。
設問3(3)
X社は工事図面の3D CADデータ化を自社で請け負い、そのデータを社内に蓄積する方針です。設問は、蓄積できること自体ではなく、蓄積したデータがX社にどのような価値をもたらすかを問うています。工事図面には、製品が対応する工事の形態や条件が表れているため、その分析を新たな製品の開発に生かすという流れで考えます。公式解答例では、蓄積したデータを分析して製品開発に役立てられることが理由とされています。35字以内では「蓄積したデータを分析し、製品開発に役立てられるから」と、分析と製品開発への活用を明確に示します。
学習のポイント
事業者ごとの役割と課題を整理し、技術的な機能から業務上の効果、事業計画への影響へと因果関係をつなげて読む練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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