STITストラテジスト試験 午後Ⅱ

平成25年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅱ 問2

事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。

問題

新たな収益源の獲得又は売上拡大を実現するビジネスモデルの立案について インターネットなど情報通信技術の普及・発展によって、新たな収益源の獲得又は売上拡大を実現するビジネスモデルの構築が可能になってきた。 企業は、提供する商品・サービス、顧客との接点及び新規事業機会の創出に情報通信技術を適用することによって、新たな収益源の獲得又は売上拡大を実現することができる。例えば、次に挙げるような新しい概念の商品・サービス、顧客及びマーケットを対象としたビジネスモデルを立案することができる。 ・商品を販売する事業ではなく、情報通信機能と組み合わせることによって、商品を使ったサービスの利用環境を提供するビジネスモデル ・インターネットを利用したシステムを導入することによって、個々の顧客に対して、商品・サービスを直接提供するビジネスモデル ・GPSや無線LAN通信技術を適用することによって顧客の行動、所在などの情報をタイムリに収集して、新たな商品・サービスの提供機会を創出するビジネスモデル ITストラテジストに求められるのは、このようなビジネスモデルの立案において、ビジネスプロセスが技術的に実現可能であること、顧客・仕入先などの関係者から受け入れられること、投資対効果を確保できることなどの確認・検証を行い、その結果を経営者に提案することである。 あなたの経験と考えに基づいて、設問ア〜ウに従って論述せよ。 設問ア あなたが立案に携わった、新たな収益源の獲得又は売上拡大を実現するビジネスモデルについて、経営上の課題、目標及び立案することになった背景を、800字以内で述べよ。 設問イ 設問アで述べた経営上の課題、目標に向けて、どのようなビジネスモデルを立案したか。対象とした商品・サービス、顧客及びマーケットを明確にして、適用した情報通信技術を含めて、800字以上1、600字以内で具体的に述べよ。 設問ウ 設問イで述べたビジネスモデルの立案において、どのようなことの確認・検証を行い、その結果についてどのように経営者に提案したか。提案に対する経営者からの評価を含めて、600字以上1、200字以内で具体的に述べよ。
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事業案を評価する基本の視点

新しい仕組みを考えるときは、思いつきの新しさだけで判断せず、誰のどの課題を扱い、提供方法と継続可能性がどう結び付くかを整理して考えます。要素同士の関係を確認することが重要です。

この問題で問われていること

確認する観点は、提案された事業の各要素が同じ利用者課題に向かって整合しているかです。対象、価値、実現手段、検証方法を個別に見るだけでなく、相互のつながりに注目してください。

視点

技術の有無ではなく、課題の把握から価値の仮説、実現方法、利用者の反応を確かめる流れが一貫しているかを考えると、事業案の妥当性を整理しやすくなります。

確認ポイント

  • 利用者の課題と提案内容が結び付いているか確認する
  • 提供する価値と実現手段の関係を確認する
  • 検証方法が事業案の前提を確かめるものか確認する
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解説

本問は、情報通信技術を商品・サービス、顧客接点、新規事業機会に適用し、従来の事業を再定義して新たな収益源の獲得又は売上拡大を実現するビジネスモデルを論述する問題です。

問題の全体像

企業が新たな収益源の獲得又は売上拡大を目指し、商品・サービス、顧客との接点、新規事業機会に情報通信技術を適用してビジネスモデルを再構築する事例を扱う。問題文は、単なるシステム導入ではなく、事業そのものをどう変え、誰にどの価値を提供して収益につなげるかを求めている。公式の出題趣旨では、従来は対象外と考えていた事業へのIT融合、事業の再定義、関係者への説明が重視されている。したがって、設問アで経営課題と背景を示し、設問イで具体的なモデルと技術を示し、設問ウで実現性・受容性・投資対効果を確認して経営者に提案する流れで、一貫した経験を記述する必要がある。

設問ア

まず、新たなビジネスモデルが必要になった経営上の課題を明確にする。例えば既存市場の縮小、顧客ニーズの変化、競争激化、収益性低下など、なぜ従来の事業のままでは目標達成が難しいのかを示します。次に、新規顧客の獲得、顧客単価や利用頻度の向上、新たな継続収入の確立など、達成したい目標を具体化する。そのうえで、経営環境や顧客接点の変化、技術の普及、社内方針など、立案に至った背景を説明する。800字以内なので、課題・目標・背景を分けつつ、設問イで述べるモデルにつながる情報に絞ることが重要です。

設問イ

設問アの課題と目標を解決するため、どのような価値を誰に提供し、どのように収益化するかを具体的に示す。対象の商品・サービス、顧客、マーケットを明確にし、従来の販売方法や顧客との関係から何を変えるのかを説明する。情報通信技術については、単に名称を列挙せず、例えばインターネットで個々の顧客へ直接提供する、商品に情報通信機能を組み込んで利用サービス化する、GPSや無線LANで行動情報を収集して新サービスにつなげる、といった業務上の役割まで書く。公式の出題趣旨が示す事業の再定義とIT融合を中心に、提供価値、業務プロセス、収益の仕組み、関係者の役割がつながるように、800字以上1、600字以内で記述する。

設問ウ

立案したモデルを実行に移せるかを確認・検証した内容と、その結果を経営者へどう提案したかを書く。確認項目としては、技術的に業務プロセスを実現できるか、顧客や仕入先など関係者が受け入れるか、必要な投資に対して収益や効果が見込めるかが中心となる。必要に応じて、実証実験、顧客調査、業務試行、費用対効果分析、リスク評価などの方法と結果を対応付ける。採点講評では、顧客ニーズの分析・確認・検証や関係者の視点が不足し、単なるシステム導入やコスト削減の説明にとどまる答案が問題とされているため、顧客価値と事業成果を必ず含める。最後に、検証結果を根拠とした段階導入、投資判断、改善条件などの提案と、経営者からの評価や判断を記述する。600字以上1、200字以内で、検証・提案・評価を一続きにする。

学習のポイント

経営課題からモデル立案、検証、経営者提案までを一貫して具体化する力を養う。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)

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