STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成25年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
与えられた情報と推測を区別する
この分野の課題を考えるときは、与えられた情報と自分の推測を区別することから始めましょう。身近な事例の印象で補わず、判断の根拠が提示された内容にあるかを確かめる姿勢が大切です。
この問題で問われていること
検討の焦点は、考えたことが何に基づいているかです。内容を整理する際は、直接示された情報なのか、自分が補った仮定なのかを意識し、その区別を保ったまま考えを進めてみましょう。
視点
情報の整理では、示された事実と、そこから自分が考えた解釈を分けて扱います。解釈を事実として扱っていないかを意識すると、検討の前提を見直しやすくなります。
確認ポイント
- 考えの根拠を、与えられた情報の中に示せるか。
- 明示されていない前提を、自分で補っていないか。
- 自分の解釈を、示された事実と混同していないか。
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解説
健康計測機器の販売が低迷するD社が、高齢者向けロボットを核に製品戦略を転換する事例です。利用者の課題から機能を導き、早期投入と普及を支える開発委託を判断し、機器販売とクラウドサービスの収益を医療機関への価値提供に結び付けます。
問題の全体像
D社は、健康計測機器の販売数と価格の低下によって売上・利益が減少し、増加する高齢者を対象とした新製品戦略を立てます。健康管理ロボットで日常会話や計測・服薬の支援を行い、収集したデータを医療機関が利用できる仕組みを構築する事例です。出題趣旨では、市場の状況と自社の保有技術を踏まえ、利用者と機能の関係、開発委託の判断、戦略的な連携機能、新たなビジネスモデルを検討する能力が問われています。
設問1(1)
〔高齢者に関する健康管理の調査〕の「話し相手がいない」「健康管理へのモチベーションを高く保つことが難しい」と、〔新製品の機能要件〕の「あたかも家族のように利用者と日常会話を交わす」を結び付けます。マスコット型という製品の特徴に対応する利用者像が必要です。公式解答例では「話し相手のいない高齢者」としています。この表現で、会話への需要と高齢者という対象を15字以内にまとめられます。
設問1(2)①項目
〔ロボットの開発,製造,保守サービス〕で、E氏が「他社に先駆けて健康管理ロボットを市場に出すこと」を重視した点に着目します。公式解答例では、一つ目の項目を「設計期間」又は「保有技術」としています。D社にはロボット開発の経験がなく、G社には既存の開発・販売実績があるため、設計に要する期間や保有する技術が早期投入の判断に関わります。
設問1(2)①理由
一つ目に選んだ「設計期間」又は「保有技術」を、本文の早期市場投入という目的に結び付けます。公式解答例では「他社に先駆けて健康管理ロボットを市場に出したいから」としています。30字以内では、先行して市場に出すという目的を明確に示します。採点講評では、重視した項目と理由の整合が取れていない解答が一部に見られたとされており、選んだ項目がなぜ早期投入に必要かを対応させることが大切です。
設問1(2)②項目
本文の「健康管理ロボットを数多く市場に普及させること」に着目します。多数の利用者へ製品を供給するには、必要な台数を製造できる設備が必要です。公式解答例では、二つ目の項目を「生産設備」としています。普及という目的を、製造面の能力に結び付けて選びます。
設問1(2)②理由
「生産設備」を重視する理由は、数多く普及させるための製造能力を確保することです。公式解答例では「健康管理ロボットを数多く生産する必要があるから」としています。30字以内では、対象製品と多数生産の必要性を押さえます。設計の早さや保守拠点の多さではなく、生産設備に直接対応する理由としてまとめます。
設問1(2)③項目
G社が「全国に保守サービス拠点をもつ」ことと、製品化の留意事項に使用開始時の設定やソフトウェアのバージョンアップが挙げられていることに着目します。普及台数が増えれば、利用を支える保守への対応も必要になります。公式解答例では、三つ目の項目を「保守サービス体制」としています。
設問1(2)③理由
「保守サービス体制」は、多数のロボットが普及した後も設定や更新などを支えられるかという観点です。公式解答例では「数多く普及したときに保守サービスの拡充が必要だから」としています。30字以内では、普及の拡大に伴って保守サービスも拡充する必要があることを示します。多数の製品を作る理由は生産設備に対応するため、製造と保守の役割を区別しましょう。
設問2
下線①は、ロボットと「D社の健康計測機器」を組み合わせて使用させるための機能を求めています。〔健康管理ロボットの仕様〕では、通信機能をもつ健康計測機器から計測データを受信するとされ、図1にも各機器との連携が示されています。公式解答例では「D社の健康計測機器と,容易に接続できる機能」としています。30字以内では、接続先がD社の機器であることと、容易に接続できることを押さえます。採点講評でも、下線①を踏まえていない解答が多かったと指摘されています。
設問3(1)①
〔新たなビジネスモデル〕で、D社と契約した医療機関が、蓄積された生活データと計測データに「有償でアクセスできる」とされている点に着目します。データを蓄積し、医療機関に利用させるサービスが収益源になります。公式解答例では「クラウドサービスの売上」としています。15字以内では、この売上の名称を簡潔に示します。
設問3(1)②
下線①の、ロボットとD社の健康計測機器を組み合わせて使用させる戦略に着目します。ロボットが普及することで、連携する健康計測機器の販売にもつながります。公式解答例では「健康計測機器の売上」としています。15字以内では、この売上の名称を示します。本文ではロボット単体は利益を得られない価格に設定されており、採点講評でも、この価格設定を考慮していないと思われる解答が一部に見られたとされています。
設問3(2)①
〔高齢者に関する健康管理の調査〕の医療機関の要望に戻り、生活データと計測データの「蓄積があれば,質の高い診断ができる」とされている点を使います。契約によって医療機関が患者の日常のデータにアクセスでき、その情報を診断に活用できます。公式解答例では「蓄積された計測データと生活データに基づく質の高い診断」としています。30字以内では、両データの蓄積と診断の質の向上を結び付けます。診断の主体は医療機関の医師です。
設問3(2)②
医療機関のもう一つの要望である、生活データと計測データの「推移から適切な医療指導ができる」に着目します。蓄積したデータの変化を把握することで、患者の状態に応じた指導が可能になります。公式解答例では「計測データと生活データの推移に基づく適切な医療指導」としています。30字以内では、両データの推移を根拠とすることと、適切な医療指導という価値を示します。一つ目の診断と区別して、患者への継続的な指導の価値を説明します。
学習のポイント
本文の目的と施策を対応付け、評価項目と理由の整合性、ロボットの価格設定を踏まえた収益源、データ活用による診断と医療指導の違いを押さえましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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