STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成25年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
施策の評価に置く前提を確かめる
施策を検討するときは、その効果を判断するために置いている前提に注目しましょう。同じ施策でも、想定する状況によって評価の根拠は変わります。与えられた条件と自分で補った想定を区別して整理することが出発点です。
この問題で問われていること
この問題では、施策の印象だけで評価を決めず、その判断がどの条件を前提としているかを確かめる視点を持ちましょう。説明に根拠がある前提と、自分が無意識に加えた前提を分けると、検討の筋道を整理しやすくなります。
視点
評価の前提とは、ある判断をする際に成立していると考える条件です。検討するときは、与えられた条件と、自分が経験や印象から補った想定を分けておきましょう。
確認ポイント
- 判断に用いている前提は何か
- その前提は与えられた条件に基づいているか
- 明示されていない想定を加えていないか
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解説
社会実験で判明した課題を、収入向上、運営効率向上、利便性向上につながる具体策へ変換する問題です。企業の業務利用、観光客の登録と利用の促進、カードによる貸出処理、場所・曜日・時間帯別の貸出・返却台数、スマートフォンでの経路案内が要点です。
問題の全体像
A市は、交通渋滞と放置自転車の対策として自転車シェアリングの社会実験を行いました。渋滞緩和の効果は確認できた一方、観光客の利用低迷、朝の貸出待ち、共有自転車の不足や返却場所の満杯などが課題となっています。公式解答例の出題趣旨では、ITを活用した業務モデルの構想力を評価するとしています。本文の課題を根拠に、収入を増やす施策、運営を効率化する機能・情報、利用者を支援するサービスを具体化することが求められます。
設問1(1)
着目するのは、企業の従業員が「得意先まわり、商談など業務目的」で利用しているという実績と、事業運営者が日中の利用者を増やしたいと考えている点です。この実績を他の企業にも広げれば、利用の少ない日中の需要と事業運営収入の増加につながります。公式解答例では「業務目的での利用の促進」としています。15字以内の答案では、企業への働きかけの中心となる「業務目的での利用」を明示します。
設問1(2)①
観光客は利用登録方法や登録窓口の場所を知らず、バスターミナルと観光名所の集客施設で多くの問合せをしています。また、社会実験の登録窓口は市役所に設けられています。そこで、観光客が訪れる場所で登録できるようにすることが、利用開始の障壁を下げる施策になります。公式解答例では、この二つの場所に常設の利用登録窓口を設けるとしています。40字以内では「バスターミナルと観光名所の集客施設に常設の利用登録窓口を設ける。」のように、設置場所と常設窓口を押さえます。
設問1(2)②
事業運営者の認識にある「パッケージツアーを販売する旅行業者と提携し、観光客の利用を増やす必要がある」に着目します。観光客に接点を持つ旅行業者から利用を勧めてもらうことで、自転車シェアリングに不慣れな観光客にも利用を促せます。公式解答例では、旅行業者と提携して利用を推奨してもらうとしています。40字以内では「旅行業者と提携し、自転車シェアリングの利用を推奨してもらう。」のように、提携先と働きかけの内容を具体的に示します。
設問2(1)
朝の貸出ピークには自動精算機に長い待ち行列ができ、決済用カードで貸出処理の時間を短縮できれば、その緩和が期待できると本文にあります。現在の現金投入を伴う手続を、カードを利用した貸出処理に改善する機能が求められています。公式解答例では「自動精算機での決済用カードによる貸出処理」としています。25字以内では、処理を行う自動精算機、決済用カード、貸出処理を押さえます。現金取扱いのリスク低減だけでは、問われている迅速化の機能を答えたことになりません。
設問2(2)
周辺駐車場の駐輪ステーションでは、平日の朝に貸出しで不足し、夕方に返却で満杯になります。この偏りを配置数に反映するには、ステーション別に、曜日と時間帯ごとの貸出台数・返却台数を把握する必要があります。公式解答例も、この三つの区分と貸出・返却の両方の台数を挙げています。40字以内では「駐輪ステーション・曜日・時間帯ごとの共有自転車の貸出と返却の台数」とまとめられます。採点講評では、1日単位の台数にとどまり、場所・曜日・時刻の特性に注意が向いていない答案が多かったと指摘されています。
設問3(1)
利用者が到着してから自転車の不足や返却場所の満杯に気付き、別の駐輪ステーションに回っている点に着目します。必要なのは、現在地から、実際に借出し又は返却ができる最寄りのステーションへ案内するサービスです。公式解答例では、そのステーションまでの経路を表示するとしています。40字以内では「借出し又は返却が可能な最寄りの駐輪ステーションまでの経路を表示する。」と表せます。採点講評では、全ステーションの満空情報を一覧で提供する答案が多く、スマートフォンのGPS機能の活用まで考えられていない点が指摘されています。
設問3(2)
Webサイトには観光名所やおすすめのサイクリングコースが投稿され、その場所への経路や所要時間の問合せがあります。この問合せに応えるには、投稿内容の掲載に加え、実際の移動に必要な情報を表示するサービスが必要です。公式解答例では、観光名所までの経路、サイクリングのコース、所要時間などの表示を挙げています。40字以内では「観光名所までの経路、サイクリングのコース、所要時間などを表示する。」とまとめられます。採点講評でも、投稿情報を表示するという抽象的な記述にとどまらず、具体的な情報項目と表示方法を答えることが求められています。
学習のポイント
本文の利用実態から施策を導き、必要な情報の集計単位と、端末の特性を生かしたサービスを具体的に記述する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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