STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成24年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
検討の前提と根拠をそろえる
検討を始める前に、与えられた条件と自分で補った想定を区別しましょう。判断の根拠がどの条件にあるかを確かめると、経験や印象だけで結論を急がず、示された範囲に沿って考えやすくなります。
この問題で問われていること
考える際は、判断の前提が与えられた条件に支えられているかという一点に注目してください。自分の知識から補った想定が混ざっていないかを振り返り、根拠をたどれる範囲で検討を進めましょう。
視点
前提とは、検討の土台に置く条件です。与えられた条件と、経験から補った想定を分けて捉え、判断に使う前提の根拠を確認しましょう。
確認ポイント
- 判断の前提は、与えられた条件に基づいているか
- 自分で補った想定を、与えられた条件と混同していないか
- 判断に使った前提の根拠をたどれるか
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解説
G社の主な販路の売上を伸ばすため、提携店優先紹介機能と、それに連動する道案内機能を先行開発します。既存の通信機能を使う更新計画、個人情報の取扱い、電池の搭載・交換費用、共有特許の許諾に必要な同意も押さえます。
問題の全体像
飲料用自動販売機メーカのE社が、顧客G社の経営悪化を打開する新機能を企画する事例です。G社では自動販売機の売上は順調ですが、主な販路である販売店・飲食店の売上が伸び悩んでいます。半年後の市場投入に全機能の開発が間に合わないため、経営課題に効く機能を先行し、残りを後から追加する計画が必要です。公式の出題趣旨では、顧客の経営状況を踏まえた先行開発、バージョンアップの計画、新機能の実現上の課題、共同出願特許の留意点を問うとしています。
設問1(1)①新機能
〔G社の経営状況・経営戦略〕にある、販売店及び飲食店の売上の伸び悩みに着目します。提携店優先紹介機能は、G社の商品を扱う近隣店舗を優先的に紹介し、利用者を誘導する機能です。主な販路の集客と売上の改善につながるため、公式解答例では「提携店優先紹介機能」を先行開発する機能として挙げています。なお、公式解答例では①と②は順不同です。
設問1(1)①理由
理由は、機能の特徴をG社の経営課題に結び付けて説明します。G社が求めているのは、主な販路で売上を伸ばせる機能です。提携店への誘導はこの要望に直接応えるため、公式解答例では「G社の主な販路の売上を伸ばせる機能だから」としています。25字以内では「主な販路」と「売上を伸ばせる」を押さえます。採点講評では、G社との合意を得た状況を踏まえていない理由の解答が一部に見られたと指摘しています。
設問1(1)①情報
〔E社の対応〕の「提携店優先紹介機能の詳細化」に着目します。販売店については当日の特売品、飲食店についてはメニューや割引サービスを紹介するとあります。これらは店舗から入手する必要がある具体的な情報です。公式解答例では「当日の特売品,メニュー,サービスなどの情報」としています。30字以内では、紹介内容を具体的に列挙し、単に「店舗情報」とまとめてしまわないことがポイントです。
設問1(1)②新機能
G社が提案した提携店優先紹介機能は、本文で「道案内機能と連動」すると明記されています。店舗を紹介して利用者を誘導するには、その機能と組み合わせる道案内機能も先行して実現する必要があります。公式解答例では、もう一つの新機能を「道案内機能」としています。機能を個別に評価するだけでなく、優先する機能の実現に必要な連動関係まで読み取ります。
設問1(1)②理由
着目するのは、提携店優先紹介機能が道案内機能と連動するという記述です。提携店優先紹介機能を先行する方針に合わせ、その基盤となる道案内機能も実現します。公式解答例では「提携店優先紹介機能と連動した機能だから」としています。25字以内では、連動先の機能名と連動関係を押さえます。「利用者に便利だから」という一般的な利点だけでは、今回の先行開発の理由を十分に説明できません。
設問1(1)②情報
〔新機能の実現方法〕の道案内機能に、「道路の新設,廃止,工事中などの情報を入手」とあります。目的地まで案内するには、道路の変化や通行に関わる情報を反映する必要があります。公式解答例では「道路の新設,廃止,工事中などの情報」としています。30字以内では、本文にある道路情報の種類をまとめて示します。提携店の販促情報とは、利用する機能と目的が異なる点を整理してください。
設問1(2)
冒頭の既存の通信機能と、納入後にソフトウェアを更新して残りの新機能を実現する計画を結び付けます。自動販売機は広範・多岐にわたる場所に設置されるため、通信機能を利用して更新用ソフトウェアを取得できる設計が有効です。公式解答例では「通信機能を使ってダウンロードできるようにしておく。」としています。30字以内では、通信機能によるダウンロードを可能にする点を押さえます。採点講評では、納入後の保守や機能追加に関連しない解答が一部に見られたとしています。
設問2(1)
〔新機能の実現方法〕のお勧め商品紹介機能に、個人を識別できる画像情報と過去の購入商品情報をサーバに保存するとあります。さらに、カメラ画像から利用者を識別し、購入履歴に応じた新商品を紹介します。個人を識別する情報と購入履歴を結び付けて扱うため、個人情報保護上の問題となり得ます。公式解答例では「お勧め商品紹介機能」としています。答案では機能名を答え、学習上は画像情報の保存と個人識別の記述を根拠として確認します。
設問2(2)
災害情報提供機能と災害時商品無償提供機能には、停電時でも内蔵電池を使って1日程度動作を続けるという共通条件があります。電池の搭載には機能実装の費用が掛かり、交換には保守の費用が掛かります。公式解答例では「電池を搭載したり,交換したりするための費用が掛かる。」としています。35字以内では、搭載と交換の両方を含めます。採点講評でも、機能実装コストと保守コストの一方だけを記述した解答が多かったと指摘しています。
設問3
提携店優先紹介機能の特許は、E社とG社が共同出願し、特許権を共有する前提です。設問は、E社が他の自動販売機メーカに製造・販売を許諾する前に必要な対応を問うています。共有する特許について第三者への許諾を行うため、公式解答例では「G社の同意を得ておく。」としています。15字以内では、同意を得る相手がG社であることを明示します。飲料以外を対象とする場合でも、共同出願・共有という条件に着目する必要があります。
学習のポイント
経営課題から開発の優先順位を導き、機能間の依存関係、納入後の更新、実装と保守の両面、共有特許の条件を本文の根拠と結び付けること。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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