STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成24年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
改善を考える前に目的をそろえる
物流業務の改善を考える際は、まず何を良くしたいのかという目的を、与えられた情報から整理しましょう。手段の印象だけで判断せず、検討の途中でも同じ目的に立ち返ることを意識してください。
この問題で問われていること
着目したいのは、改善という言葉が、どのような目的を指して使われているかです。与えられた情報の中で目的に関わる記述を確かめ、自分の印象で別の目的を付け足していないかを振り返りましょう。
視点
改善の手段を考える前に、何を目指す検討なのかを短い言葉で整理してみましょう。その言葉を共通のよりどころにすると、目的と自分の考えがずれていないかを確認しやすくなります。
確認ポイント
- 改善の目的を、自分の言葉で短く表せますか。
- その目的は、与えられた情報に基づいていますか。
- 考えている間に、別の目的へ置き換えていませんか。
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解説
本問は、物流センタの統合による移送費用の削減、特売用商品の出荷予定の早期把握と要員を考慮した到着調整、サンプル商品の別管理、需要の変動を踏まえた発注、配送の集約を、本文の問題点から導く問題です。
問題の全体像
日用品卸売業者のD社は、注文と顧客の減少を受け、競争力強化と物流費用削減のために業務を見直します。地域内に分散した物流センタを統合し、特売用商品は保管せず、到着後に仕分けて直ちに配送する仕組みに変えます。一方、現状にはセンタ間の移送、未記録のサンプル持出しによる在庫差異、季節変動を考慮しない発注、少量・多頻度の配送という問題があります。公式の出題趣旨では、業務から課題を抽出し、システムや情報を活用した改善策を検討する能力を評価するとされています。各設問では、現状のどの問題を、どの業務変更によって解消するかを具体的に結び付けることが重要です。
設問1
着目するのは、〔物流業務の現状〕の入出庫業務にある、欠品時には同一地域内の別の物流センタから商品を移送するという記述です。本文では、この移送を運送業者に委託し、移送費用が発生しています。地域ごとにセンタを1か所へ統合すれば、地域内で分散していた在庫が集約され、欠品対応のためのセンタ間移送を削減できます。公式解答例では『商品欠品時の物流センタ間の移送費用を削減できる。』としています。30字以内では、欠品時のセンタ間移送と、その費用削減を押さえます。設問が『在庫削減以外』と指定しているため、在庫量の減少だけでは問いに答えられません。
設問2(1)
〔特売用商品に対応する物流業務〕では、メーカは数日前に出荷予定を確定する一方、D社への品目・数量の連絡はトラックの出発時になっています。また、到着希望日時に全数がそろわないと、配送トラックの追加手配が必要になります。数量の相違を早く把握して調整するには、連絡を出発時まで待たず、予定が確定した段階で商品、数量、到着予定日時を入手する必要があります。公式解答例では、情報を『商品,数量と到着予定日時』、時点を『出荷の予定が確定した時』としています。それぞれ20字以内で、情報の三要素と入手時点を分けて記述します。発注時にD社が指定する到着希望日時と、メーカの出荷計画に基づく到着予定日時を区別しましょう。
設問2(2)
着目するのは、複数メーカに同じ到着希望日時を指定することがあり、トラックが同時到着すると配送準備作業を並行して処理するだけの作業要員がいないという制約です。特売用商品は到着後に仕分けるため、その作業が配送トラックの出発時刻までに終わるよう、要員の割当てを踏まえて入荷トラックの到着時刻を決める必要があります。公式解答例では『作業要員の割当てを考慮してメーカからのトラックの到着時刻を決定する業務』としています。45字以内では、作業要員の割当てとメーカ側トラックの到着時刻の調整を一つの業務として記述します。採点講評では、到着スケジュールと作業要員の一方だけを条件とした解答が多かったと指摘しており、両者を関連付けることが重要です。
設問3(1)
在庫差異の原因は、営業部員が在庫管理システムに記録せず、一般在庫からサンプル商品を持ち出すことです。システム上は出荷できる数量が残っていても、実物はサンプルとして持ち出されているため、出荷時に欠品が判明します。見直しでは、サンプルの必要数量を入荷時点で見込めることが分かっています。そこで、入荷時にその数量を確保し、顧客への出荷に使う一般在庫と別に管理します。公式解答例では『サンプル商品は,入荷時に必要な数量を確保し,一般在庫と別管理する。』としています。40字以内では、入荷時の必要数量確保と一般在庫からの分離を押さえます。採点講評では、必要数量の上乗せや棚卸の実施など、在庫差異の発生要因を捉えていない解答もあったとされています。
設問3(2)
現状では、発注数量を受注情報と在庫情報から決め、出荷実績の傾向を考慮していません。また、在庫水準には商品ごとの基準値を使っていますが、季節変動などの特性を考慮できず、欠品や過剰在庫が生じています。改善では、在庫管理システムに記録された出荷実績の傾向に加え、季節による需要の変動も発注判断に反映します。公式解答例では『出荷実績の傾向と季節変動などを考慮してメーカに発注する。』としています。35字以内では、出荷実績の傾向、季節変動、それらを考慮した発注という要素をまとめます。需要が増える時期と減る時期の違いを反映することが、欠品と過剰在庫の双方を減らす考え方です。
設問4
本文冒頭では、注文回数を制限していないため、少量・多頻度の配送となっている顧客が多いと説明されています。配送費用の調査でも、そのような顧客の中に見直しによる削減余地があるとされています。したがって、注文回数の多い顧客について、複数回の注文分をまとめて配送できるかを検討します。公式解答例では『注文回数が多い顧客について,まとめて配送が可能かどうか検討する。』としています。40字以内では、対象となる顧客と、まとめて配送することの可否を押さえます。定番商品と特売用商品は既に同じ便で配送する前提です。採点講評でも、混載や別々の配送を挙げるなど、配送費用を見直せる関係を理解していない解答が指摘されており、注文・配送の頻度に着目する必要があります。
学習のポイント
問題の原因と改善策を対応させ、情報の入手時点や作業要員の制約まで含めて、具体的な業務として記述する力を身に付けましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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