STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成24年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断に用いる前提をそろえる
事業の収益やデータ活用の効果を考えるときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。示された情報と自分が補った想定を区別し、同じ条件の下で関係を捉えられるかを確認することが大切です。
この問題で問われていること
この分野では、ある判断がどのような前提に基づいているかを確かめる視点が役立ちます。与えられた条件の範囲を意識し、明示されていない事情を無意識に加えて判断していないか、立ち止まって点検しましょう。
視点
まず、考えようとしている関係の前提を言葉にしてみましょう。その前提が与えられた情報に基づくものか、自分の想定なのかを分けて捉えると、検討する範囲を保ちやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を自分の言葉で整理できているか
- その前提は与えられた条件に基づいているか
- 明示されていない条件を付け足していないか
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解説
機器販売の利益が低下するA社が、利益率の高い修理サービスと補修部品販売を柱に収益構造を転換する事例です。収集データが顧客、販売代理店、A社の各業務にもたらす効果を、それぞれの理由と対応させて説明することが要点となる。
問題の全体像
A社は機器の製造・販売で利益を上げにくくなり、利益率の高いメンテナンスサービス事業への転換を目指している。一方、修理の長期化、販売代理店の分析時間不足、補修部品の需要予測の難しさ、製品企画に使う情報の曖昧さが課題です。機器の運転データを収集・分析するシステムによって、これらの課題をどう改善するかを読み取る。公式の出題趣旨では、新事業を支援する情報システムに関して業務モデルを作成する能力を評価するとしており、収益の柱と、関係者ごとのメリット・理由の対応が中心となる。
設問1(1)(①)
〔メンテナンスサービス事業の立上げ〕にある「修理サービス及び補修部品販売の売上高利益率は高い」という記述に着目する。機器の製造・販売による利益が低下しているため、利益率の高い既存サービスを収益構造の転換につなげる事業です。公式解答例では、回答欄①に「修理サービスの売上」を挙げている。提供予定のサービス一覧から選ぶだけでなく、収益性について明示された記述を根拠にする。
設問1(1)(②)
回答欄①と同じく、修理サービスと補修部品販売の売上高利益率が高いという記述が根拠となる。修理に伴って部品交換が必要になり、補修部品の販売もA社の収益を支える。公式解答例では、回答欄②に「補修部品販売の売上」を挙げている。コンサルティングサービスも提供予定だが、公式解答例が収益の柱として示す二つは、修理サービスと補修部品販売です。
設問1(2)(a)
〔販売代理店の状況〕では、顧客の多くが昼夜操業しており、修理が長引くと操業に大きな影響が出ることを懸念している。顧客側のメリットは、この操業への影響が小さくなることです。公式解答例でも、修理時間の短縮によって顧客の操業への影響が小さくなるという関係を示している。メリットの欄は、20字以内で「顧客の操業への影響が小さくなる」とまとめられる。
設問1(2)(b)
〔メンテナンスデータ収集システムの導入〕では、不具合箇所や修理の難度を事前に判断し、必要な補修部品を携えて訪問できると説明されている。これにより、現地での調査や部品の取寄せなどによる修理の長期化を抑えられる。公式解答例が顧客のメリットの理由として示す要点は、修理時間の短縮です。20字以内では「修理時間が短縮されるため」とまとめ、メリット欄の操業への影響軽減につなげる。
設問2(1)(a)
問われているのは、販売代理店自身の修理活動におけるメリットです。従来は顧客の事業所に出向いて故障箇所などを調べていたが、システム導入後は不具合箇所や必要な部品を事前に把握できる。公式解答例では、その効果を機器の修理に要する時間の短縮としている。20字以内では「機器の修理時間を短縮できる」とまとめられる。採点講評では、販売代理店のメリットを問う設問でA社や顧客のメリットを挙げた解答があったと指摘している。
設問2(1)(b)
〔メンテナンスデータ収集システムの導入〕の、不具合箇所を特定でき、必要な補修部品を携えて修理に出向けるという記述に着目する。修理時間が短くなる理由として、事前に分かる情報を具体的に示すことが必要です。公式解答例では、不具合箇所と補修部品が分かることを挙げている。20字以内では「不具合箇所と必要な補修部品が分かるため」とまとめられる。
設問2(2)(a)
〔販売代理店の状況〕には、機器の改造・取替え・増設を提案することになっているものの、運転状況や老朽化の分析に時間を割けないという課題がある。本文末尾では、A社から提供されるデータの分析結果を提案活動に活用できるとしている。公式解答例が示すメリットは、機器の改造・取替え・増設の提案ができることです。20字以内では「機器の改造・取替え・増設を提案できる」とまとめられる。
設問2(2)(b)
提案内容を判断するには、機器がどのように運転され、どの程度老朽化しているかを把握する必要がある。従来はその分析に時間を割けなかったが、システムの収集データとA社の分析結果を活用できるようになる。公式解答例では、運転状況と老朽化の状況が分かることを理由としている。20字以内では「機器の運転状況と老朽化の状況が分かるため」とまとめ、提案活動のメリットと対応させる。
設問3(1)(a)
〔補修部品の在庫計画の概要〕では、出荷履歴と設計仕様上の耐用年数に基づく計画では需要予測が難しく、欠品への特別生産や在庫負担が生じている。収集データを生産活動に使う効果は、補修部品の在庫計画をより正確に立てられることです。公式解答例でも、補修部品の在庫計画の精度向上を挙げている。25字以内では「補修部品の在庫計画の精度が向上する」とまとめられる。
設問3(1)(b)
本文では、機器の老朽化や部品の劣化は運転状況によって変動すると説明されている。実際の運転状況を収集することで、設計上の耐用年数だけでは捉えにくかった部品交換の時期を予測し、在庫計画に反映できる。公式解答例が示す理由は、補修部品の需要時期を予測できることです。25字以内では「補修部品の需要時期を予測できるため」とまとめられる。
設問3(2)(a)
冒頭の製品企画活動では、修理情報や機器の運転・機能利用の情報を参考に新機能、新機種を開発しているが、販売代理店からの情報が曖昧で不十分とされている。システムによって具体的な利用実態が得られるため、開発の検討に活用できる。公式解答例では、新機能、新機種の開発を検討できることを挙げている。25字以内では「新機能・新機種の開発を検討できる」とまとめられる。採点講評では、製品企画を問う設問に保守サービス関連の内容を答えた解答があったと指摘している。
設問3(2)(b)
本文末尾の、収集データを用いて機器の運転状況と機能の利用状況を分析するという記述が根拠となる。顧客が機器をどう運転し、どの機能を利用しているかが分かれば、新機能や新機種を検討するための情報を得られる。公式解答例では、運転状況と機器の利用状況が分かることを理由としている。25字以内では「機器の運転状況と機能の利用状況が分かるため」とまとめられる。
学習のポイント
関係者と対象業務を取り違えず、得られる情報から業務上のメリットに至る因果関係を、指定字数内で表現する練習を重視する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成24年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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