STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
![表1 案件管理プロセス。営業活動の5段階(①引き合い,②提案依頼,③提案書の提出,④プレゼンテーション,⑤契約交渉)ごとに必須項目と推奨項目を示す表。推奨項目には空欄a(②の「顧客の[a]」)と空欄b(④の「顧客の[b]」)がある。表の下にRFI(情報提供依頼書)とRFP(提案依頼書)の注記がある。](/figures/16630d680610738a5bc572f427492314c4cc207b460944fb84cfb728c216f375.webp)
解き方のヒントを見る
判断の前提を丁寧に確かめる
この分野を学ぶ際は、判断を支える前提に注目しましょう。気になる内容をすぐに結論へ結び付けず、どのような条件を置いて考えているのかを意識すると、知識を落ち着いて整理しやすくなります。
この問題で問われていること
検討するときは、示されている条件と、自分が補っている前提を区別することに意識を向けてください。普段の経験から当たり前だと思っている条件も、今回の判断にそのまま使えると決め付けず、いったん立ち止まって確かめましょう。
視点
判断の前提には、明示された条件と、考える人が無意識に補った条件があります。学習では、この二つを区別して捉えることで、思い込みが検討に入り込んでいないかを振り返れます。
確認ポイント
- 明示された条件を捉えているか
- 示されていない前提を補っていないか
- 経験上の前提を無条件に当てはめていないか
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解説
C社の業務改革では、業務改善案と導入事例によって引き合いを増やし、顧客要件と競争力を踏まえた提案で受注につなげる。見積時のリスク評価で利益を確保し、営業活動の実績から受注確度を客観的に判断することが要点です。
問題の全体像
C社は測定機器単体の利益率低下を受け、情報システムと組み合わせたソリューション事業へ進出している。しかし、営業担当者の提案活動が不十分で、技術部門では見積工数を超過する案件が増えている。案件管理にも、部門間の情報共有不足や受注確度の判断精度の低さがある。出題趣旨では、現状を分析し、受注案件の増大と利益確保という改革方針に合致した施策を作成する能力を評価するとしている。各設問では、引き合いの獲得、受注につながる提案、開発リスクの評価、営業活動と案件管理の改善を結び付けて考える。
設問1①
冒頭の、SIベンダが測定機器を組み込んだ情報システムによる業務改善案を提示し、引き合いにつなげている記述に着目する。顧客にソリューションへの関心を持ってもらうには、測定機器の機能だけでなく、それを使って業務をどう改善できるかを示す必要がある。公式解答例では「測定機器を組み込んだ情報システムによる業務改善案」としており、30字以内でこの情報の内容を示します。採点講評では、顧客の業種が多いといったC社の一般的な評価情報を挙げた答案に触れ、ソリューションへの関心を高める情報を理解するよう求めている。
設問1②
〔営業活動の現状〕で、優秀な営業担当者がC社の測定機器を活用したソリューションの導入事例を紹介し、引き合いにつなげている点が根拠になる。導入事例は、測定機器と情報システムを組み合わせた活用方法を具体的に伝える情報です。公式解答例では「C社の測定機器を活用したソリューションの導入事例」としている。30字以内の答案では、C社の測定機器を活用していることと、ソリューションの導入事例であることを押さえる。
設問2(1)顧客の視点
〔営業活動の現状〕にある顧客の要望を読む。顧客は、測定機器の機能説明を中心とした提案ではなく、自社の業務要件とシステム導入の投資効果を十分に検討してほしいと述べている。したがって、提案書には顧客が求める業務上の条件と、導入によって得られる効果を盛り込む。公式解答例では「顧客の業務要件とシステム導入の投資効果」としており、30字以内で両方を示します。採点講評では、受注につなげる提案内容を問う設問に対し、プロジェクト開始後のリスク管理を書いた答案が見られたとしている。
設問2(1)C社の視点
〔技術部門の問題点〕の、顧客の業務要件に合致し、市場競争力のある測定機器を盛り込んだ提案書を作成する必要があるという記述に着目する。C社が競争に強いソリューションを提案するには、顧客の要件に適合する機器を選び、その機器の競争力を提案に反映させる必要がある。公式解答例では「顧客の業務要件に合致し、市場競争力のある測定機器」としている。30字以内で、業務要件への適合と市場競争力の二つを押さえる。
設問2(2)①
〔技術部門の問題点〕には、屋外利用や24時間稼働では、小規模なプロジェクトでも高信頼性が求められ、テスト工数が増大するとある。見積時に要求される信頼性を確認すれば、テスト工数が増えるリスクを評価できる。公式解答例では「システムに要求される信頼性の高さ」としており、20字以内で評価対象を示します。採点講評では、「先行テストの実施」など、リスク評価と対応策を混同した答案が見られたとしている。ここでは対策の実施ではなく、工数増大を招く条件を確認する項目を書く。
設問2(2)②
顧客が測定機器に詳しくなかったり、関係者が多すぎたりして仕様が決まらない場合、設計工数が増大するという記述が根拠になる。仕様がどこまで確定しているかを見積時に確認することで、設計工数の増大リスクを評価できる。公式解答例では「システム仕様の確定の状況」としており、20字以内でこの確認対象を示します。関係者によるレビューは仕様を決めるための対応策であり、チェック項目として問われているのは仕様の確定状況です。
設問3(1)a
空欄aは表1の「②提案依頼」にあり、空欄の前には「顧客の」と書かれている。〔営業活動の現状〕では、優秀な営業担当者が提案前に顧客のキーパーソンへ予算額を確認し、予算に合わせた提案を作成している。この活動を提案依頼の段階に組み込む。公式解答例では「キーパーソンに予算額を確認する。」としている。20字以内で、確認相手と確認内容を示し、表の文頭とつながる形で記述する。
設問3(1)b
空欄bは表1の「④プレゼンテーション」にあり、空欄の前には「顧客の」とある。本文では、提案書の説明が顧客の担当者にとどまり、意思決定者に説明できず失注することがある。この問題を防ぐため、プレゼンテーションの段階で意思決定者に直接提案内容を伝える活動を定める。公式解答例では「意思決定者に提案書を説明する。」としている。20字以内で、説明相手と説明対象を押さえる。採点講評では、案件の各段階に応じた活動と関係のない答案が見られたとしており、空欄が置かれた段階との対応が重要になる。
設問3(2)
〔案件管理の問題点〕では、受注確度の判断が営業担当者任せで、精度が低いとされている。改革案では必須項目の実績から進捗を5段階で管理するが、推奨項目の実施状況も登録すれば、予算確認や意思決定者への説明など、受注につながる活動の実績を判断材料にできる。公式解答例では「推奨項目の実施状況から受注確度を客観的に判断できる。」としている。30字以内で、実施状況を根拠とすることと、受注確度を客観的に判断できる効果を示します。採点講評でも、推奨活動の実施状況と受注獲得の確度との関係を捉えることが求められている。
学習のポイント
設問の目的・視点・営業段階を区別し、本文の根拠を字数内にまとめる。特にリスク評価項目と対応策、案件の進捗と受注確度を区別する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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