STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
判断の前提となる条件をそろえる
業務の課題やシステムへの要望を考えるときは、判断の前提となる条件に注目しましょう。何を前提にした記述なのかを整理し、自分が補った想定と、与えられた情報とを区別して考えることが大切です。
この問題で問われていること
検討する内容について、どの条件が判断の根拠になっているかを確認しましょう。普段の経験から当然だと思う条件でも、そのまま当てはめず、与えられた情報に根拠があるかを意識して整理してください。
視点
前提となる条件が曖昧なままだと、考えた内容に自分の想定が混ざることがあります。判断に使う条件と、その根拠となる情報を対応させ、根拠が確認できない想定は保留して考えましょう。
確認ポイント
- 判断の前提としている条件を確認したか
- その条件の根拠を与えられた情報から確認したか
- 自分の経験から補った想定が混ざっていないか
正解と解説を見る
解説
本問は、営業方針の変更を、不良在庫を防ぐ施策、接客を支援するタブレット機能、生地メーカとの情報共有・協議に具体化する問題です。地域間の商品移送と値下げ、販売できなかった情報の収集、在庫・納期の表示と取寄せ手配、生地の所要量・納期の共有、余剰在庫への対応が要点です。
問題の全体像
A社は、安価な外国製品との競争に対し、丁寧で迅速な接客と、顧客の好みの変化に応じた多種類商品の短周期での投入を目指しています。一方、地域ごとの売行きの違いによる不良在庫、問合せ・取寄せにかかる接客負担、小刻みな発注と短納期に対する生地メーカの反発が課題です。公式の出題趣旨では、営業方針の変更に伴うサプライチェーンマネジメントを支援するシステム化構想の検討能力を問うとしています。販売・接客・調達それぞれの課題から、具体的な施策、機能、共有情報、協議事項を導くことが中心です。
設問1(1)
「ある地域で売れなくても、別の地域ではよく売れている」という記述に着目します。配分後の商品をそのまま各地域に置けば、売れない地域では在庫が残り、売れる地域では販売機会を逃します。商品企画部は商品管理と物流センタの運営を担うため、地域間で商品を移送する施策を実施できます。公式解答例では、売れていない地域から売れている地域への商品移送を挙げています。30字以内では「売れていない地域から売れている地域へ商品を移送する。」と、移送元・移送先・行動を押さえます。採点講評では、新しい営業方針への対応内容をそのまま引き写した解答が多かったと指摘されています。
設問1(2)
「販売価格は全国一律なので、個々の直営店が値引きして販売することはできない」という制約と、商品企画部が店頭価格を設定する点を結び付けます。また、新しい方針では、展示方法などを工夫しても売行きが鈍い場合に価格を見直すとしています。商品企画部による値下げで販売を促し、売れ残りを売り切ることが施策になります。公式解答例も、売行きの鈍い商品の値下げと売切りを挙げています。30字以内では「売行きの鈍い商品を値下げして売り切る。」とまとめられます。「価格を見直す」だけでなく、不良在庫を防ぐために売り切るという目的まで示すことが要点です。
設問2(1)
〔トレンド情報の収集〕の「売れた結果の数値だけでは顧客の好みの傾向が分からない」という記述が根拠です。POS情報で把握できるのは販売実績であり、希望の商品がなく購入に至らなかった顧客の需要は把握できません。この情報を接客中・接客直後に入力すれば、顧客の好みの移り変わりを商品企画に生かせます。公式解答例では、来店客が希望する商品がなくて販売できなかった情報を入力する機能を示しています。40字以内では「来店客が希望する商品がなくて販売できなかった情報を入力する機能」と、販売に至らなかった需要を対象にすることを明示します。
設問2(2)(a)
販売スタッフが、商品の色・サイズ・在庫の有無を物流センタに問い合わせ、さらに取寄せの納期を確認している点に着目します。この確認に時間がかかり、他の来店客に対応できないことが問題です。必要な情報をタブレットで表示できれば、接客の場で確認でき、問合せの負担を減らせます。公式解答例では、商品の色やサイズごとの在庫の有無と納期を表示する機能を挙げています。35字以内では「商品の色やサイズごとの在庫の有無と納期を表示する機能」とまとめます。在庫だけでなく、色・サイズ別の確認と納期の表示まで押さえることが要点です。
設問2(2)(b)
在庫や納期の確認に加え、「取寄せの手配に時間がかかっている」という記述が根拠です。情報を表示するだけでは、顧客が取寄せを希望した後の手配作業が残ります。タブレットから物流センタへ取寄せを手配できれば、接客から手配までをその場で進められ、販売活動の効率が向上します。公式解答例では、物流センタに対して在庫の取寄せを手配できる機能を示しています。35字以内では「物流センタに対して在庫の取寄せを手配できる機能」とまとめます。前の回答の情報表示機能と、この回答の手配機能を分けて示しましょう。
設問3(1)
生地メーカが未染色の生地を在庫として持つことと、「染色作業にはある程度の日数が必要」という記述を結び付けます。短納期に対応するには、どの種類の生地をどの色に何量染め、いつまでに納入する必要があるかを把握し、染色の準備を進める必要があります。本文では、短い周期の商品企画で生地の種類別・色別所要量を設定するとしています。公式解答例は「生地の種類別・色別の所要量と納期」です。25字以内でもこの表現で収まり、生地の種類、色、数量、納期という必要な要素を示せます。
設問3(2)
従来から、発注計画と実際の発注数量の内訳が異なり、生地メーカに余剰在庫が生じるとA社に対応を要請していた点に着目します。未染色で在庫を持てば、特定の色に染めた在庫を抱えることを避けられますが、生地の種類別の需要変動などによる余剰はなお生じ得ます。新しい方針では売行きが鈍い場合に発注を止めるため、余剰発生時の扱いを事前に協議する必要があります。公式解答例は「生地在庫に余剰が発生した場合の対応方法」で、25字以内に収まります。採点講評では、未染色で在庫を持つ意味を理解せず、不良在庫を防ぐ方策を答えた解答が多かったと指摘されています。ここでは予防策ではなく、余剰が発生した場合の対応を答えます。
学習のポイント
営業方針をそのまま転記せず、現状の課題、実施主体、必要な施策・機能を結び付けることを学びましょう。商品在庫と未染色の生地在庫の違いも重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針