STITストラテジスト試験 午後Ⅰ
平成21年度秋期 ITストラテジスト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
目的と要件のつながりを確かめる
要件を考えるときは、示されている目的と、そのために求められることとのつながりに注目しましょう。用語の印象だけで判断せず、目的を根拠として要件を捉えられるか、対応関係を丁寧に確かめることが大切です。
この問題で問われていること
この分野では、業務の目的とシステムへの要求を結び付けて考える視点が役立ちます。検討している内容がどの目的に関わるのかを意識し、そのつながりを与えられた情報から説明できるか確かめてみましょう。
視点
目的と要件のつながりを、与えられた情報に基づいて整理しましょう。関連がありそうだという印象と、関連を説明できる根拠とを区別すると、書かれていない意図を補わずに検討できます。
確認ポイント
- 検討している要件は、どの目的と結び付くか。
- その結び付きを支える情報は何か。
- 結び付きを説明する際に、示されていない意図を補っていないか。
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解説
本問は、地方銀行の連合店化と相談業務の強化を、必要な情報とシステム機能に具体化する問題です。顧客選定、定例業務の分担、地域に応じた人員配置、取引情報の一元検索、訪問計画と管理支援を本文に即して整理します。
問題の全体像
A銀行は大手銀行との競争によって業績が頭打ちとなり、営業効率の向上と地域ごとのマーケティング強化を進めています。改革の中心は、営業担当者を母店に集める連合店化、スキルに応じた役割分担、相談業務の強化です。公式資料の出題趣旨では、業務改革の企画と、営業支援システム・顧客情報システムの機能を整理する実践的能力を評価するとしています。各設問では、改革後の業務に必要な情報を特定し、営業推進とコンプライアンスの徹底につながる機能へ具体化することが求められます。
設問1(1)
着目するのは、相談業務のヒアリング結果にある「顧客の総資産保有額」と「顧客ごとの商品購入履歴」です。総資産保有額は資産運用の相談に必要な情報であり、購入履歴は投資商品やローンに伴うリスクを顧客がどう受け止めるかを知る手掛かりになります。改革案では顧客を層別に分類し、スキルのある営業担当者を特定層への販売に集中させます。この対象選定に対応して、公式解答例では「顧客の総資産保有額」「顧客の購入履歴」の二つを挙げています。
設問1(2)
契約社員には、スキルのある営業担当者が集中して行う投資商品やローンの販売以外の応対を担当させ、毎日最新の情報で訪問先を指示する方針です。相談業務のヒアリングには、定期預金の期日管理、普通預金残高の確認、大口の入出金などを契機とする顧客への連絡が挙げられています。これらから訪問対象を抽出するため、公式解答例では「定期預金の期日」「普通預金の残高」「普通預金の入出金の状況」の三つを示しています。第三の情報には「大口の入出金」という表現も示されています。
設問1(3)
設問は「地域の状況に合わせた」人員配置に必要な情報を問うています。支店運営のヒアリングでは、従来の狭い営業範囲なら、顧客の分布や競合他行の位置・業容を思い浮かべやすく、営業推進策を立案しやすいと述べています。連合店化後は、母店でこれらの地域情報を集中管理して配置判断に使う必要があります。公式解答例では「顧客の分布」「競合他行の位置・業容」を挙げています。顧客がどこにいるかと、競合がどこでどのような業務を展開しているかの二つを押さえます。
設問2(1)
第一の改善は、同一顧客の取引情報を一元的に検索できるようにすることです。現状では、口座番号から預金情報や住所を検索できても、投資商品とローンは別々のシステムで調べるため、購入履歴の把握に時間がかかっています。公式解答例では、同一顧客のすべての取引情報を一元的に検索可能にするとしています。35字以内の答案では「同一顧客のすべての取引情報を一元的に検索可能にする」のように、顧客単位で取引情報をまとめて検索する要素を示します。
設問2(2)
第二の改善は、検索範囲を連合店内の支店に広げることです。現状は支店ごとの営業を前提としており、ほかの支店の顧客情報は限定的にしか検索できません。母店と配下の支店を一つの営業単位にする改革では、この制約が連合店内での情報活用を妨げます。公式解答例では、連合店内について支店に限定されず検索可能にするとしています。35字以内では「連合店内の顧客情報を支店に限定されず検索可能にする」とまとめ、連合店内という範囲を明示します。
設問3(1)
訪問活動のヒアリングでは、顧客の所在地に応じた効率のよい訪問の道筋や、時間配分を考慮した計画作成が、担当者の経験やスキルに依存しています。この課題に対応するのが、訪問計画の具体的な内容を提示する機能です。公式解答例では「訪問の道筋や,時間配分を提示する機能」としています。25字以内では「訪問の道筋や時間配分を提示する機能」とまとめ、道筋と時間配分の両方を含めます。「訪問計画を支援する機能」だけでは、支援内容が具体的に伝わりません。
設問3(2)(1)
責任者には、担当者の訪問活動を日々把握し、顧客の属性や購入履歴を基に適切な管理を行うことが求められています。本文は、これを怠ると不適切な販売やコンプライアンス上の問題につながると指摘しています。そこで、訪問の状況と顧客情報を随時確認できる機能が必要です。公式解答例では「訪問記録と顧客の属性・購入履歴を随時照会できる機能」としています。この表現は30字以内に収まり、訪問記録、属性、購入履歴、随時照会という要素を押さえています。
設問3(2)(2)
もう一つは、責任者の判断を営業担当者に伝える機能です。本文では、責任者が各案件の指示やアドバイスを口頭又は訪問日誌で行い、少人数の支店ではすぐに助言を得られることが営業推進に有効だとしています。連合店化後も、責任者が把握した状況に基づく指示・助言を担当者へ伝えられるようにします。公式解答例では「営業担当者への指示・アドバイスを伝達する機能」としています。この表現は30字以内です。前の回答が管理に必要な情報の照会、本回答が担当者への働き掛けに対応します。
学習のポイント
業務上の判断に必要な情報と、それを活用するシステム機能を区別し、改革の目的から要件を導く練習が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ITストラテジスト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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