STITストラテジスト試験 午前Ⅱ

平成21年度秋期 ITストラテジスト 午前Ⅱ 問19

問題文と選択肢を読んで答えを考えてから、下の「正解と解説を見る」で確認しましょう。

問題

日本の技術経営における課題のうち,“死の谷”を説明したものはどれか。

選択肢

  1. ア
    基礎研究と製品開発との間をつなぐ研究開発に資金投入が行われなかった結果,基礎研究が製品化に結び付かず,価値利益化ができなくなる問題
  2. イ
    基礎研究の成果を製品化に結び付けることができた製品が,市場の過当競争に巻き込まれ,価値利益化ができなくなる問題
  3. ウ
    製品が市場に浸透していくライフサイクルにおいて,ターゲットとすべき顧客が異なった属性の層へ替わっていき,価値利益化ができなくなる問題
  4. エ
    製品のコモディティ化が進んだ結果,製品の差別化ができなくなり,価値利益化ができなくなる問題
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事業化段階の課題を捉える視点

事業化段階の課題を考えるときは、技術の成立だけでなく、顧客への価値提供を継続できる条件との結び付きを一つの観点として整理し、短期と中長期の違いにも注意します。

この問題で問われていること

選択肢を読む際は、個別の施策名や用語の印象ではなく、事業として価値を届け続けるための条件が、どの課題に対応するものとして説明されているかという一点に注目します。

視点

技術経営では、技術・顧客・組織・市場などの要素を個別に見るだけでなく、事業として継続的に価値へ結び付く関係として整理します。

確認ポイント

  • 課題が事業化のどの局面に関係するかを確認する
  • 説明が技術単独ではなく価値提供との関係を示しているか見る
  • 一時的な成立条件と継続的な運用条件を区別する
正解と解説を見る

正解

ア

解説

“死の谷”とは、基礎研究の成果と製品開発・事業化の間にある隔たりを指します。中間段階の研究開発が不足すると、研究成果が製品化へ進まず、利益につながらない。

理由

基礎研究の成果を製品や事業へ結び付けるには、応用・実用化に向けた研究開発が必要になる。この中間段階への資金投入が不足し、研究成果が製品化に結び付かない問題が“死の谷”です。

比較

イは製品化後の市場における過当競争、ウは製品ライフサイクルに伴う顧客層の変化、エは製品のコモディティ化による差別化困難を説明している。いずれも研究成果と製品化の間の隔たりとは異なる。

選択肢ア(正解)

これは正解だよ。基礎研究と製品開発との間をつなぐ研究開発に資金投入が行われないと、研究成果を実用化・製品化へ進められない。このように研究段階と事業化段階の間で成果が停滞し、価値利益化できなくなる問題が“死の谷”である。

選択肢イ

これは不正解だよ。本文は、基礎研究の成果を製品化に結び付けた後、その製品が市場の過当競争に巻き込まれる問題を述べている。これは市場投入後の競争や収益化の課題であり、研究成果と製品化の間の隔たりを示す“死の谷”とは異なる。

選択肢ウ

これは不正解だよ。本文は、製品が市場に浸透するライフサイクルの中で、ターゲットとすべき顧客が異なる属性の層へ替わる問題を述べている。これは市場の顧客層に関する課題であり、研究開発から製品化までの停滞を表していない。

選択肢エ

これは不正解だよ。本文は、製品のコモディティ化が進み、製品の差別化が難しくなって価値利益化できない問題を述べている。これは市場での競争優位や製品差別化の課題であり、基礎研究の成果を製品化へつなぐ過程の問題ではない。

学習のポイント

死の谷は、研究成果と製品化の間にある事業化上の隔たりとして理解する。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問19(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例)

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