SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
記述と根拠の対応を確かめる
検討を始めるときは、判断の根拠が与えられた条件のどこにあるかに注目しましょう。分野の一般論や経験から条件を補わず、明示された内容と自分の推測を区別すると、考える範囲を整理しやすくなります。
この問題で問われていること
この問題では、考えた内容を支える条件が実際に示されているか、という一点を意識してください。もっともらしく感じる内容でも、その印象だけを根拠にせず、与えられた条件に戻って判断の前提を確認しましょう。
視点
条件から読み取れることと、自分が補って考えたことは分けて扱います。判断の根拠を確認する際は、知っている仕組みを当てはめる前に、どの条件に基づいた考えなのかを言葉にしてみましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠となる条件を指し示せるか
- 明示されていない前提を補っていないか
- 印象や経験だけを根拠にしていないか
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解説
本問は、食品メーカの品質管理業務を情報システムへ置き換える際の設計を問います。担当者変更の識別単位、変更前の割当てに基づく負荷集計、検査順序と完了判定を整理し、自動化できる確認と各部署の報告に基づく最終確認を区別することが要点です。
問題の全体像
D社は弁当や総菜をロット単位で製造し、各工程で品質検査を行っています。現行業務では紙の品質記録票や電話による完了報告を用いていますが、新システムでは検査指示と結果を管理し、担当者変更時の作業負荷や製品検査の完了状況を画面で確認できるようにします。公式の出題趣旨では、現行業務と業務部門の要望に基づくファイル設計・機能設計、及びシステム導入による業務への影響を考慮する能力が問われています。担当者の割当て、ロットごとの検査実績、製造日・便ごとの出荷前承認という管理単位を押さえることが読解の出発点です。
設問1(1)
着目するのは、通常の担当者は曜日・便・品目ごとに割り当てられ、例外的な変更は特定の製造日・便について品目ごとに行うという記述です。検査担当者変更ファイルには、どの日の、どの便の、どの品目について担当者を変更したかを識別できるキーが必要です。公式解答例では、aは「製造日、便コード、品目コード」です。曜日だけでは個別の製造日の変更を区別できません。また、変更先の社員コードはその組合せに対して登録する内容であり、ロットNo.は品目単位の担当者変更を識別するためには不要です。一度変更した内容は再度変更しないという要件も、この組合せで変更レコードを一意に管理できる根拠になります。
設問1(2)
表2の(D)では、変更元の担当者について品目ごとのレコード数を、他の担当者について社員コードごとのレコード数を集計して表示します。これは、新システムへの要望にある見込回数の参照方法に対応しています。前週の同じ曜日・同じ便の検査実績を、不合格による追加製造分も含めて数えることで、担当変更を判断するための作業負荷の目安を得ます。公式解答例では、bは「各検査担当者の作業負荷の確認」です。この表現は20字以内で、表示情報を何のために使うかを示しています。ロットごとの検査を1回と数えるため、ここで集計するのは製造指示数の合計ではなくレコード数です。
設問1(3)
根拠は、新システムへの要望にある「他の検査担当者への変更が行われていた場合でも、変更前の検査担当者の割当てに従って集計してほしい」という記述です。品質検査指示実績ファイルの社員コードには、担当者変更ファイルの内容を優先して格納するため、過去に変更があれば変更後の担当者が記録されています。その社員コードを使うと、求められた割当てに基づく集計になりません。そこで(A)からは品目コードを取り出し、(B)で検査担当者マスタから通常の割当てを表す社員コードを取得して、品目コードで結合します。公式解答例では、30字以内の理由を「変更前の検査担当者の割当てに従って集計するから」としています。
設問2
現行の品質検査では、受け取ったロットを「製造完了日時が古い順」に検査します。また、新システムでは製造指示の受信時に検査結果を「未実施」とし、製造実績を受信して製造完了日時を格納すると、そのロットを検査可能にします。この流れから、次の検査対象は、まだ検査していないロットのうち製造完了日時が最も古いものと分かります。公式解答例では、項目「製造完了日時」の条件が「最も古いこと」、項目「検査結果」の条件が「“未実施”であること」です。各条件は15字以内です。下線①には担当者自身の社員コードと一致する条件が既にあるため、回答するのは追加で必要なこの二つの項目です。
設問3(1)
現行の(オ)は、検査担当者が合格数と当初の製造指示数を照合する製品検査完了確認であり、(カ)は、その確認結果を電話などで検査責任者へ伝える製品検査完了報告です。新システムの出荷前承認機能は数量の一致によって製品検査の完了を判定し、担当者ごとの完了状況を画面に表示します。事務所にもPCがあるので、検査責任者はその状況を直接確認できます。公式解答例では、不要となる業務は「(オ)、(カ)」、30字以内の理由は「検査責任者が直接、製品検査の完了状況を確認できるから」です。採点講評では、不要になる理由の正答率がやや低かったとされています。単に紙や電話がなくなることではなく、確認・報告の目的を新機能が満たすことを説明するのが要点です。
設問3(2)
表2の出荷前承認機能は、製品ごとに「製造開始時の製造指示数の合計」と「出荷可能な製品の製造数」を比較します。品質検査指示作成機能では、製造開始前に受信した指示の追加フラグを「通常」、開始後に受信した指示を「追加」とするため、当初の必要数量は通常の指示から集計できます。一方、出荷可能な数量は、通常製造か追加製造かにかかわらず、検査に合格したロットから集計します。公式解答例では、cは「追加フラグが“通常”」、dは「検査結果が“合格”」で、いずれも15字以内です。追加製造の指示まで当初の必要数量に加えると、不合格分を補う製造を重ねて数えてしまう点に注意してください。
設問3(3)
着目するのは、現行の(キ)で、製品検査の完了確認に「加えて」、製造設備の異常有無や従業員の衛生チェック結果など、各部署の報告に基づく最終確認を行っている点です。製品検査が完了したというシステム上の判定だけでは、出荷前承認に必要な全ての確認を終えたことにはなりません。検査責任者が各部署からの報告を確認した上で承認入力する必要があります。公式解答例では、35字以内の理由を「出荷前承認には、各部署からの報告に基づいた最終確認が必要だから」としています。採点講評では、承認に必要な業務上の前提条件を明確に答えていない解答が多かったとされ、情報システムの外の情報も含めて業務全体を理解することが求められています。
学習のポイント
業務上の管理単位を主キーに対応付け、集計目的に応じたデータの参照先を選び、システム化後に残る責任者の判断を読み取る練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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