SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和4年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



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改善の目的と検討対象のつながり
改善を考えるときは、取り上げられた内容と、その改善で目指す目的とのつながりに注目しましょう。個々の用語から結論を急がず、どの目的について検討しているのかを意識して整理することが手掛かりになります。
この問題で問われていること
この問題では、改善に関わる内容を、何を目指すためのものとして捉えるかに焦点を置きましょう。身近な経験や言葉の印象をそのまま当てはめず、示された条件の範囲で目的とのつながりを確かめることが大切です。
視点
改善に関わる内容を考える際は、その内容だけで良し悪しを決めず、目指す目的との関係を整理します。自分が想定した目的と、示された条件から読み取れる目的を混同していないか振り返りましょう。
確認ポイント
- 改善で目指す目的を意識しているか
- 取り上げられた内容と目的のつながりを考えているか
- 目的を自分の思い込みで補っていないか
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解説
本問では、問合せの急増、人材確保、拠点閉鎖、商品改善などの課題を、新たなサービス機能と運用に結び付けます。機能の一般的な特徴だけで判断せず、稼働当初の対象範囲や勤務時間帯の制約を踏まえ、導入目的と期待する効果を具体的に説明することが要点です。
問題の全体像
A社は化粧品や健康食品を販売し、国内3拠点のコンタクトセンタで電話とWebフォームの問合せに対応しています。新商品発売や会員向けキャンペーンによる問合せの急増に加え、人材確保、災害時のサービス継続、顧客の声の商品改善への活用などが課題です。そこで、クラウド型PBX、AIによる自動対応、有人チャット、ナレッジベースなどを導入します。公式の出題趣旨では、関係者の要求や運用上の制約を考慮した機能設計・運用設計の能力を問うとしています。各設問では、表2の課題、表3の機能、構築後の運用を結び付けて読むことが必要です。
設問1(1)
表2(e)の、育児や介護などでフルタイムの出社が難しく、在宅勤務を希望するオペレータがいるという記述に着目します。表3のクラウド型PBXでは、座席にある電話機をPC上のソフトフォンに変更し、インターネット経由で発着信や通話を可能にします。この機能を勤務形態の課題に結び付けると、出社せずに電話対応できることが導入目的になります。公式解答例では「オペレータが在宅でも働けるようにするため」としています。25字以内の答案では、オペレータの在宅勤務を可能にするという要素を押さえます。
設問1(2)
構築後の運用にある「急増しやすい問合せ」と「機能の特徴で対応できる見込みが高い問合せ」の両方を満たす行動を、表1から選びます。表2(a)(b)では、購入方法や会員情報に関する問合せが急増するとされています。表1では、購入方法の情報収集は店舗情報を参照して明確に回答でき、会員情報の確認は本人確認によって手続や回答ができるものが多いため、自動対応の対象として結び付きます。公式解答例では「購入方法の情報収集,会員情報の確認」です。商品購入前の検討は内容が多岐にわたり、オンラインストアでの購入は配送業者との調整などを伴います。また、購入した商品の使用は、定型的に回答できても稼働当初の対象から明示的に除外されています。採点講評でも、この除外条件を読み落として商品の使用を含めた解答が多かったと指摘しています。
設問1(3)
表3では、有人対応ではないサービスは24時間対応可能としていますが、構築後の運用ではオペレータの勤務時間帯を日中だけとしています。このため、AIチャットボットが稼働していても、オペレータの勤務時間帯以外は有人チャットで対応できません。公式解答例では「オペレータの勤務時間帯以外のとき」としています。20字以内の答案では、この時間帯の条件を示します。なお、オペレータが繁忙の場合は「お待ちください」と表示するという別の記述があるため、繁忙時と起動できない条件を区別します。
設問1(4)
表3のコールバックは、電話がつながるまで待つ代わりに、オペレータからの折返しを顧客が要求できる機能です。直接改善するのは、顧客が電話口で長時間待たされるという課題です。表2(c)には、問合せが急増するとオペレータにつながるまで長時間待たせ、クレームにつながるとあります。公式解答例は「(c)」です。問合せ件数や人員不足そのものへの対策と混同せず、折返しによって顧客の待ち方を変えられることから対応する課題を選びます。
設問1(5)
表2(i)では、商品事業部に共有される顧客情報が限定されており、商品の改善のために他の情報も活用したいとしています。表3のキーワード分析は、通話内容から商品ごとの問合せやクレームの傾向を把握できる機能です。両者を結び付けると、商品事業部が顧客の声を商品の改善に役立てるために利用すると分かります。公式解答例では「商品の問合せ,クレーム内容などを商品の改善につなげたいから」としています。35字以内では、活用する情報と商品改善という目的を押さえます。採点講評でも、分析できる内容を述べるだけでなく、商品事業部が何の目的で利用するのかを答える必要があると指摘しています。
設問2(1)
下線①の直前には、有人チャットでは突然会話が途切れて反応がなくなることがあると記されています。表3の有人チャットでは、一人のオペレータが複数のチャットを起動し、同時に複数の顧客に対応できるとしています。この特徴から、ある顧客の返答を待つ間にも別の顧客への対応を進めることが、想定する効率的な対応です。公式解答例では「一人のオペレータが同時に複数の顧客と対応する」としています。25字以内では、一人が複数の顧客に同時対応するという具体的な形を示します。
設問2(2)
設問で既に示された問合せ急増とは別の状況を、表2から探します。表2(h)には、大規模災害や感染症の拡大によって、特定のコンタクトセンタを一時的に閉鎖せざるを得ず、サービス継続が危ぶまれるとあります。表3の着信自動分配は各拠点の運用状況も見ながら振り分けるため、閉鎖した拠点に代わって他の拠点が対応する状況に結び付きます。公式解答例では「特定のコンタクトセンタを一時的に閉鎖せざるを得ない状況」としています。30字以内では、原因を列挙するより、特定拠点の一時閉鎖という状況を明確にします。
設問2(3)
表2(g)では、新商品発売時にFAQが掲載されていないため問合せが急増し、その中にはFAQを見れば分かる簡単な問合せも多いとしています。現状の四半期ごとの分析に対し、随時FAQを作成・更新して公開する運用なら、新商品の情報を早く掲載し、顧客の自己解決によって簡単な問合せの急増を防ぐことにつながります。公式解答例では「新商品発売時に,簡単な問合せが急増しないようにするため」としています。30字以内では「新商品発売時の簡単な問合せの急増を防ぐため」のように要点をまとめられます。採点講評では、FAQを早く掲載できることと、公開によって問合せの急増を防ぐ効果の両方を理解する必要があると指摘しています。
学習のポイント
課題・機能・運用条件を照合し、技術的に可能なことと事例で実際に対象とすることを区別して、目的や効果を字数内で表現する練習を重視します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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