SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和3年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
要件と判断の根拠を対応させる
検討するときは、判断の根拠となる要件を一つ定め、その要件がどの記述に基づくかを確認しましょう。自分が普段の業務から想像した条件と、設問で明示された条件を混ぜず、根拠との対応を意識することが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、業務上の要件を判断の根拠として扱う際に、その根拠を設問の記述へ戻って確かめる視点を持ちましょう。判断に必要だと思った条件が実際に示されているのか、それとも自分で補ったものなのかを区別してください。
視点
要件は判断の根拠になりますが、経験から思い浮かぶ前提がそのまま要件になるとは限りません。判断に使う条件と、それを裏付ける記述との対応に注目しましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠にした要件は何か
- その要件を裏付ける記述はどこか
- 根拠に自分の推測を加えていないか
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解説
顧客の改善要望を、配達予定の計算・通知、配達条件の変更、配達状況に応じた作業へ具体化する問題です。情報の連携元、受付不可の複合条件、現行業務との差分を本文から読み取ることが要点です。
問題の全体像
全国に2、000の営業所を持つK社が、宅配便サービスの差別化と再配達率の改善に向けて配達システムを改修する事例です。依頼主と届け先顧客の要望を受け、配達予定時刻の計算、各種通知、配達条件の変更を追加します。公式の出題趣旨では、現行業務と既存システムを理解した上で、改善要望から新しい機能を定義し、業務プロセスと情報システムを設計する能力を問うとしています。本文に示された情報の所在、受付条件、荷物の扱いを結び付けて解答します。
設問1(1)①
改善後の配達業務にある、営業所出発前に「あらかじめ決めておいた配達順序の順番」にバーコードを読み取る記述に着目します。各受取場所の予定時刻を計算するには、どの順番で訪問するかが必要です。この読取りによって配達順序をシステムに連携できます。公式解答例では「あらかじめ決めた配達順序」としています。15字以内の答案では、事前に決めた訪問順序という要素を押さえます。採点講評では、端末から連携していない情報を挙げた解答が多かったと指摘しており、計算に関係する情報を一般論で列挙しないことが大切です。
設問1(1)②
現行業務で、配達員が使用する配達車両を判断して端末に入力し、システムがその車両に応じた推奨移動経路と到着予想時刻を提示する記述に着目します。自動車、リアカー付き自転車、台車では移動条件が異なるため、予定時刻の計算にも使用車両の情報が必要です。公式解答例では「配達時に使用する配達車両」としています。15字以内では使用する車両を端的に示します。過去の配達実績情報や現在の交通情報は本文に登場しますが、この解答欄で公式解答例が挙げている情報は使用車両です。
設問1(2)①
届け先顧客の「配達員として誰が来るのかが分かるようにしてほしい」という要望に着目します。改善後は、配達員が営業所出発前に氏名を端末から入力するので、出発時の配達予定情報に氏名を含めれば、到着前に配達員を知らせられます。公式解答例では「配達員の氏名」としています。10字以内の答案では、誰の氏名なのかを明確にします。
設問1(2)②
依頼主の「依頼主が誰なのかを届け先顧客に通知してほしい」という要望に着目します。依頼主名は集荷・輸送業務で既に配達システムへ登録されるため、配達予定情報と一緒に通知できます。公式解答例では「依頼主名」としています。10字以内ではこの情報名を示せば要点を押さえられます。配達完了の通知は別の新機能で対応するため、ここでは出発時に知らせる情報を選びます。
設問1(3)(a)
現行の再配達受付業務にある、希望日が当日で、かつ希望時間帯の受付締切時刻を過ぎた場合は受け付けないという条件に着目します。改善要望は、荷物が届く前でも再配達依頼時と同様に配達日や時間帯を変更できるようにすることです。そのため、変更受付にも当日の締切制約を反映します。公式解答例ではaを「配達希望日が当日」としています。20字以内の答案では、希望日と当日という条件を示します。aだけで受付不可になるのではなく、bも成立する必要があります。
設問1(3)(b)
aと組み合わせるもう一つの条件は、希望する時間帯の受付締切時刻を過ぎていることです。公式解答例では「配達希望時間帯の受付締切時刻経過後」としており、20字以内に収まります。「配達希望日が当日」かつ「その希望時間帯の受付締切時刻経過後」のときに受付不可となります。採点講評では、「配達完了」や「不在連絡済」など、複合条件として成立しない内容を挙げた解答が多かったとしています。これらの配達状況は直前の本文で既に受付対象外とされているため、空欄には当日受付の締切条件を入れます。
設問2(1)
追加する入力ケースのうち、不在連絡票を投かんした際に配達状況を「不在連絡済」にする処理に着目します。この入力が不在連絡票通知機能のきっかけとなり、不在連絡票の内容が届け先顧客へ通知されます。顧客は帰宅して紙の連絡票を確認する前に、再配達を依頼できるようになります。公式解答例では「不在連絡票を確認しなくとも再配達依頼ができること」としています。30字以内では、連絡票の確認が不要になることと、再配達依頼ができることを結び付けて示します。
設問2(2)
現行の配達業務にある、担当区域は営業所ごとに管理され、配達システムには登録されていないという記述が根拠です。システムは変更後の受取場所がその配達員の担当区域内かどうかを判断できません。一方、配達員は自分の担当区域を把握しているため、自身で「担当区域外」へ変更します。公式解答例では「各配達員の担当区域は配達システムに登録されていないから」としています。30字以内では、担当区域の情報がシステムに未登録であることを理由として示します。
設問2(3)(c)
配達条件変更機能で、変更後の受取場所が配達先の営業所になった場合の処理に着目します。本文では、配達状況を「営業所倉庫保管」にし、営業所帰還時に荷物を降ろすよう指示するとしています。これは帰還時に追加作業を必要とする状況なので、公式解答例ではcを「営業所倉庫保管」としています。「営業所戻り」は当該便で配達しないことを指示する状況であり、ここで問われる荷降ろしと倉庫保管に直接対応する状況は「営業所倉庫保管」です。
設問2(3)作業内容
現行業務では、1便目と2便目の終了後に荷物を降ろさず、3便目の終了後に降ろして倉庫へ保管します。受取場所が営業所へ変更された荷物は、顧客が営業所で受け取れるよう、当日の全配達業務が終わる前でも帰還時に降ろして倉庫へ保管する必要があります。公式解答例では「当日の配達業務完了前に荷物を降ろし,営業所倉庫に保管する作業」としています。35字以内では、当日の配達業務完了前というタイミング、荷降ろし、営業所倉庫への保管を押さえます。単に倉庫へ保管すると書くだけでは、現行業務から変わる点が伝わりません。
学習のポイント
要望と機能の対応、情報を把握する主体、複合条件の論理、状態変更に伴う実作業の設計を重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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