SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和3年度春期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
検討対象と前提の対応を確かめる
検討を始める前に、判断の対象と、その判断が成り立つ前提との対応に注目しましょう。結論だけを先に決めず、与えられた条件の範囲に沿って考え、明示された情報と自分が補った想定を区別することが大切です。
この問題で問われていること
考えようとしている事柄について、どの条件を前提としているのかを確認しましょう。一般的な知識を当てはめる場合も、その知識が今回の条件の下で使えるかに立ち戻り、根拠のない前提を加えていないかを点検します。
視点
判断には、その根拠となる前提があります。知識を思い出すことに加えて、その知識を使うための前提が与えられた条件に含まれるかを確かめましょう。明示された条件と自分の想定を区別すると、検討の根拠を整理できます。
確認ポイント
- 判断に使う前提は、与えられた条件に含まれているか。
- 一般的な知識を使う際、その知識が成り立つ前提を確認しているか。
- 明示された条件と、自分が補った想定を区別できているか。
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解説
本問は、法人情報の活用による企業登録の負荷軽減と、業務に必要な情報の維持を両立するマスタ設計を問う問題です。カード再発行時の無効化、報告書の送付先、料金判断、仮登録と本登録の区別、カードの貸借禁止を、本文の具体的な運用から導きます。
問題の全体像
A研究所は、依頼試験と機器・設備利用を提供する試験研究機関です。現行システムでは、企業情報の登録負荷、事業所単位の管理、同一企業の重複登録、プラスチックの利用者カードの再発行が課題になっています。刷新では、全国の法人情報を活用して企業マスタを企業単位に改め、利用者の事前登録とカードの電子化を導入します。出題趣旨では、公開データを活用したマスタ設計の見直しと、セキュリティ対策を考慮したデータ管理方法の設計が問われています。登録作業の軽減だけでなく、報告書送付や料金判断などに必要な情報と、従来の使用ルールを維持する視点が必要です。
設問1
着目するのは、〔現行業務の概要〕(4)の「再発行すると、古い利用者カードを無効にし、使用できないようにする」という記述と、表1の利用者カードマスタです。公式解答例では、バーコードに含まれる情報は「利用者カード番号」、理由は「再発行の際、古い利用者カードを使用できないようにしたいから」とされています。利用者カード番号によって提示されたカードを識別し、そのカードの状態区分を確認できることが要点です。採点講評では「利用者コード」という誤答が多かったと指摘されています。利用者コードだけでは、同じ利用者の古いカードと再発行したカードを区別できません。理由の35字以内の答案では、再発行時に古いカードを使用不可にするという運用を押さえます。
設問2(1)
着目するのは、〔現行業務の概要〕(8)の報告書の納品です。郵送の場合の送付先は「利用者が所属する事業所の所在地」とされています。事業所の所在地による料金の割引制度は廃止されていますが、報告書を届けるためには、利用者の所属事業所の情報が引き続き必要です。この用途から、企業マスタを企業単位に変更しても、事業所情報を利用者マスタに持たせる理由を導けます。公式解答例では「報告書の送付先として利用すること」とされています。20字以内では、情報の用途を報告書の送付先に絞って答えます。
設問2(2)
〔A研究所の事業概要〕では、一般料金と優遇料金の判断に、法人種別、業種、資本金、従業員数を使うとされています。一方、新たに利用する法人情報は、企業名、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号の基本3情報です。このため、法人情報だけでは料金判断に必要な属性がそろわず、企業DBの購入をやめると確認や調査の作業が増えます。公式解答例では「適用料金区分を判断するための情報は、法人情報には含まれないから」とされています。35字以内では、表1の属性名である「適用料金区分」と、その判断に必要な情報が法人情報にないことを結び付けます。採点講評では、代表電話番号や代表者氏名など、料金判断に関係しない情報を挙げた誤答が多かったと指摘されています。
設問2(3)
着目するのは、法人情報の提供対象と、主要事業を利用できる者の範囲です。法人情報は法人登記し、法人番号が指定された法人を対象としますが、法人番号が指定されない個人事業者などは対象外です。一方、A研究所は法人登記していない個人事業者も利用でき、現行業務でも企業情報として登録しています。したがって、法人情報から登録できない個人事業者のために、新規登録機能を残す必要があります。公式解答例では「個人事業者が利用するケース」とされています。15字以内ではこの利用主体を明示します。全国の法人情報を取得するため、区域外に本店があるという事情だけでは、今回の未登録ケースの説明になりません。
設問3(1)
着目するのは、オンライン登録を仮登録とし、初回来所時に身元を確認してから本登録にするという変更です。刷新後は、オンラインで情報を入力しただけの利用者と、身元確認を終えた利用者を区別する必要があります。そのため、利用者ごとに登録状態を管理する情報を利用者マスタに追加します。公式解答例では「利用者が、仮登録か本登録かを識別する情報」とされています。25字以内では、仮登録と本登録を識別する情報であることを押さえます。表1の利用者カードマスタにある状態区分はカードの状態を管理するものであり、ここで問われている利用者の登録状態とは対象が異なります。
設問3(2)
空欄aの直前には、企業情報の入力をできる限り簡略化し、所属企業との関連づけができるようにするという目的が書かれています。企業マスタには法人情報を登録し、法人情報には1法人に一つ指定される法人番号が含まれます。利用者に法人番号を入力してもらえば、その番号を使って所属法人を特定し、企業マスタと関連づけられます。公式解答例では「法人番号」とされています。企業名は変更や表記の違いによる重複登録が課題として挙げられているため、法人を識別する番号の役割に着目することがポイントです。
設問3(3)
着目するのは、〔現行業務の概要〕(3)の「同じ企業に所属する者であっても、他の利用者の利用者カードを借りて利用することは禁止」という記述です。誰が利用したかを識別するため、カードは利用者個人ごとに発行されています。電子化後もこの使用ルールを引き継ぐため、URLへのアクセスだけでQRコードを表示させず、登録された連絡先に送るワンタイムのPINの入力を求めます。公式解答例では「他の利用者の利用者カードを借りて利用することの禁止」とされています。30字以内では、他人のカードを借りて利用することの禁止を明示します。設問は使用ルールを問うているので、PINを入力するという実現手段だけを答えないことが大切です。
学習のポイント
識別対象と情報の用途を区別し、外部データの提供範囲と業務上の必要項目を比較することが重点です。電子化では、引き継ぐ使用ルールとそれを支える仕組みを対応づけましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和3年度春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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