SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
令和元年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
判断の根拠と前提を整理する
この分野を考えるときは、判断を支える根拠と、その根拠から置いた前提の関係に注目しましょう。何が直接示されていて、どこからが自分の解釈なのかを区別しておくと、検討の出発点を整理できます。
この問題で問われていること
考える際は、ある判断が何を根拠に成り立っているかを確かめてください。根拠として与えられた情報と、自分で補った前提を分け、その前提を置いた理由を言葉にすることに集中してみましょう。
視点
根拠は判断を支える情報、前提はその情報を考える際に置く条件です。両者のつながりを短く書き出し、自分の解釈が入り込んでいる箇所を確かめると、考えの土台を見直せます。
確認ポイント
- 判断の根拠として、どの情報を使っているか
- その情報に、自分でどのような前提を補っているか
- 補った前提を置く理由を説明できるか
正解と解説を見る
解説
利用者の体験価値に着目し、購入者情報やアンケート情報に基づくペルソナと、利用者側の視点を取り入れた議論から必要な機能を考える問題です。健康づくりへの貢献、活動の継続、共有範囲の選択、データの有効性検証を踏まえて、段階的なリリースにつなげます。
問題の全体像
R社は、体組成計の測定結果を管理・閲覧するスマホアプリを、健康活動ログの記録とオンラインコミュニティ活動に利用できる新サービスへ刷新します。半年後の新製品発売に合わせ、初期リリースの機能を絞り、その後は利用者のフィードバックを基に改善と機能拡充を進める方針です。公式の出題趣旨では、機能の実用性などの品質に加えて利用者の体験価値に着目し、サービス及び業務の設計や機能リリースの方針を決定する能力を問うとされています。各設問では、利用者の実像を捉える情報、利用者側からの機能抽出、健康づくりという目的、段階的な開発方針を結び付けて読むことが重要です。
設問1(a)
〔新サービスを利用するペルソナの作成〕の「実際に体組成計を購入,利用している代表的な人物像に近づける」という目的に着目します。次に各部署の役割を見ると、マーケティング部は健康機器の購入者情報やアンケート情報を管理・分析しています。これらの情報は、PTの想像にとどまらず、購入者の特徴に基づいて人物像を具体化する根拠になります。したがって、公式解答例では[a]を「マーケティング部」としています。
設問1(理由)
協力を依頼する理由は、マーケティング部がペルソナの具体化に必要な情報を保有していることです。本文では、従来のスマホアプリを個人情報、趣味・嗜好、健康に関するアンケートへの回答者に提供し、マーケティング部が購入者情報とアンケート情報を管理するとしています。公式解答例では「体組成計の購入者情報及びアンケート情報を管理しているから」と示しています。35字以内では、この二つの情報と、それらを管理していることを押さえます。採点講評では、アンケート情報を管理していることを理由に記載していない解答が散見されたと指摘しています。
設問2
下線①でペルソナに近い人物を議論に加えた狙いは、利用者の立場から必要な機能を具体化することです。〔新サービスを利用するペルソナの作成〕には、PTのメンバは健康機器の開発に関わっており、提供者側の視点だけでなく利用者側の視点から機能を考える必要があると記されています。そのため、実際の利用場面での行動や思考・感情を議論し、潜在的なニーズを機能につなげます。公式解答例では「利用者側の視点から新サービスで必要とされる具体的な機能を考え出すため」と示しています。40字以内では「利用者側の視点」と「必要な具体的機能の抽出」を押さえます。採点講評では、ペルソナやカスタマジャーニマップの作成自体に関する解答が多かったと指摘しており、作成の先にある目的まで述べることが重要です。
設問3(1)
健康増進事業部の役割として、オンラインコミュニティを企画・運営し、利用者が継続的にコミュニティ活動を行うことを支援すると記されています。健康ポイントは利用頻度、目標達成、順位などに応じて付与されるため、活動を続ける動機につながります。公式解答例では、同部の狙いを「利用者に継続的にコミュニティ活動を行ってもらうこと」としています。30字以内では、誰に何を続けてもらうのかを明確にし、利用者によるコミュニティ活動の継続を押さえます。
設問3(2)
表3のA-4は、基礎代謝量と当日の[b]から消費カロリを推計し、体重の増減目標を踏まえた摂取カロリの目安を通知する機能です。表2の「閲覧・分析」には、ペルソナBが「活動量などから摂取カロリをどの程度にすべきなのかを知りたい」と考えていることが示されています。また、健康活動ログには活動量計で計測する歩数などが含まれます。この対応から、当日の活動に伴う消費を計算する根拠として、公式解答例では[b]を「活動量」としています。
設問3(3)
表3のB-6は、健康管理アプリからオンラインコミュニティへアップロードするデータを任意に選択できる機能です。根拠は表2の「コミュニティ活動」にあるペルソナAの思考・感情で、ランニングの記録は共有したい一方、体重など一部のデータは共有したくないとしています。このニーズを満たすには、共有するデータを利用者が選べる必要があります。公式解答例では「利用者によっては,一部のデータは共有したくないから」と示しています。30字以内では、一部のデータの共有を望まない利用者がいることを理由として述べます。
設問4(1)
初期リリースの対象外となる条件は、一定量のデータの蓄積と有効性検証がないと、誤った情報を提供しかねないことです。表3のB-4は「膨大な健康活動ログとAI分析技術を利用した無料の生活習慣改善助言機能」であり、助言の根拠となるデータを蓄積し、その有効性を確かめる必要があります。したがって、公式解答例では「B-4」としています。AIを使うという点だけで判断せず、膨大な健康活動ログを基に利用者へ助言する機能であることを、対象外の条件と対応させます。
設問4(2)
[c]には、各機能が何に寄与するかを判断する、新サービスの目的が入ります。〔新サービスの開発方針〕には、利用者の健康意識を高め、生活習慣の改善などの健康づくりにつながることを重視すると記されています。公式解答例では「利用者の健康づくり」と示しており、15字以内でこの目的を答えます。採点講評では「利用者の体験価値」や「サービスデザイン思考」といった解答が散見されたと指摘しています。ここでは、開発で用いるアプローチや広い概念ではなく、新サービスが実現しようとする具体的な成果を読み取ることが重要です。
設問4(3)
〔新サービスの開発方針〕には、全ての機能を一度に開発せず、利用者からのフィードバックを分析し、改善と軌道修正を繰り返して段階的に機能を拡充すると記されています。この方針を実行するには、リリース後の変更や追加に対応しやすいシステム構造が必要です。公式解答例では「段階的に新サービスの機能を拡充させることにしたから」と示しています。30字以内では、段階的な機能拡充という開発方針を押さえます。新製品の発売日に間に合わせる事情だけでなく、継続的な改善と追加開発につながる理由を述べます。
学習のポイント
本文の部署別の役割と表中の利用者ニーズを根拠に、機能の目的を説明する練習が重点です。開発のアプローチと、新サービスが利用者にもたらす成果を区別して読み取りましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和元年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
関連する過去問一覧
IPA Advancedは非公式の学習サイトです。解説にはAIによる補助生成を含む場合があります。公式の問題冊子・解答例・採点講評を優先し、誤りは確認後に訂正します。運営・編集方針