SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅱ
平成30年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅱ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
評価の前提をそろえて考える
設計上の課題や対応を考えるときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。データ量が増えるという条件だけで結論を急がず、何を前提として評価しているのかを整理すると、検討の筋道を保てます。
この問題で問われていること
この問題では、課題と対応についての判断が、どの前提に基づくものかを意識して検討しましょう。示された情報と自分が補った想定を区別し、同じ前提のまま考えられているかを確かめることに焦点を当てます。
視点
評価に使う前提を短く書き出し、与えられた条件と自分の想定を分けて整理しましょう。検討の途中で前提が変わっていないかを振り返ると、判断の根拠を見失いにくくなります。
確認ポイント
- 判断の前提となる条件を整理できているか
- 自分が補った想定を、示された条件と区別しているか
- 検討の途中で、前提を無意識に変えていないか
正解と解説を見る
解説
本問は、開発に携わった組込みシステムについて、要求に伴うデータ量増加、固有の制約下での問題と解決策、その選択理由、達成度と今後の課題を一貫して論述する問題です。出題趣旨と採点講評では、要件分析とシステム全体を見渡した設計の具体性が重視されている。
問題の全体像
問題文は、センサの増加や高度化、音声・画像の利用などによって処理するデータ量が増える一方、組込みシステムにはCPU性能、メモリ容量、消費電力、重量・形状・振動などの制約がある状況を示している。これを踏まえ、自分が開発に携わったシステムについて、設問アで概要と要求、設問イで問題と解決策及び選択理由、設問ウで達成度と残る問題・課題を述べる。添付の公式解答例の資料に示されているのは出題趣旨であり、個別の模範答案ではありません。出題趣旨では、制約条件を把握した上でデータ量増加に対応する要件分析力とシステム構築力を評価するとしている。採点講評では、部分的な処理への対策だけでなく、システム全体を俯瞰して解決策を検討する視点が求められている。
設問ア
「開発に携わった組込みシステムの概要」と「どのような機能・性能の要求で処理するデータ量を増加させる必要が生じたか」の二点に着目する。800字以内で、対象機器の用途、主要な構成と処理、自分の担当を簡潔に示し、機能・性能の要求からデータ量増加に至る理由を説明する。例えば、問題冊子本文にあるセンサ数の増加や高度化を取り上げる場合も、そのシステムで何を実現するために必要だったかを自分の経験に即して述べる。増加前後のデータ量や処理条件を示せる場合は、後の問題分析につながる情報として盛り込む。出題趣旨では要件分析力を評価するとしているため、単に「IoT化でデータが増えた」と述べるだけでは、要求との関係が伝わりにくい。設問イにつながる固有の制約も簡潔に示すと、論述の前提が明確になる。
設問イ
「データ量の増加で発生した問題」「考案した解決策」「それを選択した理由」を、800字以上1、600字以内で具体的に述べる。まず、設問アのデータ量増加が、対象システムのどの制約に作用し、要求の達成をどのように妨げたかを説明する。その上で、処理や機能の分担、構成要素の性能などをどう変更したか、その変更によって問題を解決できると判断した理由を述べる。ハードウェア化、機器内蓄積と通信頻度の調整、未加工データの送信、サーバ側での高度な処理は、公式問題冊子本文に示された工夫の例であり、公式解答例の資料にある出題趣旨が示した解答例ではありません。これらを一律に採用する必要はなく、自分のシステムの要求と制約に適合する解決策を説明する。選択理由を具体化するには、検討した代替案があれば、その効果や制約への影響を比較し、採用案が目的達成に適していた理由を示すとよい。採点講評では、解決策と選択理由をシステム設計の観点から具体的に述べた論述が評価され、部分的な処理への対策にとどまる論述が指摘されている。そのため、局所的な改善だけでなく、システム全体で要求を満たせる構成になったことまで説明する。
設問ウ
「解決策の達成度」「開発段階で生じた未達事項などの問題」「今後の課題」の三点を、600字以上1、200字以内で具体的に述べる。達成度は、設問アの要求と設問イの問題・解決策に対応させ、どの要求をどこまで満たしたかを説明する。測定値や試験結果がある場合は、目標と結果を対比すると判断の根拠が伝わる。続いて、開発中に生じた問題や未達事項について、その内容、原因、対応及び残った影響を述べる。今後の課題は、達成度や未達事項から導き、何を改善・検証する必要があるかを具体化する。問題がなかった点について未達事項を作り出す必要はなく、実際の経過に即して記述する。セキュリティなど特定の技術課題を必須項目とする記載は、添付資料にはない。課題を挙げる場合は、自分の事例との関係を説明する必要がある。採点講評のシステム全体を俯瞰する視点を踏まえ、個別処理の改善結果だけでなく、対象システムの要求と制約に照らして成果と残る課題を評価する。
学習のポイント
要求・データ量・制約・解決策・結果の因果関係を整理し、システム全体への影響を踏まえて設計判断を説明する力を養う。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成30年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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