SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



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判断の前提となる条件を整理する
この分野を学ぶ際は、判断の前提となる条件に注目しましょう。扱う内容を先に決めつけず、与えられた条件と自分が補った想定を分けて整理すると、何を根拠に考えているかを確かめやすくなります。
この問題で問われていること
検討するときは、ある判断がどの条件を前提としているかを意識してください。知っている事例から何となく条件を補っていないかを確かめ、与えられた範囲に立ち戻って、判断の根拠を整理しましょう。
視点
条件として明示されていることと、経験から想定したことは区別して扱います。判断を支える前提がどちらに属するかを意識すると、考えの根拠を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提としている条件は何か
- その条件は与えられた情報に基づいているか
- 経験や思い込みで条件を補っていないか
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解説
本問は、売上計上基準と返品条件を踏まえて販売管理・会計の連携処理を整理し、締日による照合期間と支払条件による回収状況を判断する問題です。業務上の条件を、データの更新対象と処理のタイミングに結び付けることが要点です。
問題の全体像
建材卸売業のE社は、販売管理システムと会計システムを連携させ、伝票の受渡しや仕訳入力を減らそうとしています。併せて、自社責任の返品受付、EDIによる支払明細の入手と照合、売掛金年齢表による回収管理を導入します。出題趣旨では、業務の改善要件を理解し、処理設計・入出力設計・システム間連携の設計に落とし込む能力を問うとされています。各設問では、処理を行う条件と時点を本文や図から読み取ることが重要です。
設問1(1)売上計上できるデータ
現状の売上業務にある「出荷した時点で売上を計上する」という出荷基準の定義に着目します。改善後も計上基準は変わらないので、出荷基準の商品なら、出荷実績ファイルのデータだけで売上計上の条件を満たします。図1でも、出荷実績ファイルから売上計上処理へデータが渡されています。公式解答例では「出荷基準の商品のデータ」とされており、15字以内では計上基準と対象データを示します。
設問1(1)売上計上できないデータ
検収基準では、顧客からの検収書を入手した時点で売上を計上します。出荷実績は出荷した事実を示しますが、検収書の入手を示すものではありません。そのため、出荷実績ファイルだけからは売上計上できず、図1の検収実績ファイルのデータが必要になります。公式解答例では「検収基準の商品のデータ」とされています。売上計上そのものができないのではなく、出荷実績だけでは計上できないという意味です。
設問1(2)
現状の売上業務では、経理部門が会計システムに入力し、「売上勘定と売掛金勘定に計上」しています。改善後は伝票の起票と入力が廃止されますが、両勘定への計上は自動仕訳と一般会計処理によって行われます。公式解答例では「売上勘定と売掛金勘定への計上処理」とされています。20字以内の答案には、二つの具体的な勘定科目と計上処理を含めます。採点講評では、勘定科目を一つしか答えていない解答が見られたと指摘されています。
設問2(1)①
売上計上済商品の返品では、設問に示された売上の減算だけでなく、その売上に伴う売掛金も減らす必要があります。改善後の説明では、売上の修正を会計システムにも連携して反映するとあり、図1でも返品ファイルが会計システムへ渡されています。公式解答例の一つ目は「売上計上済商品の売掛金減算処理」です。20字以内では、売上計上済の商品が対象であることと、売掛金を減算することを押さえます。
設問2(1)②
現状の返品業務にある「良品の返品は、倉庫在庫へ戻入れを行い」という記述と、改善後の「良品の返品の場合は、販売管理システムの在庫管理に反映する」に着目します。良品は再び在庫となるため、返品数量を在庫へ加算します。公式解答例の二つ目は「良品の返品の在庫への加算処理」です。20字以内では、良品という条件と在庫への加算を示します。不良品などは廃棄等の対象なので、全ての返品を在庫へ加算するわけではありません。
設問2(2)
検収基準の商品は、出荷していても検収前には売上が計上されていません。その段階で返品された場合、減算すべき売上がないため、売上修正は不要です。公式解答例では「検収基準での出荷商品の返品データ」とされています。20字以内では、この計上基準と返品データを示します。採点講評では、検収前は売上未計上であることに加え、検収後の返品は発生しないか、発生しても自社責任ではなく返品受付処理の対象にならないという本問の前提が説明されています。したがって、検収基準の返品を一律に修正不要と考えず、受付対象と計上時点を合わせて判断します。
設問3
改善後の請求処理では、支払明細データと売上データを「毎月顧客ごとの締日を基準にして」照合します。双方が同じ請求対象期間を表していなければ、対象期間の違いによる不一致が生じます。前月締日までの分は前回の請求対象なので、今回の対象はその翌日から今月締日までです。公式解答例では「前月締日翌日から今月締日まで」とされています。20字以内では開始日と終了日を示し、顧客ごとの締日を単純な月初・月末に置き換えないことが重要です。
設問4顧客名
図3は平成28年11月1日現在の帳票で、10月末入金の消し込み後に作成されています。3社とも月末締め翌月末払いなので、9月以前の売上分は既に支払期限を迎えています。F社には10月売上分の15、000千円だけが残り、9月以前の未回収額はありません。一方、G社には9月分が、H社には9月以前の分が残っています。このため、回収に問題がない顧客は、公式解答例では「F社」とされています。残高合計の大小ではなく、期限を過ぎた残高の有無で判断します。
設問4理由
F社の10月売上分の支払期限は11月末なので、11月1日時点で残っていても遅延ではありません。9月以前の売上分が残っていないことから、支払条件どおりに回収できています。公式解答例では「支払条件である月末締め翌月末払いのとおりで,支払の遅れがないから」とされています。40字以内では「月末締め翌月末払い」という条件と「支払の遅れがない」という判断を含めます。採点講評では、設問が求める支払条件を記述していない解答が見られたと指摘されています。
学習のポイント
出荷基準と検収基準の違い、返品による各残高の増減、締日と支払期限の区別を重点的に学習します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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