SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





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検討の前提条件をそろえる
この分野を検討するときは、判断に使う前提条件がそろっているかに注目しましょう。与えられた情報と自分で補った想定を区別し、同じ条件のもとで考えているかを確かめることが、整理の出発点になります。
この問題で問われていること
考えを整理する際は、途中で前提条件を変えていないかを確認してください。明示された条件に基づく部分と、経験や印象から補っている部分を分けておくと、判断の根拠を落ち着いて見直しやすくなります。
視点
前提条件とは、考えを進める土台となる条件です。情報から読み取れることと、自分の想定を分けて整理し、検討の途中でもその区別を保ちましょう。
確認ポイント
- 判断の土台にした条件は、与えられた情報に明示されているか。
- 経験や印象から、自分で条件を付け加えていないか。
- 考えを進める途中で、前提条件が変わっていないか。
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解説
利用者の要望を、ロボットとサーバの役割に応じた機能仕様へ具体化する問題です。継続的な認証、入庫前後の重量差による計算、照合処理の配置、対象物の個別識別、配達物受取りの中断防止を本文の記述から説明します。
問題の全体像
K社は、家庭内で物を運ぶ従来ロボットに、遠隔操縦、日用品の在庫管理、片付け、配達物受取りを追加します。新ロボットは移動・把持・計量などを行い、サーバは認証、映像処理、電子メールの送受信、在庫管理などを担当します。公式の出題趣旨では、機能性、確実性、安全対策などを考慮したシステムアーキテクチャと機能仕様の策定能力を問うとしています。各設問では、本文に示された装置の役割と処理手順を結び付け、仕様の目的や不具合への対策を具体的に説明することが求められます。
設問1(1)
〔新システムの追加機能の検討結果〕①の「居住者の在宅時の遠隔操縦は、操縦の輻輳を避けるため居住者の承諾を得てから行う」という記述に着目します。近くの人が居住者であると認証できた後は、遠隔操縦を認めるかどうかを本人に確認する必要があります。このため、公式解答例ではaを「承諾を求め」としています。「音声で居住者に承諾を求め、返事を聞く」とつながります。顔認証による本人確認と、遠隔操縦への承諾の取得は、それぞれ異なる確認です。
設問1(2)
操縦開始時だけでなく、操縦中も1分ごとに顔認証を行う点が手掛かりです。開始時に正しい操縦者を認証しても、その人がモバイル端末から離れると、別の人が端末を使って操縦するおそれがあります。公式解答例では、このような他人による操縦を防ぐことを理由としています。40字以内の答案では、「操縦者が端末を離れた際に、他人が操縦することを防ぐため。」のように、端末から離れる状況と防止したい行為を押さえます。「セキュリティを確保するため」だけでは、繰り返し認証する必要性が具体的に伝わりません。
設問2(1)
②在庫管理機能にある、トレイを引き出したときと収納するときに重量を量る処理、および入庫品を1個ずつ移して入庫数をカウントする処理に着目します。収納時の重量から引出し時の重量を引くと、今回入庫した対象品の合計重量が求まります。これを入庫数で割れば、1個当たりの重量になります。公式解答例では「トレイの収納時と引出し時の重量の差を求め、入庫数で割る。」としています。35字以内では、二時点の重量差と入庫数による除算を明記します。重量差を使うことで、トレイ自体や入庫前からある在庫の重量は相殺されます。
設問2(2)
〔新システムの構成〕④では、電子メールの送受信とテレビドアホンの映像処理をサーバに追加しています。照合に必要な事前連絡の伝票番号はサーバ側にあり、配達物に貼付された伝票番号を確認する映像もサーバで処理します。必要なデータと処理がサーバに集まっていることが、照合をサーバに担当させる理由です。公式解答例では「伝票番号がサーバにあり、テレビドアホンの映像の処理も行うから」としています。35字以内でも、この二つの要素を押さえます。採点講評では正答率が低かったとされ、システムの要件と構成を十分に把握して答えることが求められています。
設問2(3)
在庫管理対象品は専用収納ボックスのトレイに保管し、入庫時には新ロボットが対象品を1個ずつトレイに移して入庫数をカウントする、という②の処理に着目します。受け取った配達物が対象品であれば、開封後にこの入庫処理へつなげる必要があります。公式解答例ではbを「トレイに移替え」としており、「開封し、トレイに移替えするよう指示する」とつながります。採点講評では「在庫管理」という誤答が散見されたとしています。空欄で問われているのは機能の総称ではなく、新ロボットに指示する具体的な動作です。
設問3(1)
表3の「対象物の形状認識・把持制御部」は、物の3次元形状を認識し、認識した形状やつかみ方を記憶して、以後、同じ物かどうかを判断する機能を持っています。片付け機能では、あらかじめ記憶させた対象物と床面にある物を対応付けるため、この機能を使います。公式解答例は「対象物の形状認識・把持制御部」です。設問はカメラ以外のものを表3の項目名で答えるよう指定しているので、機能の説明やカメラの名称ではなく、該当する項目名をそのまま記します。
設問3(2)
片付け機能は、記憶した形状などから対象物を判別し、その物の保管場所へ戻します。同一形状の物が複数あると、個々の物を区別できず、戻すべき保管場所を取り違えるおそれがあります。公式解答例では、問題を「区別できずに保管場所を取り違える。」、対策を「対象物に識別マークを付ける。」としています。それぞれ20字以内で、問題には識別できないことの具体的な結果を、対策には形状以外で個々の物を区別する手段を示します。識別マークによって、対象物と保管場所の対応を判断できるようにする考え方です。
設問4
配達物受取りでは、新ロボットが配達物を撮影し、在庫管理対象品であれば開封やトレイへの移替えを行います。一方、遠隔操縦では、ロボットの移動やアームの動作を外部から指示できます。受取りの実行中に遠隔操縦を受け付けると、進行中の受取り動作が中断するおそれがあります。公式解答例では「新ロボットが実行中の配達物受取りが中断してしまうから」としています。この内容は30字以内に収まります。採点講評では、表面的な事象だけでなく、遠隔操縦を拒否しなかった場合に生じる不具合を考えて答えることが求められています。
学習のポイント
処理手順とデータの所在を根拠に仕様を説明し、制御を設けない場合に起こる具体的な不具合まで考える力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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