SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成28年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
与えられた条件と仮定を区別する
問合せ管理システムの導入を検討するときは、与えられた条件と自分で補った仮定を区別しましょう。普段の経験や知識をそのまま当てはめず、考えの根拠がどの条件にあるかを確かめることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、判断に使っている前提が、与えられた条件に基づいているかという一点に注目しましょう。もっともらしい想定が混ざっていないかを振り返り、明示されている内容と未確定の内容を分けて整理してください。
視点
条件は検討の土台であり、仮定はまだ確かめられていない補足です。両者を分けておくと、どこまでが根拠のある理解で、どこからが自分の想像かを見直せます。
確認ポイント
- 判断の前提を、与えられた条件までたどれるか
- 経験から補った想定を、条件として扱っていないか
- 明示された内容と未確定の内容を区別できているか
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解説
販売会社とD社の異なる要望を、クラウドの接続構成、既存認証情報の利用、問合せ情報の早期登録及びアクセス権限へ具体化する問題です。並行する再構築の影響と、情報共有と機密保護を両立する設計が要点です。
問題の全体像
D社グループでは、販売会社ごとに管理していた問合せ情報を一元化し、対応の停滞防止、過去事例の活用及び製品の品質改善を目指しています。一方、販売会社は顧客情報の機密保護を求め、D社は早期の情報確認や対応内容の修正を求めています。公式の出題趣旨では、こうした利害関係者の要望と制約をシステム要件へ整理し、グループのIT戦略に適合する構成を設計する能力を問うとしています。既存の端末制限とID管理、二つのシステムの稼働予定、業務の進行に応じた権限の変化を結び付けて読み取ります。
設問1(1)
〔D社グループのIT戦略〕にある、個人所有のPCなど許可されていない端末からはアクセスできないという記述に着目します。クラウド上の新システムをインターネットから直接利用できると、この端末制限を経由せずに利用できるおそれがあります。公式解答例では「許可されていない端末を用いた社内システムの利用」としています。30字以内では、許可されていない端末と、それを用いたシステム利用という要素を押さえます。自宅や外出先からの利用自体は、貸与PCとVPNを用いる方式で認められています。
設問1(2)
既存のディレクトリサーバで利用者IDとパスワードを一元管理していることと、販売会社が新たなIDやパスワードを覚えずに済むことを求めている点を結び付けます。新旧のディレクトリサーバを連携することで、新システムでも既存の認証情報を利用できるようになります。公式解答例では「自社運用システムの利用者ID及びパスワード」としています。25字以内では、何を利用できるかに答えるため、既存システムのIDとパスワードを明記します。
設問1(3)
新システムは1年後、再構築中の基幹業務システムは1年半後に稼働するという予定に着目します。現行の基幹業務システムとの連携を作っても、新システム稼働後に連携先が再構築されるため、その変更に伴う改修が生じる可能性があります。公式解答例では「新システムの構築と並行して基幹業務システムの再構築を進めているから」としています。40字以内では、両システムの構築・再構築が並行している関係を押さえます。採点講評では、基幹業務システムの再構築だけを記述した解答が散見されたと指摘しています。
設問2(タイミング)
D社は、重大な問題に限らず、問合せ件名、受付内容及びその時点までの対応経緯を早期に確認することを求めています。現行業務では、聞取り後から対応完了後の報告までに数週間掛かる場合があり、その報告を待つと早期把握ができません。公式解答例では「問合せ内容を聞取り終了したタイミング」としています。25字以内では、問合せ内容の聞取り終了という業務上の区切りを明記します。採点講評では、対応策を相談する時点や、D社品質保証部門に報告する時点とした誤りが挙げられています。
設問2(ステータス)
問合せ内容の聞取りを終了した時点では、受付内容の確認は終わっていますが、即時に解決できない問合せへの対応は続いています。また、本文では「受付完了・対応中」にすることでD社品質保証部門及び製品部門に必要な権限を与えるとしています。したがって、このステータスを選ぶと、対応完了を待たずにD社が情報を確認できます。公式解答例のステータスは「受付完了・対応中」です。
設問3(1)(a)
aの列は、利用者が問合せ受付元の販売会社に所属する場合です。対応ステータスと情報の種類は「-」なので、これらの条件による区別はありません。販売会社は、自社が登録した情報を利用し、登録後も修正できること、重複登録時に削除できることを求めています。このため閲覧・修正・削除の全てが可能となります。公式解答例では、上から「X/X/X」を表す「ク」です。
設問3(1)(b)
bの列は、問合せ受付元以外の販売会社が、対応完了した問合せの基本情報を利用する場合です。他社の完了事例を参考にするため、基本情報の閲覧は認めます。一方、販売会社の要望では他社による修正や削除を認めていません。したがって閲覧だけが可能となり、公式解答例では「X/-/-」を表す「イ」です。
設問3(1)(c)
cの列は、問合せ受付元以外の販売会社が、対応完了した問合せの対応内容を利用する場合です。販売会社は、他社の受付内容及び対応内容を閲覧して、類似の問合せへの対応に生かすことを求めています。ただし、他社が登録した情報を修正・削除する権限はありません。このため閲覧だけが可能となり、公式解答例では「X/-/-」を表す「イ」です。
設問3(1)(d)
dの列は、問合せ受付元以外の販売会社が、対応完了した問合せの問合せ顧客情報を利用する場合です。販売会社の要望では、この情報は機密性が高く、D社及び他の販売会社へ開示しないとしています。対応が完了しても、この制限は解除されません。他社による修正・削除も認められないため、三つの権限はいずれもありません。公式解答例では「-/-/-」を表す「ア」です。
設問3(1)(e)
eの列は、問合せ受付元以外の販売会社が、対応完了した問合せの担当者情報を利用する場合です。他社へ共有する対象は基本情報、受付内容及び対応内容であり、その他の情報は必要がない限り閲覧させないという要望に着目します。他の販売会社に担当者情報を共有する必要は示されておらず、修正・削除も認められません。公式解答例では「-/-/-」を表す「ア」です。採点講評では、D社の担当者情報に対する閲覧権限と同じものを誤って選ぶ解答が多かったとしています。
設問3(1)(f)
fの列は、D社品質保証部門又は製品部門が、「受付完了・対応中」の問合せの対応内容を利用する場合です。D社は対応途中でも情報を早期に確認し、自社が支援した内容を対応経緯へ加筆できることを求めています。このため閲覧と修正を認めます。一方、販売会社はD社による削除を認めないことを求めているので、削除権限はありません。公式解答例では「X/X/-」を表す「オ」です。
設問3(1)(g)
gの列は、D社品質保証部門又は製品部門が、「対応完了」の問合せの受付内容を利用する場合です。D社は情報を確認するとともに、対応完了後でも受付内容の記入間違いを訂正できることを求めています。このため閲覧と修正が可能です。ただし、D社による削除は販売会社の要望で禁止されています。公式解答例では「X/X/-」を表す「オ」です。対応完了後も修正を認めるという条件を見落とさないことが要点です。
設問3(2)
D社は複雑な問題について顧客へ直接聞取りすることを求めています。一方、販売会社は問合せ顧客情報を直接開示せず、担当者への連絡を受けて顧客の了解を得た上で伝えるとしています。この両方を満たすには、D社が販売会社の担当者を確認して連絡できる必要があります。公式解答例では「D社が問合せ顧客に直接聞取りするために、担当者に連絡する必要があるから」としています。40字以内では、直接聞取りする目的と担当者への連絡の必要性を結び付けます。採点講評では、販売会社とD社のいずれか一方の要望だけを記述した解答が多かったと指摘しています。
学習のポイント
要望の主体と対象情報を区別し、業務のタイミングや稼働予定を根拠に設計を説明する力を養います。決定表では所属・ステータス・情報の種類を順に確認します。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成28年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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