SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成26年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
与えられた条件と前提を分ける
設計を検討するときは、与えられた条件と、自分で補っている前提を区別しましょう。普段の知識や経験から当然だと思った内容でも、その場の条件として確かめられるかを意識すると、判断の根拠を整理しやすくなります。
この問題で問われていること
注目したいのは、判断に使う前提がどこから来ているかです。結論を急ぐ前に、根拠としている内容が与えられた条件なのか、自分が補った想定なのかを確かめ、両者が混ざったまま考えていないかを振り返りましょう。
視点
知識から思い浮かぶ想定と、与えられた条件は分けて扱います。判断の根拠を整理するときは、それぞれの前提の出所を意識してください。
確認ポイント
- 判断に使う前提の出所を確認したか
- 与えられた条件と自分の想定を区別したか
- 当然だと思った内容を条件として扱っていないか
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解説
遠隔手術の装置構成とデータの流れを基に、操作から映像表示までの遅延、解像度と動きの滑らかさの両立、3D化処理装置の共有、緊急時の操作継続を考える問題です。
問題の全体像
E社は、既存の手術支援システムを基に、病院船の患者を地上の遠隔オペレーション室から手術できる実証システムを開発します。執刀医師は3D内視鏡映像を見ながら操作し、病院船のスタッフが手術を支援します。公式の出題趣旨では、医療支援機器の機能性、安全性、効率性などを考慮し、アーキテクチャと機能仕様を策定する能力を評価するとしています。装置の役割、双方向の通信、処理装置の配置、操作権の切替を関連付けて読むことが重要です。
設問1(1)(a)
表2の制御部は、[a]を受信して、患者側の装置を動かす信号を出力します。表1の操作処理部には、スレーブマニピュレータの絶対位置情報とペダルの状態を「操作コマンド」として手術台に送信するとあります。送信側と受信側の機能を対応付けると、[a]は「操作コマンド」です。公式解答例でもこの字句が示されています。
設問1(1)(b)
表2のスレーブマニピュレータは、制御部からの信号によって器具の移動、回転、挟む動作を実現し、器具へのON/OFF制御信号も伝えます。したがって、制御部が動作させる対象である[b]は「スレーブマニピュレータ」です。公式解答例も同じです。医師が動かすマスタ側と、患者側で器具を動かすスレーブ側を区別して読みます。
設問1(2)
開発目標⑤の「マニピュレータの操作が内視鏡モニタに表示されるまでの遅延時間」に着目します。遠隔手術では、操作コマンドが手術室へ伝わり、器具が動き、その結果の映像が遠隔側へ戻って表示されます。採点講評では、単なる「伝送遅延」という記述が散見され、双方向で遅延が生じることを問題文の表現で記述してほしかったとしています。公式解答例に沿った40字以内の答案は「マスタマニピュレータの操作が3D内視鏡モニタに表示されるまでの遅延時間」です。
設問2(1)(c)
表3では、操作コマンドは遠隔オペレーション室から手術室へ、3D内視鏡映像は手術室から遠隔オペレーション室へ伝送されます。執刀医師はこの映像を確認しながら操作するので、映像の到着が遅れると操作結果の確認も遅れます。操作コマンドと対になる重要な伝送データは「3D内視鏡映像」であり、公式解答例でも[c]にこの字句を挙げています。
設問2(2)(有利な点)
比較対象は、フレーム数を減らす方法と、1フレーム当たりの画素数を減らす方法です。フレーム数だけを減らせば、各画像の画素数を保てるので、器具や患部の細部を確認するための解像度を維持できます。公式解答例に沿った15字以内の答案は「解像度を維持できる。」です。採点講評では「画像がより鮮明になる」などの記述が指摘されています。減らす前より画質が向上するのではなく、解像度を保てる点を説明します。
設問2(2)(不利な点)
1秒当たりのフレーム数を減らすと、映像が更新される間隔が長くなり、器具や患部の動きが連続的に見えにくくなります。映像を見ながら細かく操作する遠隔手術では、この動きの見え方が不利になります。公式解答例に沿った15字以内の答案は「動きがスムーズでなくなる。」です。有利な点の解像度と、不利な点の動きの滑らかさを分けて捉えます。
設問3
遠隔オペレーション室と手術室の両方に操作卓があり、それぞれに3D内視鏡モニタがあります。手術台の制御部で内視鏡映像を3D化すれば、その処理結果を両方の操作卓で利用でき、各操作卓に処理ユニットを設ける必要がありません。公式解答例に沿った25字以内の答案は「3D化画像処理ユニットが1台で済む。」です。採点講評では、単に「送信データ量が削減できる」とする解答が目立ったとしています。手術台への配置によって処理装置を共有できる利点を明確にします。
設問4(1)(d)
概要⑨では、2台のマスタマニピュレータから同時に操作できないようにするとあります。安全性の検討では、通常の遠隔操作中は遠隔側を優先し、通信中断や緊急時には遠隔側の操作を無効にして手術室側へ切り替えます。したがって、遠隔側を優先する期間を示す[d]は「遠隔手術」です。公式解答例でもこの字句が示されています。
設問4(2)
通信中断時には手術室側の操作を有効にし、緊急時にはスタッフが遠隔側の操作を無効にできるという記述に着目します。手術室側のマスタマニピュレータを遠隔側の状態に追随させておくことで、切替時に操作状態を引き継ぎ、手術室で操作を継続できます。公式解答例に沿った50字以内の答案は「遠隔オペレーション室からの操作が無効になったとき、手術室で操作を継続する必要があるから」です。遠隔操作が無効になる条件と、手術室で継続する目的を押さえます。
学習のポイント
表の機能と通信方向を結び付け、構成上の判断が応答性、設備数、安全性に与える影響を具体的に説明する力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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