SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成26年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


解き方のヒントを見る
情報の対象範囲をそろえて考える
連携に関する内容を検討するときは、扱われている情報の対象範囲に注目しましょう。同じ言葉が使われていても、何について述べているかを確かめ、異なる範囲の話を混ぜずに整理することが大切です。
この問題で問われていること
個々の記述が何を対象としているかを、示された条件に沿って捉えましょう。関係を考える際も、対象範囲が途中で変わっていないかに注目し、記載されている範囲と自分で補った範囲を区別して検討してください。
視点
対象範囲とは、その記述がどこまでの事柄を扱っているかという見方です。用語から範囲を決めつけず、示された条件に戻って確かめましょう。
確認ポイント
- 扱われている情報の対象範囲を捉えているか。
- 関係を考える途中で対象範囲を変えていないか。
- 明示された対象範囲を、自分の推測で広げていないか。
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解説
工番を軸に案件の進捗と損益を一元管理するため、採番や業務終了の条件、既存システムから取得する情報、原価の設定と計算方法を具体化する問題です。顧客との契約上の完了と社内管理上の完了を区別することが重要となる。
問題の全体像
A社は設備機械の改修・保守を行う会社であり、見積りから入金、損益確定までの管理が現行システムに部分的に実装されている。改善後は、工番を軸に案件全体を一元管理し、既存の受注・購買管理・作業管理・会計システムから情報を取得して、進捗管理と損益管理を行う。出題趣旨では、業務面の要求を把握し、業務要件をシステム要件へ具体化する能力を評価するとしている。各設問では、業務のどの出来事を発生・終了の条件とするか、その判断にどのシステムの情報を使うか、原価をどう設定・計算するかを本文に沿って整理する。
設問1(1)
〔社内システムの強化・改善の内容〕(1)の「管理者の承認がなければ工番の採番はできない」に着目する。改善後は見積段階から案件を管理するため、見積書又は定期保守通知書の承認登録を採番の契機とする。公式解答例では「見積書又は定期保守通知書の承認が登録されたとき」としており、30字以内で両方の書類と承認登録という条件を示せる。採点講評では、書類の作成時や受注登録時とする誤答が挙げられている。作成後の承認登録と、その後の顧客合意・受注を区別して読むことがポイントとなる。
設問1(2)
設問が求めているのは「顧客との契約上」の完了時期です。〔現行業務の流れ〕(4)②には、顧客からの入金額が当該案件の売上額と一致することを確認するとある。一方、(5)②の原価集計と損益確定は社内管理上の完了に関する記述です。公式解答例では「顧客からの入金額が、当該工番の売上額と一致していることを確認したとき」としている。40字以内の答案では、顧客からの入金、当該工番の売上額との一致、その確認を押さえる。採点講評でも、実績原価集計の終了や工番別損益の確定を答える誤りが指摘されている。
設問2
〔現行業務の流れ〕(2)①では、手配計画を部品の手配計画と作業の手配計画に分けている。設問では作業員・外注・機材の手配が既に示されているので、残る対象は部品手配となる。また、進捗管理システムの説明には「作業時期からみて、手配の整合性をチェック」とあるため、部品の調達時期が作業時期に合っているかが確認内容となる。公式解答例では「部品手配が、作業時期に合わせて計画されているか」としており、30字以内で対象と時期の関係を示せる。採点講評では、作業手配や原価について答える誤答が多かったとされている。
設問3(1)①番号
〔社内システムの強化・改善の内容〕(4)では、購買管理システムが外注発注・検収処理を担当するとある。表1のうち、作業手配に属する外注発注は番号8「作業手配・外注発注」であり、外注先への発注書が発行されたときに終了する。したがって、公式解答例の一つ目の番号は「8」です。購買管理システムには部品発注・検収機能もあるが、設問が指定する範囲は作業手配及び工事実施関連なので、番号5・6は対象外となる。公式解答例では、二つの番号と情報の組の順序は問わないとしている。
設問3(1)①情報
番号8の終了条件を表1で確認すると、「外注先への発注書が発行されたとき」とある。必要なのは、この発行が済んだことを判断できる情報です。公式解答例では「外注先への発注書発行情報」としており、15字以内で外注先への発注書と発行という出来事を示している。外注の予定や発注金額だけでは、表1の終了条件を満たしたかを判断できないため、終了条件に対応する情報を答える。
設問3(1)②番号
購買管理システムの外注発注・検収処理のうち、工事実施に属するのは表1の番号11「工事実施・外注検収」です。本文では、外注した作業について外注検収報告を行うとされ、表1でもその報告が登録されたときを終了条件としている。公式解答例の二つ目の番号は「11」です。採点講評では、作業手配及び工事実施関連という指定を外れ、部品手配関連の業務機能を挙げる誤答が多かったとされている。情報取得元だけでなく、設問が限定する業務範囲も確認する必要がある。
設問3(1)②情報
番号11の終了条件は、表1の「外注検収報告が登録されたとき」です。そのため、購買管理システムから取得するのは外注検収報告の登録を示す情報となる。公式解答例では「外注検収報告の登録情報」としており、15字以内で報告の種類と登録という出来事を押さえている。損益管理では外注検収時の金額を使うが、この設問は進捗の終了判断を問うため、報告の登録情報に着目する。
設問3(2)(a)
表1のaは「見積り・定期保守」の終了条件です。改善内容(1)には、付帯作業の見積金額を含む定期保守通知書を作成し、管理者の承認を受けて承認登録するとある。表1の「見積り・改修」も見積書の承認登録を終了条件としているので、定期保守についても対応する書類の承認登録を条件とする。公式解答例では「定期保守通知書の承認が登録されたとき」としており、20字以内に収まる。通知書の作成だけでは承認が済んでいないため、承認の登録まで明記する。
設問3(2)(b)
表1のbは「顧客検収・売上」の終了条件です。〔現行業務の流れ〕(3)には顧客検収後に顧客検収報告を行うとあり、(4)①ではその報告に基づいて売上を計上する。また、損益管理システムの「売上の登録」でも、顧客検収報告の登録時に実績売上を登録すると明記されている。公式解答例では「顧客検収報告が登録されたとき」としており、20字以内で答えられる。顧客検収を受けたという業務上の出来事を、システムで確認できる報告登録のタイミングとして具体化する。
設問4(1)
予定原価の登録に関する説明では、見積段階の作業は社内の作業員だけで行うものとみなし、部品費・労務費・直接経費を登録するとある。一方、手配計画では、社内の作業員だけで作業が間に合わない場合に外注の手配を含める。したがって、作業計画を立てて外注の必要性が判明した段階で初めて設定する原価要素は外注費となる。公式解答例も「外注費」です。見積時に登録する原価要素と、作業計画によって追加される原価要素を対応付けて読む。
設問4(2)
作業実績報告には作業員別の作業時間が記録され、賃率マスタには作業員の資格別の時間当たり単価が管理されている。この二つを対応付けることで、一人分の労務費を計算できる。公式解答例の計算式は「作業員の作業時間実績×作業員の資格別の時間当たり単価」です。設問は一人一人の計算式を求めており、全員分の労務費は各人の計算結果を合計する。作業員の出張滞在費は本文で直接経費に分類されているため、この式には加えない。採点講評でも、労務費に出張滞在費まで含める誤答が指摘されている。
学習のポイント
設問が指定する業務範囲と判断条件を押さえ、業務上の出来事を承認登録・報告登録などのシステム上の条件へ置き換える練習をする。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成26年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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