SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成25年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問4
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
前提条件と検討対象の対応を確かめる
この分野を学ぶ際は、示された条件が、どの検討対象に関わるのかを丁寧に整理しましょう。用語の印象から判断を急がず、条件と対象の対応が途中で入れ替わっていないかを確認することが大切です。
この問題で問われていること
考えるときの焦点は、ある条件をどの対象の判断に使っているかという対応関係です。ひとつの条件を捉えたら、それが関わる対象を言葉にし、別の対象に関する条件を混ぜて考えていないかを振り返りましょう。
視点
条件を整理するときは、その条件が何について述べているかを短く言い添えてみましょう。判断を進める間も同じ対象について考えているかを確かめると、対応関係を見失いにくくなります。
確認ポイント
- 条件が関わる対象を言葉にできているか
- 検討の途中で対象を取り違えていないか
- 判断に使う条件と対象の対応を説明できるか
正解と解説を見る
解説
施設職員の付添いを減らす自動運転システムについて、監視センタと車いすの機能分担、安全上の制約、位置検知方式の補完関係、設備見積りに必要な入力情報を本文から導く問題です。
問題の全体像
G社は、介護施設・病院向けに、職員が移動中に常時付き添う必要のない電動車いすの自動運転システムを開発します。監視センタが全車両を誘導し、車いす側が障害物を検知して停止する構成です。公式の出題趣旨では、施設の要望を分析し、安全性や効率性の制約を考慮して機能仕様を策定する能力を問うとしています。機能の担当、行き先変更の条件、位置検知の補完、設備見積りの入力を、それぞれ本文の記述と対応付けて考えます。
設問1(a)
公式解答例では「乗降」です。冒頭には、職員が移動に常時付き添う必要をなくすという目的が示されています。一方、監視センタの説明には、行き先に到着して職員が利用者を降ろした後、次の場所へ向かわせるとあります。移動中の付添いを省けても、乗り降りの際の介助は必要なので、「乗降時」とつながる語句を入れます。
設問1(b)
公式解答例では「位置検知」です。表1の「電動車いすの誘導」では、複数の無線LANアクセスポイントで車いすの無線LAN端末からの電波を受信し、その位置を検知すると説明されています。空欄の後に全車両の位置を監視する記述が続くことからも、ここでは無線LANによって何を把握するかに着目します。
設問1(c)
公式解答例では「監視センタ」です。〔車いすシステムの概要〕の監視センタの説明には、全ての電動車いすの走行を監視・制御し、接触事故や渋滞を防ぐとあります。表1にも、位置を検知し、走行ルートを探索して走行パラメタを送る主体として監視センタが示されています。全車両を見て誘導する担当を答えます。
設問1(d)
公式解答例では「障害物」です。表2の「障害物検知用のカメラ」には、前面左右の2台のカメラから得た画像を制御部で処理し、前方の障害物の位置と形状を検知するとあります。検知後は車いすを停止させるので、空欄の「位置と形状を検出し、走行停止を判断する」という表現に直接対応します。
設問2(1)(装置)
公式解答例では「後退走行用カメラ」です。表2で既存の障害物検知用カメラは前面左右に取り付けられ、前方の障害物を検知する仕様です。後退時にも進行方向の障害物を把握する必要があるため、後方を撮影するカメラを追加します。装置を問う回答欄では、検知という処理ではなく、それを可能にする機器を答えます。
設問2(1)(機能)
公式解答例では「後方の障害物検知」です。前進時の安全性は、前方の障害物を検知して走行を停止する仕組みによって確保されています。後退時にも同じ考え方を適用し、追加したカメラの画像から後方の障害物を検知できる機能が必要です。カメラの設置に加えて、その画像を安全確保に使う機能を示します。
設問2(2)①
公式解答例では「他の電動車いすの走行に影響が生じる場合」です。〔電動車いすの利用方法〕では、監視センタが他の車いすの走行状態を確認し、問題がなければ変更後の走行パラメタを送るとあります。監視センタには接触事故や渋滞を防ぐ役割があるため、変更が他車の走行に影響する場合は許可できません。25字以内では「他の車いすの走行への影響」を中心にまとめます。
設問2(2)②
公式解答例では「他の利用要求に影響が生じる場合」です。行き先変更の判断条件には、他の車いすの走行状態に加えて「他の利用要求」も明記されています。25字以内では、その利用要求への影響を一つの条件として示します。採点講評では、この条件を書いていない答案が見られたとしています。二つの回答を、どちらも他車の走行への影響だけで説明しないことが重要です。
設問3(1)(a)
公式解答例では「常に電動車いすの位置が分かる。」です。構成の説明では、常に複数のアクセスポイントが車いすと通信できるように設置し、表2では端末が一定時間ごとに位置検知用の電波を発信するとあります。RFタグやマーカの設置ポイントに限らず、走行中も位置を継続的に把握できることが利点です。20字以内では「常に位置が分かる」という要素を押さえます。
設問3(1)(b)
公式解答例では「無線LAN方式は位置検知の誤差が大きいから」です。表3には誤差が3m程度とあり、本文には、この方式だけでは走行ルートから外れる可能性があると書かれています。そのため、RFタグ又はマーカの位置を検知してずれを修正します。25字以内の答案では、併用する原因である「無線LAN方式の位置検知誤差が大きいこと」を示します。
設問3(2)
公式解答例では、走行ルートに対する左右のずれが分かり、走行制御が可能になることを挙げています。中央と左右のタグリーダのうち、どれがルート上のRFタグを読み取ったかを使って、左右へのずれを把握し、修正に結び付けます。40字以内なら「走行ルートに対する左右のずれを検知し、走行を修正できるから。」と要点をまとめられます。採点講評では、「車体の幅をカバーするため」だけの説明では、ずれを修正するという目的を捉えられていないと指摘しています。
設問4(1)(e)
公式解答例では「レイアウト」です。見積りツールは、施設の規模と状況に応じたシステムを提案するためのものです。構成の説明には、無線LANアクセスポイントを各施設のレイアウトに合わせて設置するとあります。駐機場所やアクセスポイントの配置を決めるには施設内の配置情報が必要なので、利用者数とともに入力するのはレイアウトです。
設問4(1)(f)
公式解答例では「駐機場所」です。本文には、待機中の車いすを施設内の駐機場所に置くとあります。見積りツールは必要配備台数を求めるため、その台数の車いすを待機させる場所についても、施設のレイアウトを踏まえて位置と広さを決める必要があります。空欄には、車いすを待機させる設備上の場所を入れます。
設問4(1)(g)
公式解答例では「設置位置」です。構成の説明では、常に複数のアクセスポイントが車いすと通信できるように、施設のレイアウトに合わせて設置するとあります。施設内のどこに置くかが、通信と位置検知を可能にする条件になるため、レイアウトを入力した見積りツールから得る結果はアクセスポイントの設置位置です。
設問4(2)
公式解答例では「1台当たりの充電所要時間」です。車いすの必要台数は見積りツールで求められ、充電できる夜間の時間帯も既に与えられています。残るのは、1台の充電にどれだけ時間がかかるかという情報です。これが分かれば、時間内に充電できる台数から必要な充電器数を見積もれます。20字以内では、この入力項目をそのまま答えます。採点講評では「バッテリ残量」などの答案が挙げられていますが、本問では、与えられた条件に不足する所要時間を捉えることが重要です。
学習のポイント
要望を機能に対応付け、安全性・他の利用への影響・検知誤差・処理時間の制約を具体的な仕様に落とし込む練習が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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