SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成25年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


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明示された条件に立ち返って考える
システム改善の要件を考えるときは、判断の根拠が与えられた条件にあるかを確認しましょう。業務について知っていることと、その場で明示されたことを分けて整理すると、思い込みを抑えて考えられます。
この問題で問われていること
この問題では、要件に関する判断を支える条件がどこにあるかに注目してください。明示された範囲を超えて業務の事情を補っていないかを確かめ、根拠のある理解と自分の仮定を区別することが検討の手掛かりになります。
視点
要件を読む際には、経験や知識から補った事情を、与えられた条件と混同することがあります。考えた内容が何に基づいているのかを振り返り、明示された内容と自分が補った仮定を区別して整理しましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠となる条件を確認したか
- 明示された内容と自分の仮定を区別したか
- 要件の意味を根拠のない解釈で広げていないか
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解説
先日付受注を生産計画と与信管理に反映し、製造現場の未使用原材料を在庫場所別に管理する設計を読み解く問題です。製品ロット別の引当てでは在庫不足時の分納に対応し、ロット追跡では実績ファイルをロット番号で結び付けます。
問題の全体像
F社は、売上拡大への対応、顧客満足度の向上、業務の効率化・省力化を目指して基幹システムを改善しています。先日付受注や製造現場の未使用原材料など、台帳管理していた情報をシステムに取り込みます。また、在庫不足時の分納に対応し、賞味期限逆転を防ぎ、製品と原材料のロットを追跡できるようにします。在庫不足時には在庫分だけ出荷指示を行い、残数を欠品として扱う要件です。公式の出題趣旨では、現状と改善要件を正しく理解し、処理設計やファイル設計を行う能力を問うとしています。
設問1(1)
現行の受注処理(1)(a)では、先日付受注を生産計画に反映するため、受注部門から生産管理部門へ集計表を渡しています。改善要件(1)(c)では、登録した受注データを既存の生産管理システムに渡します。この連携の目的は、先日付受注を生産計画へ反映することです。公式解答例では「生産計画へ反映させること」としています。15字以内では、この具体的な目的を押さえます。採点講評では、効率化、省力化、精度向上といった抽象的な解答が散見されたとしています。
設問1(2)
改善要件(1)(a)にある受注残高の定義に着目します。受注残高は、前回までに入力された受注のうち、未出荷分の受注金額合計です。未出荷分は売上として計上されていないため、従来の計算式だけでは、その受注分が与信枠を使うことを反映できません。そこで、右辺から受注残高を追加で差し引きます。公式解答例の「受注残高分を減算する。」は15字以内です。今回受注登録額は左辺に含まれるので、追加で減算する対象は既存の受注残高です。
設問2(1)
現行の原材料在庫管理(4)(b)では、原材料倉庫の在庫をシステムで管理する一方、製造現場に残る未使用分は人手で台帳管理しています。改善要件(4)(c)(d)では、製造現場で使用実績と未使用残実績を登録し、在庫場所ごとに管理します。追加される管理対象は、製造現場の未使用原材料です。公式解答例の「製造現場に未使用で残った原材料在庫」は20字以内で、場所と在庫の内容の両方を示しています。
設問2(2)
表1の原材料ロット別在庫マスタでは、原材料コードと原材料ロット番号が主キーです。改善後は同じ原材料ロットでも、原材料倉庫にある分と製造現場にある分を区別して管理する必要があります。そこで、在庫の所在を識別する属性をキーに追加します。公式解答例では「在庫場所コード」としています。採点講評では、原材料倉庫と製造現場の両方を総称する解答を求めており、「製造現場コード」とした解答が多かったと指摘しています。
設問3(a)
図1では、Xは未引当受注数量を表します。aのYes側は、X全量を出荷指示数量にし、引当可能在庫数量からXを減算して、未引当受注数量を0にする処理です。したがって、Yesとなる条件は、当該ロットの引当可能在庫数量がX以上であることです。公式解答例の条件は「X≦製品ロット別在庫マスタのレコードの引当可能在庫数量」です。30字以内では「X≦製品ロット別在庫マスタの引当可能在庫数量」とまとめられます。採点講評でも、等しい場合を含む「≦」を「<」とした誤りを指摘しています。
設問3(b)
aのNo側は、当該ロットの引当可能在庫数量がXより少ない場合です。改善要件では、受注数量に満たなくても在庫分だけ出荷指示を行います。そのため、bには当該ロットの引当可能在庫数量が入ります。図1の後続処理も、その数量をXから差し引き、当該ロットの引当可能在庫数量を0にして次のロットへ進む流れです。公式解答例では「製品ロット別在庫マスタのレコードの引当可能在庫数量」としています。30字以内では「製品ロット別在庫マスタの引当可能在庫数量」と表せます。
設問4(c)
手順2までに、対象の製品ロットに使用した原材料ロット番号が分かっています。表1で、原材料ロット番号と購買先コードを持つファイルは原材料受入実績です。したがって、このファイルから、手順2の原材料ロット番号に対応する購買先コードを抽出します。公式解答例もこの対応を示しています。45字以内では「原材料受入実績から、手順2の原材料ロット番号に対応する購買先コードを抽出」とまとめられます。対象となる全ての原材料ロットについて抽出する点を押さえます。
設問4(d)
手順1で、対象の原材料ロットを使用した製品ロット番号が分かっています。求めるのは、その製品を実際に出荷した得意先です。表1の出荷実績には、製品ロット番号と得意先コードがあるため、両者を対応付けて抽出できます。公式解答例では、出荷実績から手順1の製品ロット番号に対応する得意先コードを抽出するとしています。45字以内では「出荷実績から、手順1の製品ロット番号に対応する得意先コードを抽出」とまとめられます。対象の全ての製品ロットの出荷実績をたどります。
学習のポイント
改善要件を具体的な計算式、在庫マスタのキー、引当ての分岐条件、実績ファイルの抽出手順へ落とし込む力を養います。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成25年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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