SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問3
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題




解き方のヒントを見る
検討の前提と対象範囲をそろえる
利益管理に関する検討では、与えられた情報がどの前提と対象範囲に結び付いているかに着目しましょう。用語から内容を補わず、示されている条件と自分の解釈との対応を確かめることが、考えを整理する手掛かりになります。
この問題で問われていること
この問題に取り組む際は、検討の途中で前提や対象範囲の捉え方が変わっていないかを意識してください。判断に使おうとしている情報について、明示された条件に基づく部分と、自分で補っている部分を区別して整理しましょう。
視点
ここでの視点は、検討に用いる前提と対象範囲の一貫性です。自分の解釈を短く言葉にして、与えられた条件との対応を確かめると、判断の土台を整理しやすくなります。
確認ポイント
- 判断の前提を、与えられた条件に結び付けているか
- 対象範囲の捉え方が、検討の途中で変わっていないか
- 明示された条件と、自分で補った解釈を区別しているか
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解説
本問は、店舗単位で控除していた共通経費を売場部門に配賦し、部門の採算を把握する改善を扱う。配賦指示のデータによる管理、客数の近似、構成比の集計範囲と使い分け、丸めによる総額の不一致を理解することが要点となる。
問題の全体像
C社では、店舗が赤字でも全ての部門責任利益が黒字となり、不採算部門を把握できなかった。現行システムでは店舗共通経費と全社経費を部門責任利益から控除していなかったため、新システムではこれらを各売場部門へ配賦する。公式の出題趣旨では、業務の変更要件を理解し、システム要件の設定、設計・開発、業務要件を満たすかの確認まで行う能力を評価するとしている。各設問は、変更への柔軟性、近似値の限界、配賦計算の設計、総額の整合性を問う。
設問1
〔新システムの設計〕(3)の、費用分類ごとの費用発生区分と配賦基準を配賦指示ファイルに定義する記述に着目する。既存の別の配賦基準へ変更するので、その基準の構成比を使うよう、当該費用分類の設定を変えればよい。公式解答例では、配賦指示ファイルの該当レコードの配賦基準を変更するとしている。35字以内では「配賦指示ファイルの当該費用分類の配賦基準を変更する。」とまとめられる。採点講評では、変動要素をファイルのデータで管理すれば、プログラムを変更せずに要件の変動へ対応できる点を強調している。
設問2(1)(多く計上されるケース)
〔新システムの設計〕(1)では、レシートの発行枚数を客数とみなしている。また、商品はその商品を扱う売場部門のレジで精算する。したがって、一人の客が複数回精算すると、来店した人数は一人でもレシートは複数枚になる。公式解答例では、一人の客がレジで複数回精算し、複数人として計上されるケースを挙げている。35字以内では「一人の客が複数回精算し、複数人として計上される場合。」と、行動と過大計上の関係を示します。
設問2(1)(少なく計上されるケース)
レシート枚数で把握できるのは精算した客であり、来店した全ての客ではありません。来店しても商品を購入しなければ、レシートが発行されず、客数に含まれない。公式解答例では、この未購入の来店客を挙げている。35字以内では「来店した客が商品を購入せず、客数に計上されない場合。」とまとめられる。「来店していること」と「購入せず計上されないこと」の両方を押さえる。
設問2(2)
表3の部門費用計算①では、費用実績ファイルの費用分類と等しい配賦指示レコードを探し、費用発生区分と配賦基準を取り出している。この検索と取得に必要な属性は、公式解答例の「費用分類、費用発生区分、配賦基準」の三つです。費用分類ごとに配賦方法を定義するので、主キーは費用分類となる。答案では費用分類に下線を付ける。費用発生区分は全社・店舗・部門の処理分岐に、配賦基準は使用する構成比の選択に使われる。
設問2(3)(a)
表3では、u1が当該店舗・部門の売上金額、u2が当該店舗の売上金額合計、u3が全社の売上金額合計です。全社構成比は全社合計に対する部門の比率なので、公式解答例では「u1÷u3の値」となる。全社経費を店舗へ配賦し、さらに部門へ配賦する関係を式で表すと、店舗の比率u2÷u3と店舗内の部門の比率u1÷u2の積はu1÷u3になる。採点講評では、この設問は構成比計算だけでなく、部門費用計算の仕様も理解して解く必要があるとしている。
設問2(3)(b)
配賦基準が面積の場合、店舗番号・売場の部門番号ごとの面積を取得し、その合計を求める必要がある。表2で面積を保持しているのは「部門別面積ファイル」であり、公式解答例でもこれがbに入る。同じbが二か所にあるのは、部門の構成比レコードを作成する際と、店舗・全社の面積合計を求める際の両方で、このファイルを参照するためです。
設問2(3)(c)
表3では、m1が当該売場部門の面積、m2が当該店舗の売場面積合計、m3が全社の売場面積合計です。求めるのは全社構成比なので、分子を当該部門の面積、分母を全社の売場面積合計とする。公式解答例では「m1÷m3の値」となる。店舗内構成比として示されているm1÷m2と対比し、配賦する費用の範囲に応じて分母が変わることを確認する。
設問2(3)(d)
表3の部門費用計算③では、費用発生区分が店舗の費用について、当該費用分類かつ当該店舗番号の費用実績を合計している。この費用を同じ店舗の売場部門へ振り分けるため、掛ける比率は「店舗内構成比」となる。公式解答例でもdは店舗内構成比です。全社構成比を使うと分母に他店舗の実績も含まれ、当該店舗の費用をその店舗内へ配賦する処理に対応しない。
設問3
新システムの要件(1)では、店舗共通経費と全社経費の配賦先を各売場部門としている。したがって、面積構成比の分母も売場部門の面積合計に限定する必要がある。非売場部門の面積まで含めると、丸め前でも売場部門の構成比合計が100%に達せず、費用を全額配賦できない。公式解答例では、配賦先が売場部門だけなので非売場部門を構成比計算から除外するとしている。40字以内では「費用の配賦先は売場部門だけで、非売場部門を構成比計算から除くため。」と書ける。採点講評でも、売場部門の構成比合計を100%にするための計算対象の問題として説明している。
設問4
〔新システムの設計〕(2)の「構成比は四捨五入して小数第4位までを求める」という仕様に着目する。各部門の構成比を個別に丸めると、その合計が必ずしも1にならず、費用実績に構成比を掛けた配賦費用の合計に差が生じる。その結果、控除する費用総額が変わり、全店舗の店舗責任利益の合計も一致しなくなる。公式解答例では、構成比を四捨五入して小数第4位まで求めていることを原因としている。30字以内では「構成比を小数第4位まで四捨五入しているため。」とまとめられる。特定部門の配賦費用を調整する処理は、この差額を吸収する対応として理解できる。
学習のポイント
業務要件をファイル属性と処理手順に対応付け、比率の分母・分子と丸めが配賦総額に与える影響を確認する。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問3(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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