SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



解き方のヒントを見る
業務情報の対応関係を確認する
まず、扱われる情報が業務上の何を表しているのかという対応関係に着目しましょう。用語の印象だけで判断せず、与えられた条件の中で同じ情報が同じ意味で扱われているかを、落ち着いて確認することが大切です。
この問題で問われていること
検討の中心は、情報とその業務上の意味との対応が一貫しているかという点です。どの情報について考えているのかを確かめ、与えられた条件を読み進める間も、その情報の意味を同じ基準で捉えられているかを確認しましょう。
視点
情報の名称と、その情報が業務上表している内容とを分けて捉えます。判断の根拠にするのは名称からの連想ではなく、与えられた条件の中で読み取れる意味です。
確認ポイント
- 扱う情報が何を表すかを、条件に沿って捉えたか
- 名称から連想した意味を付け加えていないか
- 同じ情報の意味を検討の途中で変えていないか
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解説
購買業務の定義を基に、発注日と納期の計算、基準発注ロットによる数量の切上げ、発注・検収の状態管理を設計する問題です。さらに、入庫予定情報の連携、原材料と買掛金の仕訳、品番と購買先コードによる複合主キーを押さえます。
問題の全体像
B社は、全社統合生産システムの一部として購買管理システムを開発しています。生産管理・在庫管理システムから購買要求を受け、発注内容を決め、発注と検収を管理し、在庫管理・会計システムへ情報を渡します。出題趣旨では、購買業務の流れと内容を正しく理解し、処理設計、データベース設計、関連システムとのインタフェース設計に結び付ける能力を問うとしています。用語の定義と処理の前後関係を根拠に、各設問の答案を組み立てることが要点です。
設問1(1)
着目するのは、単価マスタの「購買リードタイム」と購買品目マスタの「検収日数」の定義です。購買リードタイムは発注から納品まで、検収日数は納品から検収完了までの日数です。所要時期に資材を使用できるようにするには、両方の期間を見込んで発注日を逆算します。公式解答例では、所要時期から購買リードタイムと検収日数だけ前の日を発注予定日としています。40字以内の答案は「所要時期から購買リードタイムと検収日数を引く。」とまとめられます。採点講評では、購買リードタイムだけを使い、検収日数を考慮しない解答が指摘されています。
設問1(2)
購買計画業務の説明にある「納期は納入予定日である」に着目します。求めるのは納品される日なので、発注から納品までの購買リードタイムを発注予定日に加えます。検収日数は納品後の期間であり、この納期計算には加えません。公式解答例では、発注予定日から購買リードタイムだけ先の日を納期としています。35字以内の答案は「発注予定日に購買リードタイムを加えた日を納期とする。」とまとめられます。
設問1(3)
購買品目マスタの「基準発注ロット」が発注単位となる数量であることと、100個単位で所要量180個なら200個を発注する例に着目します。必要量を満たし、発注単位にも合わせるため、所要量以上となる最小のロット整数倍まで切り上げます。公式解答例では「基準発注ロットの整数倍になるように所要量を切り上げる。」としています。この表現は指定された項目名を含み、30字以内に収まります。採点講評では、所要量と基準発注ロットの関係の理解不足による計算の誤りが指摘されています。
設問2(1)(①)
発注業務の説明にある「未発注の発注オーダ及び発注済みで未検収の発注オーダは、発注残として発注ファイル上で管理する」に着目します。既に示されている未発注の状態に続くのは、発注を行ったものの検収が完了していない状態です。公式解答例の①もこの状態を示しています。20字以内の答案は「発注済みだが、未検収の状態」です。納品されていても検収前なら、この状態に含まれます。採点講評では、システム上把握していない納品という行為を基準にした解答が指摘されています。
設問2(1)(②)
検収業務の説明にある「納品され検収が完了した発注オーダは、検収済みとして発注ファイル上で管理される」に着目します。未発注、発注済みで未検収に続く三つ目は、検収が完了した状態です。公式解答例の②に沿った20字以内の答案は「納品され検収が完了した状態」です。単に納品済みと書くと検収完了が示されません。受入・検品後に倉庫担当が検収入力を行うという、システム上の状態を確定する処理まで押さえます。
設問2(2)
図1の発注ファイルから在庫管理システムへの矢印と、発注業務の説明にある入庫予定情報の対象を確認します。本文では、未発注の発注オーダと、発注済みで未検収の発注オーダの両方が入庫予定情報になると明記されています。公式解答例も、この二つの状態のレコードを対象としています。35字以内の答案は「入庫予定となる未発注及び発注済みで未検収のレコード」です。未発注分も、決定済みの発注オーダとして今後の入庫予定に含まれ、生産管理システムの正味所要量の計算に利用されます。
設問3
システムの位置付けにある検収後の買掛金計上と、検収業務にある棚卸資産の原材料勘定への計上を結び付けます。検収によって資材を取得したことが確定すると、原材料という資産と、購買先に支払う買掛金という債務の両方が増加します。公式解答例では、会計システムが行う処理を「原材料、買掛金への仕訳計上処理」としています。この表現は20字以内です。採点講評では、買掛金か原材料の一方だけを記述した解答が多かったとされており、答案には両方の勘定を含めることが重要です。
設問4(a)
一つの購買先から複数種類の購買品目を購買する場合がある、という条件に着目します。購買先コードだけでは、どの品目の購買単価なのかを識別できないため、単価マスタの主キーには品目を識別する「品番」が必要です。公式解答例ではaを「品番」としています。図2ではaとbを合わせて主キーとしており、両項目の組合せで単価のレコードを識別します。公式解答例の備考では、aとbは順不同とされています。
設問4(b)
一つの購買品目を複数の購買先候補から選定し、購買単価も異なる場合がある、という条件に着目します。品番だけでは、どの購買先に対応する単価なのかを識別できないため、主キーには「購買先コード」も必要です。公式解答例ではbを「購買先コード」としています。品番と購買先コードの組合せによって、品目と購買先の関係に対応する購買単価や購買リードタイムを識別できます。公式解答例の備考ではaとbは順不同ですが、ここでは解答例の並びに沿っています。
学習のポイント
納品と検収、入庫予定と実在庫を区別し、業務の条件を日付計算・状態管理・会計処理・複合主キーへ落とし込む練習をしましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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