SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成23年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題



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検討の前提をそろえて考える
事業継続とシステム運用の見直しを考える際は、検討の前提がそろっているかに注目しましょう。対象となる状況や範囲を自分の想像で補わず、示された条件に沿って考えることが大切です。
この問題で問われていること
考えを進める前に、判断の土台にしている条件が、与えられた情報に基づくものかを確かめてください。途中で条件を付け足したり、別の状況を想定したりしていないか、同じ前提で捉え直してみましょう。
視点
判断の前提とは、考える際の出発点となる条件です。示された条件と、自分が補った想定を区別すると、どの前提に基づいて考えているかを整理できます。
確認ポイント
- 示された条件を考える出発点にしているか
- 自分の経験から条件を付け加えていないか
- 考えている途中で前提が変わっていないか
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解説
本問は、BCPの業務優先順位に基づく縮退運用と、感染症による欠勤・施設閉鎖への対応を扱う。発注処理の切替、プログラムの統一、復旧時の未送信データの取込み、利用者登録条件とアクセス環境の変更を、場面に応じて判断する。
問題の全体像
A社は約300店舗をもつコンビニエンスストアチェーンで、発注だけを東西両センタで二重処理し、他の本部システムは関東センタで稼働させている。関東センタが長期間使用できない場合には、商品の供給、仕入先への支払、財務会計の月次締めに関連する業務を優先し、関西センタで縮退運用を行う。さらに、感染症による欠勤者の増加と、施設閉鎖・入館制限への対策を検討する。公式の出題趣旨では、災害の規模や状況に応じて業務処理プログラム、システム基盤、運用を多面的に検討する能力が問われている。採点講評では、通常の東西二重処理、大規模災害時の縮退運用、欠勤者増加、施設閉鎖・入館制限という四つの場面を混同した解答が指摘されており、各設問の前提を区別して読むことが重要です。
設問1(a)
制御ファイルの値が「2」になるのは関東センタの障害発生時です。発注システムの説明には、通常は関東センタから配信し、障害時だけ関西センタから配信するとある。表1では発注処理の実行が既に記載されているので、空欄aには、その処理で作成した配信用データを関西センタから配信する処理を書く。公式解答例では「配信用データを仕入先及び配送センタに配信する。」としている。25字以内で、データの種類、配信先、配信する動作を押さえる。
設問1(b)
制御ファイルの値が「3」になるのは関東センタの復旧時です。本文には、関東センタが復旧した後、後続処理用データを関西センタから関東センタに送信し、関東センタで後続処理を行うとある。したがって、関西センタの処理を問う空欄bには、後続処理そのものではなく、そのためのデータ送信を書く。公式解答例では「後続処理用データを関東センタに送信する。」としている。25字以内で、送信するデータと送信先を明記する。
設問2(c)
表2の空欄cは「業務処理プログラム」の維持作業を問うている。東西両センタでは同じ発注処理を行うため、OS・ミドルウェアやマスタだけでなく、発注処理のプログラムも同じバージョンにそろえる必要がある。公式解答例では「東西両センタの発注処理のプログラムを同じバージョンにする。」としている。35字以内で、東西両センタ、発注処理のプログラム、バージョンの統一を示します。採点講評では、業務処理プログラムを問う設問に対してシステム全体について答えた解答が指摘されており、表の項目に合わせて対象を絞る。
設問3(1)
BCPでは、商品の供給、仕入先への支払、財務会計の月次締めに関連しないシステムは縮退運用時に稼働させず、関東センタの復旧後に再開すると定めている。情報系システムは販売戦略のための分析を行い、本文にも「業務の緊急性はない」とあるため、この条件に該当する。公式解答例のシステム名は「情報系システム」、理由は「BCPにおける優先業務に該当しないから」です。理由は25字以内で、BCPの優先業務との関係を示します。
設問3(2)
情報系システムの説明にある「全ての販売データを漏れなく取り込むことが必要」と、POSシステムの説明にある「店舗には、数か月分のデータを蓄積している」に着目する。復旧時には、店舗に蓄積している販売データのうち、未送信のものを漏れなく情報系システムに取り込む必要がある。対象を障害発生時以降や障害期間中のデータに限定してはいけない。一方、店舗に残るデータには既に送信済みのものも含まれるため、「蓄積された販売データを全て取り込む」だけでは対象が不明確になる。公式解答例では「店舗に蓄積した未送信の販売データを漏れなく情報系システムに取り込むこと。」としている。40字以内の答案では「店舗に蓄積した未送信の販売データを漏れなく情報系システムに取り込む。」とまとめられる。採点講評でも、店舗には障害発生時以降のデータしか蓄積されていないという誤解と、「未送信」の条件を示さない解答が指摘されている。
設問4(1)
この設問は欠勤者が増え、出社可能な社員を担当の枠を越えて優先業務に振り分ける場面を扱う。新しい担当者や承認の代行者には、急いで利用者登録やアクセス権限の変更を行う必要がある。しかし、現行の利用者マスタ管理システムは、申請から利用開始までが1週間未満だとエラーにするため、緊急の配置変更を妨げる。公式解答例の対象は「利用者マスタ管理システム」であり、緊急時には1週間未満でもエラーにしない変更を求めている。変更内容は40字以内で「緊急時は申請から利用開始まで1週間未満でもエラーにしない。」と示せる。本文では承認者の代行者を任命するとしているため、公式解答例が示す変更は承認の省略ではなく、申請期限によるエラー条件の変更です。
設問4(2)
この設問は本社ビルの閉鎖と東西両センタへの入館制限によって、本部業務担当者が施設内で作業できなくなる場面を扱う。買掛金・未払金管理システムと利用者マスタ管理システムは、現状では本社ビル又は関東センタのLANに接続されたPCだけから確認・入力できる。そのため、施設外から業務を続けられるアクセス環境が必要になる。公式解答例では「モバイルPCからもアクセスできるように変更する。」としている。30字以内で、モバイルPCからのアクセスを可能にする点を示します。業務マスタ管理システムには既にモバイルPCから利用できる環境があることも、変更内容を考える手掛かりになる。採点講評では、欠勤者増加へのプログラム変更と、施設閉鎖・入館制限への環境変更を混同しないことが指摘されている。
学習のポイント
災害の場面と変更対象を区別し、復旧時には発生時期を限定せず未送信データを漏れなく取り込む点を押さえる。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成23年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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