SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成22年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題





解き方のヒントを見る
データ連携の整合性を確認する視点
債券取引に関する複数の処理を考えるときは、個々の操作の細部よりも、同じ取引が処理間で一貫して扱われるかという観点に絞って整理します。記録と状態の対応も確認します。
この問題で問われていること
確認の中心は、連携・取消・照合という異なる処理を、同一の取引情報として矛盾なく追跡できるかです。各処理の前後関係と記録の対応を見比べ、全体の整合性を考えてください。
視点
処理を個別に覚えるのではなく、取引を表す情報が各段階で同じ対象を指し続けるか、状態の変化と記録が対応しているかを確認します。判断では、処理同士のつながりに注目します。
確認ポイント
- 同じ取引を処理間で追跡するための情報が、途中で食い違っていないか
- 取消などの状態変化が、関連する記録や後続処理と矛盾していないか
- 連携結果と照合結果を比べたとき、確認対象と記録の範囲が一致しているか
正解と解説を見る
解説
債券フロントシステムと債券事務システムの連携を題材に、取引ログからの明細作成、取消しによる再計算、締め処理のチェック・照合、仕訳処理の移植を問う問題です。
問題の全体像
B銀行の債券システムは、顧客の依頼を扱うフロントシステムと、取引ログ・売買明細・決済・会計を扱う事務システムから構成される。設問では、取引ログを受けて銘柄コード単位で明細を作成する方法、取引取消し後の状態と残高の更新、締め処理での件数・数量照合、さらに仕訳処理の効率化を考える。公式解答例の出題趣旨どおり、業務機能の把握、システム間連携、整合性確保、処理効率が主な狙いです。
設問1
新しい売買明細の残高や平均単価を計算するには、同じ銘柄コードについて直前までの有効な状態を参照する必要がある。問題文は、数量残高と残高を前回取引時点の値から更新すると説明している。また、取消しレコードは後続計算の基準にしない。したがって公式解答例では、同一銘柄コードで、取引番号が最大かつ状態区分が“0”のレコードとしている。
設問2(1)(a)
項番2は、取消し対象の売買明細が取消表示になっているかを確認する欄です。取消しの取引ログに対応する売買明細を特定するには、当日の取消し取引ログに対応するレコードの状態区分を照合対象にすればよい。公式解答例もこの内容を示している。
設問2(1)(b)
項番3では、取引ログの件数から取消レコードを除いた件数と、照合ファイルの売買取引件数を比較する。したがって、売買明細側で照合対象にする値は、当日の全レコード件数から当日の取消レコード件数を引いた件数です。
設問2(2)
照合ファイルには銘柄コードごとの買入数量合計と売却数量合計があるため、売買明細の数量残高について、前日以前の最終値から当日の増減を反映した値を検証できる。買入れは数量を増やし、売却は数量を減らすので、公式解答例の条件は、属性を数量残高とし、x=y+買入数量合計−売却数量合計とする。
設問2(3)
照合ファイルが保持するのは売買件数や銘柄別数量の合計値であり、個々の取引番号、単価、取引区分などの取引内容ではありません。そのため不一致を検出できても、どの売買明細が原因かを個別に分析できない。公式解答例では、合計値なので売買明細の個別照合ができない点を理由としている。
設問3(1)
残高試算表作成処理では、取消し以外の売買明細を読み込み、仕訳伝票テーブルに仕訳伝票レコードを作成した後、集計して残高試算表を作る。処理時間短縮のため、売買明細が作成された時点で前半の仕訳伝票レコード作成を済ませる。公式解答例は、仕訳伝票レコードを作成する機能としている。
設問3(2)
移植後は取消データも売買明細作成処理で扱われるため、取消し前に作成済みの仕訳が残ると会計が二重計上になる。そこで、取消対象と同じ取引番号で作成された仕訳伝票レコードを削除する機能が必要になる。公式解答例も、同じ取引番号の仕訳伝票レコードを削除する機能としている。
学習のポイント
業務データの状態管理、集計照合の限界、処理効率化を関連付けて考える。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成22年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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