SAシステムアーキテクト試験 午後Ⅰ
平成21年度秋期 システムアーキテクト 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題


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判断に用いる前提のそろえ方
業務システムの統合を考える際は、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。結論を急がず、与えられた情報のうち、明示された条件と自分で補った想定を分けて捉えることが、検討の出発点になります。
この問題で問われていること
この問題では、判断に使おうとしている前提が、与えられた情報に基づいているかを確かめる視点を持ちましょう。明記されていない事情を当然の条件として扱っていないか、一度立ち止まって整理してみてください。
視点
判断の前提には、与えられた情報から確認できる条件と、自分が補った想定が混ざることがあります。考えを進める前に、その前提をどこから得たのか振り返ってみましょう。
確認ポイント
- 判断の根拠となる条件は明示されているか
- 自分の経験から条件を補っていないか
- 未確認の想定を確定事項として扱っていないか
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解説
本問の要点は、合併後の事業拡大と物流業務の課題を踏まえ、倉庫・配送・共通業務を一体として設計することです。車両活用、在庫管理、追跡情報、原価管理、会計連携を具体的な機能に落とし込みます。
問題の全体像
倉庫業中心のB社が配送業中心のC社を吸収合併し、総合物流会社になるためにシステムを再構築する事例です。B社のパッケージを基本としつつ、C社の車両位置管理機能を取り込み、倉庫と配送の業務を連携させます。提示された出題趣旨では、情報システム戦略と業務上の課題・要望を理解し、全体最適の観点から業務プロセスや情報システム構造を設計する能力が問われています。各設問では、表の課題、現行システムの不足、D課長の対応方針を結び付けて考えます。
設問1(1)①(業務課題)
表の配送業務にある「納品後の車両が空車で帰るのはもったいない」に着目します。車両の有効活用という観点では、帰り便でも荷物を運べるようにすることが課題です。公式解答例では「帰り便の空車の活用」としています。40字以内の答案では、この課題を端的に示せば足ります。二つの課題の順序は、公式解答例でも順不同です。
設問1(1)①(対応策)
合併後はX社製品の入荷・出荷配送も取り込むため、出荷配送を終えた車両を入荷配送に回す計画が考えられます。公式解答例では、このような最適配送ルート計画をシステムで行うとしています。帰り便の空車を減らす課題に対応させ、40字以内では「出荷配送後の車両を入荷配送に回す最適配送ルートを計画する。」と、車両の使い方と計画機能を具体的に示します。
設問1(1)②(業務課題)
表の配送業務にある、配送の小口化と、重量・容積や混載を考慮して積載効率を上げたいという要望に着目します。荷物が小口になれば、複数の配送品を組み合わせて車両を有効に使う必要があります。公式解答例では「積載率の向上,小口化,多様化」としています。40字以内の答案では、「配送の小口化・多様化に対応した積載率の向上」のように背景と改善対象をまとめます。
設問1(1)②(対応策)
対応策は、荷物の容量と配送先を考慮して、同じ車両に載せる荷物の組合せを計画することです。公式解答例では、納品物の容量と配送先から見て、最適な積載率になる混載計画をシステムで行うとしています。40字以内では「納品物の容量と配送先を考慮し、積載率が最適になる混載計画を行う。」と整理できます。混載計画によって積載率を高めるという関係を押さえます。
設問1(2)
B社の現行システムは倉庫全体の在庫を把握できますが、保管庫ごとの在庫を把握できません。一方、倉庫は冷凍・冷蔵・常温の温度帯別に複数の保管庫に分かれています。この現状と、表の保管庫ごとの在庫把握の要望を結び付けます。公式解答例の「保管庫ごとの在庫管理機能」は15字以内であり、追加すべき管理単位を明確に示しています。
設問2
共通業務の対応方針では、入荷から保管、仕分、包装、納品までを倉庫管理システムと配送管理システムで追跡するとしています。そのためには、追跡対象品を識別し、各工程での動きを記録して関連付ける必要があります。公式解答例でも、識別子の割当て、動きの記録、関連付けを解答の要点としています。35字以内では「対象品に識別子を付け、動きを記録し両システムで関連付ける。」とまとめられます。
設問3(1)
C社の現行システムは、GPSによる車両位置管理を利用し、道路混雑時に迂回路を指示して納品遅れを回避しています。表では、X社が道路混雑などによる納品遅れの解消を求めています。この実績とX社の要請を結び付けるのがポイントです。公式解答例では、X社の要請である納品時間遅れの解消に対応できることを理由としています。30字以内では「X社が求める納品時間遅れの解消に対応できるから。」と示せます。
設問3(2)①
表の共通業務では、原価を手作業で集計しているため、きめ細かい管理ができないとされています。また、配送、保管、荷役などの活動要素別に原価実績を把握したいという要望があります。公式解答例の一つ目は「活動要素別の原価実績把握」で、15字以内に収まります。C社の現状である費目別・月単位の把握から、活動要素別の把握へ管理の粒度を変える点が重要です。
設問3(2)②
表の共通業務では、活動要素別の原価実績把握に加えて、活動要素別の原価差異分析も明示的に求めています。実績を集計する機能と、原価の差異を分析する機能を分けて答えます。公式解答例の二つ目は「活動要素別の原価差異分析」で、15字以内に収まります。「原価分析」だけではなく、活動要素別という分析単位と、差異分析という機能を押さえます。
設問4①
共通業務の対応方針⑤では、保管料・荷役料・運賃の計算から売上処理、請求処理までを売上請求管理で行うとしています。ここでは売上や請求に関する会計上の取引が発生するため、財務管理へ仕訳データを渡す対象になります。公式解答例では「売上請求管理」を挙げています。設問は財務管理と同一レベルの業務名を求めているので、下位の機能名である「売上処理」ではなく、図の業務名を答えます。
設問4②
図の物流コスト管理には、配送コスト管理と倉庫コスト管理が含まれています。物流業務で発生する原価・費用に関する情報を扱う業務として、一般会計処理への連携対象を考えます。公式解答例では「物流コスト管理」を挙げています。答案では、財務管理と同一レベルにあるこの名称を使います。「配送コスト管理」や「倉庫コスト管理」は、その下位の機能名なので指定された粒度と異なります。
設問4③
共通業務の対応方針⑥では、労務管理で運転手・倉庫作業者のシフト管理と勤怠管理を行い、給与計算をB社のパッケージに統一するとしています。給与計算に伴う会計上の取引が、財務管理へ渡す仕訳データの対象になります。公式解答例では「労務管理」を挙げています。図では給与計算が労務管理の下にあるため、設問の指定に合わせて「労務管理」と答えます。
学習のポイント
現状・課題・対応方針から必要な機能を導き、システム間の連携と全体最適を説明する力を養いましょう。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)平成21年度秋期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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