PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ
令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅱ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
稼働開始前のリスク確認の視点
稼働開始に向けた検討では、起こり得る事象を広く並べるだけでなく、影響の大きさと発生時の備えを同じ基準で見比べ、対応の優先順位を整理することが重要です。
この問題で問われていること
一つの観点として、想定したリスクに対して、影響を抑える準備と発生後に状況を把握して立て直す手順が、実行可能な形で結び付いているかを確認してください。
視点
リスクは列挙して終わりにせず、関係者・影響範囲・発生の兆候・対応の担当を同じ枠組みで整理します。そのうえで、開始前に確認できる条件と開始後に見直す条件を分けて考えると、優先順位を比較しやすくなります。
確認ポイント
- 確認対象と影響の範囲が整理されているか
- 対応の担当者と判断の基準が明確になっているか
- 発生前の予防と発生後の復旧を区別して確認できるか
正解と解説を見る
解説
本問は、システムの円滑な稼働開始を妨げるリスクを、要件定義、計画段階の対策、実行段階の見直しという流れで具体的に論述する問題です。
問題の全体像
システム開発では、単にシステムを完成させるだけでなく、稼働開始後に業務が滞りなく進み、利用者や運用担当者が混乱しない状態を実現する必要がある。本問は、その状態を妨げる稼働開始リスクを題材に、設問アで要件と重要なリスクを定め、設問イで計画段階の制約を踏まえた対策を示し、設問ウで実行段階の状況変化に応じた対策の改定・追加を論述させる構成です。公式の出題趣旨では、コストや期限などの制約を考慮した適切な対策と、対策の実行状況に応じた対応を具体的に述べることが求められている。採点講評でも、リスクの特定・評価や対策について実際の経験に基づく記述が多かった一方、稼働開始との関連性が薄い要件や、システム完成に偏った論述も見られたとされている。したがって、稼働開始時の業務・運用上の問題を中心に、三つの設問を同じ事例でつなげることが重要です。
設問ア
まず、対象システムの稼働開始時に実現すべき状態を、業務遂行又はシステム運用の具体的な要件として示す。例えば、利用者が新業務を予定どおり開始できること、問合せに一定時間以内で回答できること、障害時に運用担当者が復旧手順を実行できることなど、達成状態が分かる形にする。その上で、その要件を満たせなくする稼働開始リスクを一つ又は関連する複数に絞り、発生原因、稼働開始時に起きる事象、業務や信用への影響を説明する。問題文の例は、稼働直後に問合せが集中し、対応が遅滞するリスクです。重要と考えた理由では、発生可能性だけでなく、業務停止、利用者の混乱、経済的損失、信用低下などの影響の大きさを要件との関係で述べる。400~800字なので、プロジェクト概要、要件、リスク、重要性の四点を簡潔に対応付けるとよい。採点講評が指摘するように、単なる開発上の技術課題ではなく、稼働開始時の業務遂行やシステム運用に直結するリスクを選ぶ必要がある。
設問イ
設問アのリスクに対し、計画段階でどのような制約を認識して対策を選んだかを具体化する。制約には、稼働開始日が固定されていること、追加要員や予算が限られること、既存業務を止められないこと、教育・リハーサルに使える期間が短いことなどが考えられる。次に、複数の対策案を比較した上で採用した対策を、担当者、実施時期、手順、必要な資源、判断基準などが分かる粒度で述べる。例えば、問合せ集中への対応であれば、FAQや操作手順書の整備、利用者向け事前教育、問合せ窓口の増員、一次受付と専門担当への振分け、稼働直後の応援体制、重要障害のエスカレーション基準などを組み合わせる。その際、全てを実施できない理由と、費用・期限・効果・実現可能性を比較して採用案を決めた過程を示します。最後に、リスクの発生確率又は影響を下げること、早期検知と迅速な復旧を可能にすること、限られた資源で実行可能なことなど、なぜ有効と判断したかを要件に結び付けて説明する。800~1、600字なので、制約、対策内容、有効性の三要素を具体例で十分に展開する。
設問ウ
実行段階では、計画どおりに進まない状況や新たに判明したリスクを起点に、既存対策の改定又は新たな対策の策定を述べる。例えば、総合テストで想定以上の問合せ件数が見込まれた、利用者教育の受講率が低かった、応援要員を確保できなくなった、運用リハーサルで手順の不備が判明した、といった状況を設定する。その状況を受け、FAQの追加、対象利用者の再教育、窓口体制の変更、優先順位付け、段階的な稼働、監視強化、暫定的な手作業への切替えなど、何をどのように改定・追加したかを示します。さらに、稼働開始が近づくほど、開発・教育・テスト・要員確保に使える時間や予算、変更を受け入れられる余地が小さくなる点を考慮する。したがって、効果だけでなく、短期間で実施可能か、既存手順を大きく変更しないか、重要業務を優先できるか、残余リスクを受容できるかを判断し、関係者の合意や責任者への報告も含めて説明するとよい。600~1、200字では、状況、判断、変更内容、期限逼迫への考慮、結果又は残余リスクを一連の流れで記述する。採点講評のいう『対策の実行状況に応じた対応』を明確にすることがポイントです。
学習のポイント
稼働開始時の業務・運用リスクを特定し、制約下の対策と状況変化への対応を一貫して説明する力が重要です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和7年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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