PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和4年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問2
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題
解き方のヒントを見る
計画を考える際の前提をそろえる
プロジェクト計画を検討するときは、判断の前提がそろっているかに注目しましょう。同じ言葉でも置かれた状況によって意味が変わるため、与えられた情報の範囲を保ち、想定を加えずに考えることが大切です。
この問題で問われていること
この問題では、計画に関する判断がどのような前提に立っているかを確かめる視点を持ちましょう。記載された条件と自分の経験から補った想定を分け、条件の範囲を越えた解釈になっていないかを振り返ってください。
視点
前提とは、考えるときに出発点として置いている条件です。検討の途中で知らずに条件を付け足すと、与えられた情報とは別の状況を考えてしまうことがあります。判断の根拠をたどり、どこまでが明示された条件なのかを意識しましょう。
確認ポイント
- 判断の出発点にした条件を把握しているか
- 経験や思い込みを前提として付け足していないか
- 考えた内容が与えられた条件の範囲に収まっているか
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解説
顧客の声に迅速に対応して価値を提供するため、部門間の相互理解、顧客ニーズを把握する人材の配置、UXのスキル育成、多様な視点の共有、ガバナンスを踏まえた開発・運用プロセスの整備を考える問題です。
問題の全体像
A社は、顧客ニーズの的確な把握とコーディネートの提案を強みとする老舗アパレル企業です。ECサイトの売上げは低迷し、感染症流行に伴う不安から実店舗の来店客数も減少しています。そこで、自宅から疑似的な試着やスタッフの提案を受けられる仮想店舗構想を進めます。最優先の目標は、顧客の声に迅速に対応して価値を提供することです。公式資料の出題趣旨では、現状の体制やプロセスにとらわれず、顧客要望を把握して対応できるチームの編成、社内外の知識の集約、開発・運用プロセスの整備をプロジェクト計画に反映する能力を問うとしています。
設問1(1)(開発課)
〔現状のヒアリング〕にある、開発課のミッションが「利用部門からの要求を迅速に実現すること」であるという記述に着目します。仕様変更にデプロイ直前まで対応する行動も、要求の実現を優先していることを示しています。公式解答例では「利用部門の要求を迅速に実現すること」としています。20字以内では、誰の要求かを示す「利用部門」と、重視する「迅速な実現」を押さえます。
設問1(1)(運用課)
運用課のミッションが「安定した運用の提供」であり、利用部門と合意したSLAを遵守するという記述に着目します。必要な作業や手続なしのデプロイを許可できないという姿勢も、安定運用を重視するためです。公式解答例では「システムの安定運用を実現すること」としています。20字以内では、手続の遵守だけを挙げるのではなく、それによって実現する「安定運用」を答えます。
設問1(2)
冒頭の仮想店舗構想にある、過去に購入した衣服との組合せなどを疑似的に試着でき、スタッフのアバターと会話しながらコーディネートの提案を受けられるという記述に着目します。これらは、試着時のイメージが湧かず、実店舗のような提案も聞けないという顧客の不満に対応する体験です。公式解答例では「実店舗同様に試着したり提案を受けたりできること」としています。30字以内では、「実店舗同様」「試着」「提案を受ける」の要素をまとめます。
設問2(1)
冒頭で店舗スタッフの強みとして示された、顧客のニーズを的確に把握できる点と、〔目標の達成に向けた課題〕の、顧客の声を直接集めてニーズを的確に把握するために必要なスキルをもつメンバーを配置するという記述を結び付けます。問われているのは担当業務ではなく、配置に当たって期待したスキルです。公式解答例では「的確に顧客のニーズを把握するスキル」としています。25字以内では、「顧客ニーズの的確な把握」に焦点を絞ります。
設問2(2)
顧客視点での体験価値の設計や評価に必要なスキルをもった人材が社内におらず、外部の知見を導入しながら社内の人材を育成する必要があるという課題に着目します。外部のデザイン会社と共同作業を行うことで、社内メンバーが必要なスキルを学べます。公式解答例では「A社社内にスキルをもった人材を育成するため」としています。25字以内では、共同作業の目的である「社内の人材育成」を明確にします。
設問2(3)
〔目標の達成に向けた課題〕にある、UXについてメンバーの意識を高めるには、多様な視点からの意見を理解してもらう必要があるという記述に着目します。開発課、運用課、仮想店舗スタッフ課、外部のデザイン会社が全員で議論することで、異なる専門性や立場からの意見に触れられます。公式解答例では「メンバーに多様な視点からの意見を理解してもらうため」としています。30字以内では、「多様な視点の意見」と「メンバーの理解」を押さえます。
設問3(1)
自動化ツールがテストからデプロイまでを自動実行できることと、現状ではデプロイ前の作業や手続に時間が必要であることに着目します。自動化によってデプロイまでの時間が短くなれば、顧客の声を反映した機能を迅速に提供できます。公式解答例では「デプロイまでの時間を短縮する効果」としています。採点講評では、最優先の目標そのものを答えた解答が多かったと指摘しています。20字以内では、目標への具体的な寄与である「デプロイまでの時間短縮」を答えます。
設問3(2)
A社のガバナンス規程が、作業や開発プロセスの証跡を確認し、承認した後にデプロイすることを求めている点に着目します。作業ログと開発課の最終確認の証跡を使い、運用課が承認することで、自動化を進めながら規程に必要な確認・承認を確保できます。公式解答例では「ガバナンス規程を遵守しつつ,安定した運用を提供すること」としています。採点講評でも、単なる無駄の削減や効率化ではなく、ガバナンス規程の遵守と安定運用の実現が狙いだと説明しています。35字以内では、この二つの要素を盛り込みます。
学習のポイント
施策の理由を本文の課題に結び付け、自動化による時間短縮とガバナンス・安定運用の確保を区別して読み取ることが重点です。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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