PMプロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ
令和4年度秋期 プロジェクトマネージャ 午後Ⅰ 問1
事例を読んで設問の答えを考えてから、解説のポイントとIPA公式の解答例・採点講評で確認しましょう。
問題

解き方のヒントを見る
要件整理で見る優先順位の考え方
SaaS導入では、利用目的と業務上の制約を起点に、必要な範囲を段階的に整理します。機能の多さだけで判断せず、関係者間で認識をそろえ、導入後の運用まで見通す観点を持ちましょう。
この問題で問われていること
確認の中心は、導入目的に照らして各要件の必要性と優先度が説明できるかです。利用者、業務、運用後の負担を関連づけ、実現範囲を考えるための判断材料がそろっているか確認しましょう。
視点
要件を整理するときは、目的、対象業務、利用者、運用上の制約を順に結びつけて考えます。個別の機能に注目しすぎず、導入後に誰が何を担うかまで見通して、優先順位の根拠を確認します。
確認ポイント
- 導入目的と対象業務の対応関係が明確か
- 利用者ごとの役割や期待する成果を区別できているか
- 運用・費用・連携などの制約を優先度に反映できているか
正解と解説を見る
解説
本問は、SaaSの標準機能とAPIを使い分け、短期導入と将来のUX改善を両立するプロジェクト計画を問う問題です。
問題の全体像
M社は、FAQだけでは解決できない問合せの増加、対応待ち時間による顧客不満、詳細な顧客情報を商品企画に生かせないことに課題を抱えている。そこで、SaaS型AIボットを導入し、まず2か月後のクリスマス商戦までに問合せ対応を改善し、その後に顧客情報を活用したマーケティング機能を拡張する計画を立てた。出題の狙いは、短期導入のための標準機能・パラメータ設定の活用、利用者との認識共有、受入テストでの要求追加、APIの有無とUX改善効果を踏まえた開発判断を説明できるかを見ることです。
設問1
第1次開発は、Web問合せへのAIボット回答と有人チャットへの切替えに限定し、画面・機能もパラメータ設定の変更だけで実現する。これは、2か月後のクリスマスギフト商戦までに運用開始することが必達だからです。したがって、軽減すべきリスクは、機能を作り込み過ぎてAIボットの運用開始がクリスマスギフト商戦に遅れるリスクです。35字以内では、運用開始時期と商戦への遅延を簡潔に押さえる。
設問2(1)
CC管理職は要件を確定する役割を担うが、顧客のAIボット利用方法やオペレーターの運用変更を具体的にイメージできていない。そこで標準FAQによるプロトタイピングを実際に見せ、AIボット導入後のコールセンター業務の実施イメージと、顧客がAIボットを使うイメージを深めることを狙った。公式解答例もこの二つの観点を示している。
設問2(2)
受入テストでは、多数の問合せデータを用いて、問合せへの対応迅速化などを確認する。AIボットは問合せデータを学習して、より類似性の高い質問や回答を提示できる特長があるため、下線③は、その質問や回答の提示状況を確認することを指します。
設問2(3)
AIボットの特長として、問合せ情報などを用いたFAQの自動更新が示されている。要件定義時には実際の利用を十分に想定できず、受入テストで最新FAQや多数の問合せデータを使うため、追加収集できる要求はFAQの自動更新に関わる要求です。
設問2(4)
追加要求を第1次開発に取り込める条件は、その要求が問合せ対応の迅速化または回答品質の向上につながることです。本文の空欄は、この条件を受けて、パラメータ設定の変更だけで実現可能であることを示す文を補う。公式解答例は「パラメータ設定の変更だけで実現できる。」としている。
設問3(1)
No.2はAPIがなく、M社内のマーケティング支援ソフトウェアパッケージを機能拡張する必要がある。一方、表1の成果は、M社が顧客の真のニーズを踏まえたギフトを企画・販売できることです。したがって、対応有無を判断するため、その成果を実現できるかどうかを評価する。
設問3(2)
No.3は、市場トレンドや対応履歴を分析してSNS広告を最適化する機能です。しかし、本文では導入プロジェクト終了後にマーケティング部門がデジタルマーケティング戦略を立案する予定であり、現時点では戦略が存在しない。したがって、まずデジタルマーケティング戦略の立案を先にすべきだから対応しない。
設問3(3)
No.3を直ちに実施しない一方、導入プロジェクト終了時には業務におけるAI活用ノウハウを整理する。これは、将来のデジタルマーケティング戦略に沿って、マーケティング業務でAIを活用したデータ分析などを行えるようにするためです。論述では、ノウハウを将来のマーケティング業務やNo.3などの検討に活用するという目的と方向性を書く。
学習のポイント
本文の因果関係と、開発段階ごとの目的を結び付けて読む。
出典:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)令和4年度秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1(公式資料:問題冊子(PDF) / 解答例 / 採点講評)
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